■「3メーカーとGTAがあって初めて日本のモータースポーツを作る」
坂東代表はこの件について、SUGOでの定例記者会見の場で「2019年のジョイントイベントは、クラス1“プラスアルファ”なので、ここにNSX-GTは参加できる。2020年には、現状『ジョイントイベントはクラス1にしよう』となっていて、調整をしている。まだ調整をしている状態で、GTAとしては、国内のレースを潰してクラス1にはならない。レクサス、ホンダ、ニッサンがあって、GTAがあって初めて日本のモータースポーツを作るということは変わりはない」と強調した。
「最終的にクラス1というものにたどり着けば、それはベスト。ただドイツ、日本とそれぞれが諸事情のなかでやっている以上、まだ相談する要素だったり、推移を見る必要がある。クラス1=スーパーGTになる日に向けてやっていくが、現行のなかでスーパーGT=クラス1にするには、今の3メーカーの状況下、それをうたうのはもう少し時間がかかる」
坂東代表が強調するのは、現在GT500に参戦する3メーカー、そしてGTAが歩調を取りあってのスーパーGTの繁栄だ。当然ドイツ側にもメルセデスAMGの今季限りの撤退、2メーカーとなった後の今後などさまざまな懸案事項があるが、日独双方の事情を置き去りにしてクラス1を推進することはないという。
「ITR側(ドイツ側)の諸事情もあるし、クラス1だけに突っ走って、両方つぶれても困る状態。我々は我々のモータースポーツ、日本のモータースポーツを確固たる理念をもって作り上げたい。クラス1という目標に向かうのは間違いないが、それぞれの事情にも配慮しなければならない」と坂東代表。
今後はさらに、共通パーツについての契約をGTA、ITRの双方でさらに合意を進め、ヨーロッパではITRが、アジアにおいてはGTAが知的財産権を半永久的に所有する契約を結ぶことになる。それは今季のDTM最終戦のホッケンハイムか、ITR代表のゲルハルト・ベルガーが来日して、スーパーGT最終戦もてぎで結ばれることになりそうだ。
クラス1規定は、これまで9年間を費やし交渉が進められ続けているが、「完全に同じものを両シリーズで使い、双方のエントリーを増やす」目的から、「それぞれの地域やシリーズの特性を活かしながらコストダウンを実現し、さらに年に数度両シリーズが交流し、アジアとヨーロッパを代表するシリーズに成長する」というものに変質してきていると感じる。NSX-GTの存在は坂東代表の「3メーカーとGTAがあって初めて日本のモータースポーツを作る」という目標のなか、まだその走りを観ることができそうだ。