レースを愛してやまないファンの方々へ
autosport web Premiumが登場。

詳細を見る

スーパーGT ニュース

投稿日: 2018.11.12 15:43
更新日: 2018.11.12 15:48

偶然だった同時ピットイン。「胃が痛くなった」RAYBRIGの勝負を懸けたストラテジーとKeePerの誤算《GT500決勝あと読み》

レースを愛してやまないファンの方々へ
autosport web Premiumが登場。

詳細を見る


スーパーGT | 偶然だった同時ピットイン。「胃が痛くなった」RAYBRIGの勝負を懸けたストラテジーとKeePerの誤算《GT500決勝あと読み》

「今までで一番、胃が痛くなるレースだった」

 レース後に苦笑するのは100号車RAYBRIG NSX-GTの伊与木仁チーフエンジニアだ。1号車KeePer TOM’S LC500との同ポイントで迎えたタイトル決戦、前でチェッカーを受けた方がチャンピオンというシンプルな状況なだけに、ドライバーと同様にチームもお互いを意識するプレッシャーの中での戦いとなった。『どうしたら相手の前に出られるか』『どうしたら防げるか』──両者それぞれのレース中の戦略を追った。

 最終的に1.5秒差でのフィニッシュとなったRAYBRIGとKeePerのタイトルを懸けた直接対決。RAYBRIGは2番グリッドスタート、そしてKeePerは6番手からのスタートとなったが、まず目に付いたのが、RAYBRIGがスタートドライバーに山本を選んだことだ。前回のオートポリスではスタートをバトンが担当し、後半スティントで山本が順位を上げるというパターンで5位入賞を果たしたが、RAYBRIGはこの最終戦でパターンを変えることになった。

「SUGOのレースと理由が似ていますね。濡れた路面コンディションから始まってドライに変わって、短い時間でタイヤ選択、ソフトとミディアムの評価、そしてセットアップを確認しなければいけない状況だった」と話すのはRAYBRIGの伊与木エンジニア。

 加えて伊与木エンジニアがもっとも把握したかったのが、タイヤ無交換作戦をできるかできないかの判断だった。今回の土曜日の練習走行の走り始めはウエットコンディションだったため、どのチームもロングランができておらず、持ち込んだタイヤの評価が難しい状況だったのだ。

「タイヤ無交換で最後まで行けるかどうかの判定をするには、やっぱり(山本)尚貴の方が経験も豊富な分、ジャッジメントがしやすい。そして、できれば前半で1秒でも2秒でも多くのマージンを作りたいこともあって、前半からプッシュしてほしかった」と伊与木エンジニア。

 レースでは実際、19周目からピットストップ合戦が始まったが、RAYBRIGとKeePerは動かなかった。そのうち、2台の間に入っていたマシンが次々とピットに入ると、RAYBRIGとKeePerは見た目上のトップと2番手となり、順位が前後することになった。

 RAYBRIG山本はレースでKeePerキャシディに24周目の時点で7秒4のギャップを築いていた。だが、それは伊与木エンジニアにとっては微妙なタイム差だった。

「もし1号車がタイヤ無交換で来るなら、ウチがタイヤを四輪換えても前に出られるタイム差、本当は最低10秒のギャップがほしかった。願わくは15秒あれば良かった」

■逃げるRAYBRIGの不安、追うKeePerの当初のプラン


関連のニュース