■コバライネンとの関係も良好。その秘訣は趣味!?
GT500デビューイヤーに向けて、相方となるのは2016年のGT500チャンピオンで、F1での優勝経験ももつヘイキ・コバライネンだ。スーパーGTでの戦いも2019年で5年目。すでに多くの経験をもち、LEXUS TEAM SARDにとっても不動のエースの印象も強い。「言わずと知れた元F1ドライバーですし、レーシングドライバーとしてのレベルはすごく高いです」と中山はコバライネンについて語った。
「これまで3回テストしているなかで関係はいいですし、僕に足りない部分があると積極的にアドバイスをしてくれています。みんなでパフォーマンスを出し合って戦っていこう……という姿勢が、チームにいい影響を与えるドライバーだと思います。僕もそのなかにうまく溶けこんで、チームの雰囲気をもっと良くしていきたいですね」
スーパーGTでの戦いのなかで、中山は外国人ドライバーと組むのも初めて。英語でのコミュニケーションに不安はないのだろうか……? と聞いてみると、「趣味が合うんです(笑)」という。
「ゴルフが共通の趣味なんですよ。サーキット以外ではゴルフの話ばかりしていて、そういった点もコミュニケーションを深めるツールとして役立っています。(ゴルフ好きで)良かったです(笑)」
英語も「問題はまったくないです」と中山。コバライネンも中山も、マシンを下りれば人柄としては温和なキャラクター。チームとしても“やりやすい”ドライバーなのは間違いないだろう。
■「一年間しっかり戦うことが重要」
とはいえ、もちろんGT500参戦にあたっては中山に課題も多いのは間違いない。GT500の勝敗を左右するGT300との戦い方だ。
「“GT500を抜かせる”のはすごく自信がありますが(笑)、“GT300を抜いていく”というのが僕のなかではまだ未知数です」と中山も認める。
「そこは開幕までに公式テストでしっかり勉強しなければなりません。まずは“場数”をこなさないといけないですね。でも、最後までしっかり戦ってゴールするということをやっていけば、自ずと結果はついてくるのではないでしょうか」
ちなみに、GT300で戦ってきた中山にとって、GT500をドライブすることで気付いたこともあったという。
「GT500はパフォーマンスがすごく高いですけど、コーナーによってはかなり難しい部分もあるんです。クルマの剛性が足りなかったりするので、そこはうまく乗りこなさないといけないです。そのなかでGT300もパスしないといけないですからね」と中山。
「GT300で戦っているときは、GT500に抜かれたときに『もうちょっと早く行ってよ!』とか『そこでなんでそんな動きになるの?』と思っていたこともあったのですが、GT500に乗ってみて良く分かりました(笑)」
もともとフォーミュラで戦ってきた中山にとって、GT500は乗りこなすだけならばそこまで難しいものではないだろう。またタイヤについても、GT300で長年ブリヂストンを使っていた“強み”がある。
「初めてGT500をテストしてから3年、結果は出なかったかもしれませんが、スーパーフォーミュラも戦って、GT300や他のレースにも出ましたし、一戦一戦持ち味を出してきて、トヨタさん、TRDさんにアピールしてきたのが評価されたのだと思っています。すごく嬉しいですね」と今の心境を語る中山。
「スーパーGTは毎戦勝てるわけではないですし、持てるパッケージのなかでベストを尽くすというところはGT300も一緒なので、レースに臨む気持ちは変わらないです。もちろん順位がいい方がいいですけど、一年間しっかり戦うことが重要だと思っています」
GT300では多くの実績を残してきた中山。初めてのGT500でどんなシーズンを送ってくれるのだろうか……? 今季のスーパーGTでの注目のドライバーのひとりだろう。