日本のモータースポーツファンのみなさま、いかがお過ごしでしょうか。
マレーシアはセパン・サーキットのトイレでは謎の昆虫に出会い、ホテルでは真夜中の3時の廊下に音楽が鳴り響き、帰りの空港に向かう直前にはレンタカーのタイヤがパンクする、アメージングな《スーパーGTマレーシアウインターテスト(ミシュラン主催)》から先日、帰って参りました。
今回は《マレーシアウインターテスト(ミシュラン主催)》の走行内容に触れることはまったくなく、ひたすら《ターボチャージャー》についてのみ考察を深めるブログとしたいと思っております。
そして、ご存知の方も多いでしょうがシーズン前のテストという特殊な環境のため、オトナの事情によって写真は少なめとなっております。また、適切ではないことを書いてある箇所があるかもしれませんが、レース関係者のみなさま、どうか寛容なお気持ちでご容赦ください。
それでは前置きが長くなってしまいましたが、ブログ《ターボチャージャー編》張り切っていってみましょう。
コトの発端は、20年来の我が愛機、R30スカイラインRSターボのエンジンマウント交換をしようとした時でした。
エンジンマウントを交換するためには、エアフローセンサーからターボに至るエアーホースを外す必要があり、10数年ぶりにこの作業に取りかかりました。
ひさしぶりにタービンとご対面です。
ところがタービンの羽根を確認すると傷があります。よく見るとハウジングにまで傷が。もはや触って確認する気もおきず、ここでしばし呆然とします。
瞬時に脳裏に浮かんだのは、2015年のル・マン24時間に参戦したFFのニッサンGT-R LM NISMOでした。
この車両のエンジン用吸入口は日産エンブレムの下になります。そういえば当初このチームのエース格(ル・マン前にチームを離脱)ドライバーだったマルク・ジェネさん、いったいどこに行っちゃったんでしょうね。
GT-R LM NISMOのエンジンルームを思い出しましょう。画面中央に搭載されたニスモ製エンジン、VRX30Aと両脇にターボチャージャーが見えます。FFなのでミッションがエンジンの手前(画面下側)にあります。
整備中のVRX30Aに搭載されたターボチャージャーです。私のRSターボと同じようにタービンブレードに傷があり、よく見るとハウジングにも傷があるようです。
当時の記憶を辿ると、フロント駆動の弊害でエアクリーナーからターボチャージャーまでのパイピングが複雑に分割されており、エアクリーナーからターボチャージャーまでのパイピングの密閉が難しかった、また部品精度が良くなく分割箇所に隙間ができてしまっていたことを思い出します。
ここで、果たして現行のGT500のターボチャージャーはいったいどうなっているのか? どうやって密閉しているのか? 傷があったらどうするのか? という疑問が湧いてきました。
ということで、開幕前のテストでお忙しい各メーカーのみなさまにご協力を頂きまして、ターボチャージャーについてお聞きしてきました。まずはニッサン・モータースポーツ・インターナショナル株式会社GT500エンジン担当の功刀隆エンジニアにお話をお聞きします。
まずは気になるパイピングの密閉ですが、車両フロント開口部にフィルターが設置されており、そこからターボチャージャーまでパイピングされホースバンドで固定されているとのこと。フィルターは抵抗の少ないモノを選定するが、激しい雨や砂などが多い場合にはフィルターの一部が破損し、異物の侵入によってタービンブレードを傷をつけることもあるそうです。