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スーパーGT ニュース

投稿日: 2019.04.15 16:14
更新日: 2019.04.15 21:13

GT300決勝《あと読み》:大荒れ開幕戦。ドライバーたちの証言で振り返る多重クラッシュの現場とレースコントロールの難しさ

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スーパーGT | GT300決勝《あと読み》:大荒れ開幕戦。ドライバーたちの証言で振り返る多重クラッシュの現場とレースコントロールの難しさ

 今回のアクシデントの“引き金”となってしまったのは星野と小暮の接触だが、最終的に小暮にはペナルティも課されていない。ではこのクラッシュについてはどういう判断だったのか、GTアソシエイションでレースコントロールを務めている服部尚貴氏に解説を願った。

「発端は、星野選手が2コーナーで滑ってしまったところにあります」と服部氏。

「そこで失速してしまったところに、道上選手が抜いていきました。それに続いて小暮選手が抜きにいっています。星野選手はレコードラインに戻ろうとしていますが、すでに小暮選手が星野選手の全長内に入っています。失速した後、すぐ道上選手の背後に入るのであれば防げますが、2台が来ているのであれば、自分が失速してしまったので、残念ながらあきらめないといけないと思います」

「コーナーでレコードラインに戻ろうとしていますが、すでに小暮選手が全長内に入っているので、それ以上いくと当たってしまいますよね。また、小暮選手はコースの白線をまたいで避けている。そして一度接触した後に、もう一度当たっていますが、実際は小暮選手は当たった段階でスピン状態なんです。我々はそうとっています。小暮選手にも話を聞きましたが、我々の見解と合っていました」

 もちろんレーシングドライバーとしては、抜かれたとしてもレコードラインに戻り前を追いたい状況になる。また星野のコメントにもあるとおり、水しぶきで後方の確認ができなかったのも仕方がないところだ。星野にも小暮にもペナルティが発生していないので、レーシングアクシデントというジャッジということだろう。

1コーナーでクラッシュしたHOPPY 86 MC
1コーナーでクラッシュしたHOPPY 86 MC

 とは言え、この4台のアクシデントをはじめ、HOPPY 86 MCが1コーナーで、EXE AMG GT3もモスSでクラッシュするなど、今回の岡山国際サーキットでの開幕戦はダメージを負うマシンが多く、非常に難しい状態でのレースだった。最終的に16時23分まで延長して、30周で終了という判断も、ファンからはSNS上で批判の声も上がっていた。

「最後のセーフティカーのときは『この雨量ではもうレースは継続できない』という判断となりました。実際のところ、昔のGTカーだったら走れたと思うんです。ただ、いまスーパーGTのレギュレーションでは、ウエットタイヤの溝は1種類しかない(コンパウンド等で複数種類がある)。水はけはオールマイティのものを作らなければならないので、あれだけ水の量があると厳しいです」と服部氏。

「またダウンフォースもあれだけあって、ウォータースクリーンで前が見えなくなります。雨のレースはいま、スーパーGTではどんどん難しくなっています。SC導入の判断については、ドライバーからは『遅い』と言われるかもしれませんが、今回は実際1周ずつくらい外で雨の様子を見ながら、確認しながらやっていました」

 ちなみに、最後の4回目のセーフティカーだが、テレビ上ではRAYBRIG NSX-GTとKEIHIN NSX-GTの接触によるもののように映っているが、実際は雨量の増加によるものだったという。SC導入を伝えた瞬間にあのアクシデントがあったのだとか。

「自分は最近のクルマには乗っていませんが、他のカテゴリーも含めて、この岡山の雨、特にモスSについては特殊すぎる状況がありますね。雨のレースは本当に難しいサーキットになっています」と服部氏は岡山での雨の難しさについて語った。

「そのなかで今回のようなレースになってしまったので、ファンの皆さんには申し訳ないですが、あれ以上続けるのは、同じような天候が続く予報にもなっていましたし、止めざるを得ませんでした」

 この岡山でのスーパーGTは、近年は晴天のなかで開催されることが多かった。そのなかで、超高速化するスーパーGTが直面したウエットでの、そして岡山でのレースの難しさが、今回の荒れたレースの原因になってしまったと感じられる。岡山でのスーパーGT開催は、施設面で今後課題を残したと言えるかもしれない。


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