オフのテストで好調を維持してトップタイムを連発していたカルソニック IMPUL GT-Rが決勝ペースに悩みを抱えている。「(第3戦鈴鹿)土曜の段階でも、(決勝日)朝の20分間の走行でも悪い感じはまったくありませんでした」と語るのはカルソニックの柏木良仁エンジニア。
「(第2戦)富士の反省を踏まえてやったことがあります。方向性は合っているとは思うのですが、やはり足りない」。気温の上昇でセットが狂ったということもなく、土曜の段階でドライバーからの不満も出ない。エンジニアとしては一番頭を抱える状況だろう。
ただ、オフの好調を考えれば気温の上昇が関係しているのは間違いない。空気密度低下によるダウンフォース減少、あるいはエンジン吸気温上昇によるトルク低下などの影響がライバルより大きいことも考えられる。
鈴鹿サーキットのS字から逆バンクを見ていて明らかなのは、ニッサンGT-RがレクサスLC500より高いエンジン回転域を使っていること。GT-RとホンダNSX-GTは近い音域のエンジン音だが、LC500は一段低い音で通過する。今季はパワーバンドを拡大するために燃リス(燃料流量リストリクター)領域まで使用しているとニスモの開発陣も明言している。高温下でそのデメリットが出ているのだろうか?
あるいはダウンフォースが減った環境下でのコントロール性の問題だろうか? 予選Q2、逆バンク立ち上がりでKeePer TOM’S LC500の平川亮は全開のままテールスライドさせて旋回、ダンロップコーナーへのアプローチにクルマを向けていた。これまでのブリヂストンタイヤの特性に基づくセオリーからは外れたオーバードライビングのように見えた。タイヤの進化でその常識が変わってきたのか。
また、開発初期段階からLC500はコントロール性をテーマに掲げていた。暑くなってくるとこれが活きるのかもしれない。カルソニックが低ダウンフォース環境に課題があるとすると富士での苦戦も説明がつく。反転攻勢に期待したい。