5月25~26日に行われた2019年のスーパーGT第3戦鈴鹿で表彰台を独占したau TOM’S LC500、KeePer TOM’S LC500、WAKO’S 4CR LC500の3台のレクサスLC500は、おそらくポテンシャルに関しては大差ないだろう。搭載ウエイトは3台とも軽く、選択したブリヂストンタイヤのスペックも同じ。
しかし週末をとおしてすべてが噛み合っていたau LC500に対して、他の2台はほんの少しのボタンの掛け違いや運で勝者になれなかった。
今回、KeePer LC500は持ち込みセットを外したものの、予選までには修正してポールポジションのau LC500と「同タイム」(ウエイトハンデ差は6kgで、タイムは100分の13差)とも言えるフロントロウを確保している。
決勝では、普段とは違い、後半スティントをニック・キャシディに任せている。これは本人から「タイヤのウォームアップに自信あり」という提案があったからだ。しかし、ピット作業でロスがあったため、この作戦の効果は薄れてしまった。
スティント前半はスピードがあったが、後半は失速しつつもGT300クラスをうまく利用して2位を確保した。その走りを見ていた平川亮は、「運が良かった。今回のチャンスは、後半スティントの最初の10周くらいしかなかったと思う。悔しいけど、トムスでワン・ツーが取れてホッとしてもいる」と語っていた。
一方、WAKO’S LC500は、これまでとはセッティングを変更して持ち込んでいた。そのおかげでリヤのトラクションが向上。しかし、相対的にアンダーの症状も出てしまう。ただしそれは「安定したアンダー」(山下健太)だったため、戦える状態だった。
ピットのタイミングはトップのau LC500にぶつけ、作業時間はトムスのそれを上回る。さらにKeePer LC500のアウトラップを捉えることに成功し、目の前に優勝がぶら下がった。実は脇阪寿一監督は、「次戦(の第4戦)タイに照準を合わせていた」という。思いがけずその手前で勝利のチャンスが巡って来て、ピットは盛り上がった。
しかし、後半を担当した大嶋和也はau LC500を抜くことはできず、KeePer LC500にも前に行かれてしまった。寿一監督は日頃から大嶋に対して、「競り合いでの強さ」を求める。監督の愛のムチは届かなかったのか。
「いや、今回の和也はがんばっていた。チャンスは彼のときはなかったよね。こういうレースをしていれば、ライバルに与える印象も変わってくるはず」と寿一監督は合格点を与える。次戦は28kgのウエイトハンデを積む。戦えないわけではない。次こそ満点を狙う。