スーパーGTをはじめ、さまざまなレースカテゴリーにダンロップタイヤを供給する住友ゴム工業。そんな同社がスーパーGTの現場でバイオマスとリサイクル原材料を使用し、サステナブル原材料比率38%のレースタイヤを開発したことを3月2日に明らかにした。
このタイヤは天然ゴムや天然由来の原材料の活用したもの。また、リサイクル鉄から再生した材料を使用することで従来のレースタイヤからサステナブル原材料の比率を高めたレースタイヤだ。
今回、その存在が明らかにされたサステナブル原材料比率38%のレースタイヤは、3月4日〜5日に鈴鹿サーキットで開催される『2023鈴鹿サーキットモータースポーツファン感謝デー』にて、Modulo Nakajima Racingの64号車Modulo NSX-GTに装着され、デモンストレーションレースに参加する予定だ。
早速その登場・実走が楽しみなサスティナブルタイヤだが、実は2022年11月27日にモビリティリゾートもてぎで開催された『ホンダレーシングサンクスデー2022』にて、Modulo NSX-GTがこのサスティナブルタイヤを装着し、ファンの前でその走りを見せていた。
ホンダレーシングサンクスデー2022開催中、Modulo NSX-GTの装着するダンロップのタイヤに、2022年シーズン中にはなかったグリーンの模様が入っていた姿を目にしたオートスポーツwebは、住友ゴム工業モータースポーツ部長の竹内二郎氏に話を聞いた。
「住友ゴム工業は2030年にタイヤのサステナブル原材料比率を40パーセントに拡大します。この取り組みはモータースポーツも例外ではなく、住友ゴム工業全体でこの目標に向けて取り組んでいかなければいけないと考えています」
「スーパーGTでは、GTアソシエイションさんも未来へ向けたさまざまな取り組みを進められていますので、我々もスーパーGTの現場でこの取り組みを進めています」と竹内氏。
具体的には、タイヤ内部のビードに再生スチールを採用。さらに、グリップ向上につながるさまざまな材料についても、石油由来のものではなくバイオ由来のものを採用し、サステナブル原材料比率38%を実現した。
外見上は、サイドウォールに描かれたグリーン模様が入ったこと以外はスーパーGTで実践投入されているダンロップタイヤとの違いは見当たらない。そのデザインに込められた想いを竹内氏は語る。
「住友ゴム工業の社内では“矢じりのマーク”と呼んでいますが、ダンロップから未来に向かって放たれた“矢”が変化し、グリーンのチェッカーフラッグ（ゴール）へ到達するという想いを込めております」
「このグリーンチェッカーは17マスで、2015年に国際連合総会で採択された『SDGs17の目標』に合わせたデザインです。未来へ向かって、持続する社会を目指すというコンセプトで我々もこのプロジェクトを進めています」
このサスティナブルタイヤの開発は2022年シーズン以前から進められており、その開発にはNakajima Racing、そして開発ドライバーとして伊沢拓也が携わった。
ホンダレーシングサンクスデー2022にて同タイヤを装着し、大勢のファンの前で走行した伊沢は「以前テストをしたときも、普通のタイヤと比べてパフォーマンスが大きく変わるということはありませんでした。サスティナブル素材だからパフォーマンスが落ちるとか、マイナス要素はひとつも感じていないので、こういう種類のタイヤもあるなという感覚でしたね」と、そのフィーリングを語った。
住友ゴム工業が開発を進めるサスティナブルタイヤ。同社は「今後さらなる改良やチューニングによって完成度を高め、2024年内に一部のレースへの投入を目指します」としており、今後どのようなタイヤとしてお目見えされるのか楽しみだ。
