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MotoGP ニュース

投稿日: 2017.09.08 20:07
更新日: 2018.06.26 16:12

昇り調子のドビジオーゾ。苦労人の初王者獲得なるか?/ノブ青木の知って得するMotoGP

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MotoGP | 昇り調子のドビジオーゾ。苦労人の初王者獲得なるか?/ノブ青木の知って得するMotoGP

 スズキで開発ライダーを務め、日本最大の二輪レースイベント、鈴鹿8時間耐久ロードレースにも参戦する青木宣篤が、世界最高峰のロードレースであるMotoGPをわかりやすくお届け。第5回は、後半戦から昇り調子のイタリアメーカー、ドゥカティと、苦労人アンドレア・ドビジオーゾについて語る。

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 なんと! 第12戦イギリスGPを終えて、ドゥカティのアンドレア・ドビジオーゾがランキングトップに立ってしまった。今季ここまで2連勝を2回、合計4勝を挙げているイタリア人のドビジオーゾ。今が、彼のレース人生でもっとも運に恵まれている時であることは間違いない。勝利の風が、ドビに向かって吹いている……。

 もともとドビは、非常に巧くて器用なライダーだ。アドバンテージのないマシンでもしっかりと乗りこなしてきたし、マシン開発能力も高い。どんなに不調な時でも、某元チャンピオンのように文句を言いっ放しでピットから出て行くようなこともなく、地道にマシン作りに勤しんできた。言わば、苦労人なのである。

 そして、ドビを中心的存在として作り込まれてきたドゥカティ・デスモセディチGP17が、だいぶ好調に仕上がってきたようだ。特に、今シーズンに入ってから仕様が変わったミシュランのフロントタイヤとの相性がいい。エンジンパワーはピカイチながら、「直線番長的キャラクターでコーナリング性能はもうひとつ」なドゥカティだったが、柔らかめになったと言われるミシュラン製フロントタイヤとのマッチングにより、全体的にバランスよくパフォーマンスが高まっている。

■斬新な技術を投入するドゥカティ

 もともとドゥカティは斬新な技術的トライをするメーカーで、ワタシはそういう姿勢が大好きだ。あまりに斬新すぎて失笑を買うことも少なくないが、「数撃ちゃ当たる!」と先鞭をつけていろんなことを仕掛けてくるのだ。MotoGPはせっかくレース専用のプロトタイプマシンで競うわけだから、いろいろチャレンジしてくれた方が面白い。

後半戦から新たなカウルを投入したドゥカティ
後半戦から新たなカウルを投入したドゥカティ

 ドゥカティという会社は本当にレースが好きだ。企業規模を考えたら「なんでこんなにレースの現場に人がいるのさ!? 量産車開発の方は大丈夫なの?」と余計な心配をしてしまうほど、レースに熱を上げている。量産車を生産しているのも、もしかしたらレースをするためなんじゃないかな……。

 昨シーズン、ウイングレットを大流行させたのもドゥカティだ。その狙いは、当コーナー第1回でもご紹介した通り、ダウンフォースを得ることでフロントタイヤへの不満感を減らし、エンジンパワーをロスしてしまう無駄なウイリーを抑制する、というもの。その効果はテキメンで、こぞって他チームもウイングを採用した。

 レギュレーションでウイングが禁止されると、今季の開幕前テストではシュモクザメ式新型カウルを登場させ、MotoGPファンや関係者のドギモを抜いた。そしてサマーブレイク後の第10戦チェコGPでは、さらに形を変えたニュータイプの空力カウルをお披露目している。こういう攻めの開発姿勢こそがモータースポーツの原点。MotoGPマシンの開発ライダーという身でありながら、いちMotoGPファンでもあるワタシとしては大歓迎だ!

 だが、見た目のハデさの割に、空力カウルの効果はウイングほど強力ではない。もちろんフロントの接地感向上に一役買っていることは間違いないが、少なくともドビをランキングトップの座に押し上げるほど劇的な効果があるわけじゃない。


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