都内のUNITED cafeで1月31日~2月5日まで開催中の『Motor!!Motor!!vol.7 EXHIBITION for YAMAHA XSR700』。期間中はカフェ店内にヤマハXSR700や関連パネルが展示されているが、これに先立って1月24日に開催されたイベントでは、XSR700の開発者トークショーが行われた。
トークショーに登場したのはXSR700のデザインを担当したGKダイナミックスの清水芳朗さん。さらに、イベントを主催するアパレルブランド『ROARS ORIGINAL(ロアーズオリジナル)』の高橋生児さんが進行役を務めた。
XSR700は2015年末に、まずヨーロッパで発売が発表されたスポーツヘリテージカテゴリーのバイク。スポーツヘリテージとは今回取り上げるXSR700はもちろん、XSR900やSR400といった最先端の技術を搭載しつつも正統派のビジュアルを持つバイクのことだ。
XSR700はMT-07をベースモデルとし、正統派スタイルに688ccの水冷4ストローク直列2気筒DOHCエンジンを搭載する。2017年11月、ついに日本での販売も開始された。
2008年から2014年にGKダイナミックスのオランダオフィスに出向していた6年の間にXSR700のデザインに携わり、製作したという清水さん。XSR700は「ヨーロッパで生産開発をしたモデル」なのだという。
「実は、ヤマハのR&D(研究開発)がイタリアのミラノにあり、ヤマハの商品企画、マーケティング部門がオランダにあります。企画の段階から作業するため、GKダイナミックスもオランダにデザインオフィスを持っているんです。モデリングの段階になると、イタリアに飛びます。また、ファクトリーはフランスにあります」
ヤマハのバイクは『デザインのヤマハ』とよく形容される。それには、開発の地がヨーロッパということが深く関わっていると清水さんは語る。もちろん、XSR700も例外ではない。
「X-MAXや125ccのスーパスポーツやロードスポーツ、TRACER700などはフランスで開発されていて、そのためにデザインをヨーロッパでやる形をとっています」
■ヨーロッパでの開発がヤマハバイクの“シャレっ気”をつくる
「ヤマハのシャレっ気というのがどこから来ているのか。それは、外国人の開発者が、しっかり入ってくるという点だと思うんです。例えば、(XSR700開発のときに一緒にいたのは)マセラティで働いていたエンジニア。バイクではなく、イタリアでクルマをやっていた人です」
さらに、ドゥカティで働いていたエンジニアなど、ヨーロッパのバイクについてよく知っている人たちとともに作業をする。
「そういった人間は当然、(ヨーロッパでの)もののありさまというのがよくわかっています。日本で開発をやると情報をとりにいかなければならないのですが、それをしなくていいんです。ヨーロッパにR&Dを持っているのは、今はヤマハだけ。そこがいちばんの強みですよね。ヨーロッパに住んで、オーセンティックのブームを見ている人間が造っているわけですから」
ヨーロッパではバイクが生活に浸透している。イベントひとつとっても日本とは違ったバイク文化を感じることができ、そうしたなかで生活する人たちが関わって造られたのが、ヤマハのバイクなのだ。
「パリのイベントでは、食事をしながら音楽を楽しみつつ、バイクをたしなむ文化ができています。それはバイクに乗らなくてもすごく楽しくてすごくおしゃれな空間なんです」