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MotoGP ニュース

投稿日: 2018.02.28 16:38
更新日: 2018.06.26 16:11

MotoGPマシンのスイングアームはカーボンとアルミどちらが正解か/ノブ青木の知って得するMotoGP

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MotoGP | MotoGPマシンのスイングアームはカーボンとアルミどちらが正解か/ノブ青木の知って得するMotoGP

 スズキで開発ライダーを務め、日本最大の二輪レースイベント、鈴鹿8時間耐久ロードレースにも参戦する青木宣篤が、世界最高峰のロードレースであるMotoGPをわかりやすくお届け。第8回はカーボンスイングアームを中心にカーボンパーツや空力フェアリングにフォーカスを当てる。先日行われたタイ・ブリーラムテストでレプソル・ホンダがカーボンスイングアームをテストしていたが、アルミスイングアームとどう違うのか?

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 すでにマレーシア・セパンサーキットとタイ・ブリーラムサーキットの2ヶ所で開催されたMotoGP公式テスト。カタール・ロサイルサーキットでの公式テストも控え、いよいよ2018シーズン始動! という感じで盛り上がってきた。

 マシン面に注目してみると、リザルトを眺めている限りでは「コレ!」という技術的な決定打が見当たらない状態だ。各チーム、各ライダーとも「ごくわずかな差」を得ようとビミョーな試行錯誤を繰り返している。

 だが、正解はなさそう。今回は、「正解のなさが、今のMotoGPだ!」というお話。

 公式テストで注目を集めている技術的トピックスは、いくつかある。カーボンスイングアームもそのひとつだ。

■カーボンスイングアームの良し悪しとは

「え? それって地味じゃない?」と思ったアナタ。正解です。去年の最終戦バレンシアGPでひっそりとホンダがテストしていたが、マルク・マルケスが「誰も気付いてくれなかったよ……」と苦笑いしたほどだから仕方ない。

 実のところ、カーボンスイングアームは1980年代のGPマシンにも採用されていたほどだから、決して目新しい技術というわけじゃない。それ以降も思い出したようにポッと登場するが、なかなか定着しない。今回はどうだろう?

 今のMotoGPマシンのスイングアームはアルミ製が一般的だ。これをカーボン化するというと、「ああ、軽量高剛性狙いね」と簡単に結論づけてしまいそうになるが、まぁ慌てない、慌てない……。

 前提としてご理解いただきたいのは、アルミ製スイングアームやフレームといった金属製大物パーツも、しなるということ。しなるってことは、つまり歪むというか、たわむというか、いずれにしても「動いている」ということだ。

ヤマハのアルミスイングアーム
ヤマハのアルミスイングアーム

 にわかには信じられないかもしれないが、ホントです。計測したところで恐らく数値に表れるかどうかの微妙な程度だが、スイングアームは確実にしなる。ライダーはそのしなりを、主には接地感として感じ取っている。ぜひこれを信じたうえで、読み進めていただきたい。

 かつてカーボンは「軽くて硬い」という素材だった。皆さんよくご存じ、F1のカーボンモノコックなんかがそうですね。カッチリしていて余計な動きをしないから、サスペンション作動の精度を損なわない。ライダーらしく擬音に頼ると、「カチッ、パキッ、カンカン!」って感じかな。

「なるほど! じゃあMotoGPマシンのカーボンスイングアームも軽さと硬さを狙ってるのね」と思うでしょう? これがそうとは言い切れないのだ。


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