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MotoGP ニュース

投稿日: 2018.03.06 10:00
更新日: 2018.03.06 14:45

ホンダ全日本ロードJSB新王者が口にする「完敗」の重み/高橋巧ロングインタビュー

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MotoGP | ホンダ全日本ロードJSB新王者が口にする「完敗」の重み/高橋巧ロングインタビュー

 2017年全日本ロードレース選手権JSB1000クラスでチャンピオンを獲得した高橋巧。2009年から全日本最高峰クラスに参戦し、ついに自身初となるJSB1000チャンピオンを獲得した。それでも王者であるはずの高橋は、2017年シーズンを振り返ってこう言う、「完敗です」と。

 喜びを爆発させるチームスタッフに囲まれて、高橋巧はいつもどおりにおだやかな笑顔をたたえるばかりだった。全日本の最高峰クラス、JSB1000で初タイトルを獲得した2017年11月5日の鈴鹿サーキットで、高橋は歓喜の渦の中心にいた。だが、その瞳に満足の光はなかった。

2017年、高橋は自身初のJSB1000タイトルを最終戦鈴鹿で決めた
2017年、高橋は自身初のJSB1000タイトルを最終戦鈴鹿で決めた

「みんなが喜んでくれてホッとしました。でも、自分としてはうまくいかなかったので……」

 2月13日、ホンダが都内で開催した二輪ロードレース、モトクロス、トライアルを含めた全日本選手権の取材会で、“日本一の男”の口からあふれ出るのは淡々とした反省の弁ばかりだった。浮き足立ったところがまったくない。

「レースでも、レース以外でも、『わーっ』とはしゃぐことがないんですよ。『はしゃいだから何なの?』って思ってしまう」

「実は影で人知れず大喜びしたとか?」筆者がそう尋ねると、高橋は「いえ、それもないですねえ」と少しだけ微笑んだ。

控えめな口調で2017年を振り返る高橋
控えめな口調で2017年を振り返る高橋

「もともとこういう性格ということもあります。今まで、どんなレースで勝っても大喜びした経験はありません。でも、2017年はとにかく納得できないレースばかりだった。チャンピオンにはなったけど……、内容としては完全に負けたシーズンでした」と、まるで敗者のような冷静さで自らの不甲斐なさを認める。

 全9レース中6度表彰台に立った。うち2戦で優勝。「確実に表彰台に立つ。勝てる時に勝つ」という粘り強い安定感は、チャンピオンにふさわしいものだった。

 JSB1000クラスでは、ランキング3位、2位ともに3回ずつ経験している。9年目にしてようやくもぎ獲った「悲願のタイトル」のはずなのに、高橋自身はまったく納得できていない。

 2017年シーズンの全日本をかき回したのは、ヤマハ・ファクトリー・レーシング・チームの中須賀克行だった。2016年に前人未到の5年連続タイトルを獲得した中須賀はさらなる記録更新が期待されていたが、開幕から2戦連続でリタイア。レース数の少ない全日本では致命的だった。

 そのままでは終わらないのが中須賀の強さだ。後半戦の4連勝を含めてシーズン最多の5勝を挙げてみせたのである。ノーポイントのリタイアが響きランキングは6位に終わったが、それでも確かに『真の王者は誰か』という問いの答えとしては充分だった。中須賀は、チャンピオンの高橋よりも深い爪痕を残したのだ。

「完敗です」、そう高橋は自認する。「誰が見ても同じ印象だと思う」と自己評価は手厳しい。

「強い走りができませんでした。反省すべき点だらけです」

■ワークス体制で臨む2018年。自分自身が認められる結果を目指して


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