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MotoGP ニュース

投稿日: 2018.04.05 20:06

MotoGPコラム:開幕戦で見えた各メーカーの進捗具合。ホンダの進捗にドゥカティは懸念か

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MotoGP | MotoGPコラム:開幕戦で見えた各メーカーの進捗具合。ホンダの進捗にドゥカティは懸念か

 MotoGP第2戦アルゼンチンGPを前に、イギリス在住のフリーライター、マット・オクスリーが開幕戦カタールGPを分析。開幕戦で見えた各メーカーの状況はどのようなものなのか。

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■開幕戦から完璧なウイークを過ごしたドビジオーゾ

 MotoGP開幕戦カタールGPでのドビジオーゾのパフォーマンスは金曜の午後から日曜の夜まで並外れたものだった。私がこれまでに知ったどのMotoGPライダーよりも冷静で落ち着き、自信にあふれていた。

 ドビジオーゾは自身のレースに科学を応用し、論理的に整然と問題を解決していき、計算上予測していた結果を達成したのだった。もし彼が4位が達成可能なベストの順位だと考えていたら、4位で満足するだろう。もし優勝が可能だと考えていたら、優勝すれば満足するだろう。そして彼は優勝し満足することになったのだ。

 ドビジオーゾとデスモセディチGPは、カタールGPで過去3回のレースすべてを2位でフィニッシュしており、ロサイル・インターナショナル・サーキットとの相性が良いことは誰もが知っているものの、週末を通しての彼のコメントは、ライバルたちを不安に思うものだったに違いない。

「ラップタイムをたやすく出すことができたので、良い感触を持っている」と彼は金曜日に語っている。「おかげでレースに向けて細部の作業ができる。一つ一つのことについて準備を整えなければいけないからね」

 土曜日、ドビジオーゾは予選でヘマをしたようだ。予選Q2での激しいバトルを避けるために減速しすぎ、5番手になってしまったのだ。それでも「僕はリラックスしているし、バイクは良い走りをしているよ」と語る。

 決勝レースでも同じだった。酷いスタートを切り、最初のコーナーを曲がったときは10番手だったのだ。優勝できると予想していたライダーの多くはその時点でパニックになったかもしれないが、ドビジオーゾは違う。

「僕はレースをコントロールできていた」と彼は語った。「本当に酷いスタートから順位をたくさん上げたし、同時にタイヤをいたわって自分の戦略を選ぶことができたんだ。MotoGPのレベルがこれほどに高いと、そんなチャンスは簡単には手に入らないけど、そうすることができて、とても満足している」

 まったくもって正しい。集団の中で戦いながら前進していくとき、一方ではタイヤを痛めないようにしながらも、その間は常に前に目をやり、コースとレースにさらに入り込んでいく。ライバルたちをマークして戦術を選び、そうしてその状況における冷徹な指揮官を得るのだ。

 このことはドビジオーゾのことをよく物語っているし、ドゥカティのチーフクルーであるアルベルト・ジリブオラとドビジオーゾが作り出したバイクのことをよく表している。

 世界ランキング2位のドビジオーゾは、実際にすべての計画を立てていた。誰もがタイヤをいたわっているのを知っていたので、先頭へ進み出ることをまったく急がなかったのだ。

 ドビジオーゾはタイヤを酷使するのではなく、ドゥカティのトップスピードのアドバンテージを、利用できるところではどこでも利用することにした。彼がトップ3に入るのにはレース半ばまでかかった。

 19周目で彼は自身の最速タイムを叩き出し、初めて集団から抜け出した。だが彼は後ろを大きく引き離すことはできなかった。タイヤを痛めないようにしてはいたものの、リヤタイヤはすでに最高の状態を過ぎてしまっていたのだ。

「まだ速いラップタイムを刻むことはできたが、望んでいたほどの速さではなかった。いつものコース取りができなかったから、ギャップを広げることができなかったんだ」とドビジオーゾは語る。

「マルク(・マルケス)は僕にぴったりつけるために、現実とは思えないようなことをしていたのは確かだ。レースで優勝することでライバルたちのレベルを理解することができるけれど、マルクと一緒にレースをフィニッシュするとは予想していなかった」

 確かにそうだ。マルケスの2位という順位は、ドビジオーゾの優勝よりも目を引くものだった。ロサイルはホンダRC213Vと相性がいいコースであったことはない。RC213Vは小型で筋肉質の番犬のようなもので、MotoGPのほとんどのコースで多く見られるタイトなコーナーに入っていくために作られたバイクだ。

 ロサイルはフィリップアイランドのように高速で流れるように続くサーキットである。ここでは、コーナー出口は全開で疾走できるストレートに向かって開いてはおらず、ロサイルのそれぞれの高速カーブは次の高速カーブに繋がっている。オーバーテイクは難しく、サイドグリップがすべてだ。

 マルケスは過去3回のロサイルでのレースで1回しか表彰台に登壇していない。残りの2回はいずれも優勝者より7秒遅れだった。だが今回、最終コーナーでマルケス流の攻撃を仕掛けるのに、十分近いところにいたのだ。おそらくうまくいかないことを彼は分かっていたが、試す価値はあった。

 もう少しでうまくいくところだった。フィニッシュラインを通過した時、マルケスのバイクの前輪は、ドビジオーゾの後輪からほんの数インチ後ろにあるだけだった。それではホンダは何が変わったのだろう? マルケスはいまだに2017年型シャシーで走行しているから、違うのはエンジンということになる。

■エンジンのポテンシャルを大幅に上げてきたホンダ


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