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MotoGP ニュース

投稿日: 2018.05.15 16:57
更新日: 2018.06.26 16:10

スペインGPでの衝撃のクラッシュは最新ライディングフォームがもたらした災厄?/ノブ青木の知って得するMotoGP

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MotoGP | スペインGPでの衝撃のクラッシュは最新ライディングフォームがもたらした災厄?/ノブ青木の知って得するMotoGP

 スズキで開発ライダーを務め、日本最大の二輪レースイベント、鈴鹿8時間耐久ロードレースにも参戦する青木宣篤が、世界最高峰のロードレースであるMotoGPをわかりやすくお届け。第10回は、MotoGP第4戦スペインGPで起こったダニ・ペドロサとホルヘ・ロレンソ、アンドレア・ドヴィツィオーゾの3台によるクラッシュについて。このクラッシュを作ってしまった要因には最新のライディングフォームも関わるようだが果たして?

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 トップグループを形成している3台がゴッソリいなくなるなんて、見たことがない。それほど衝撃的だった、スペインGP決勝18周目のクラッシュ。アンドレア・ドヴィツィオーゾ、ホルヘ・ロレンソ、そしてダニ・ペドロサが一瞬にしてリタイアを喫してしまった。

 ロレンソを抜きあぐねていたドビが思い切ってインを突いたのが、多重クラッシュが発生した6コーナーの進入だ。オーバースピードで減速し切れなかったドビがコーナーのアウトにはらみ、ロレンソも同じく止まり切れずにややはらむ。この動きを好機と見たペドロサがここぞとばかりにインに飛び込んだが、そこにロレンソが舞い戻る! ペドロサはこれにまったく気付かず2台は接触。ペドロサはハイサイドを食らい、さらにロレンソはドビを巻き込む形で転倒し、全員リタイアとなってしまった。3人にケガがなかったのが不幸中の幸いだ。

 あのクラッシュは、誰が悪いというような類いのものじゃない。いわゆるレーシングアクシデントの範疇で、取り立てて問題視するような出来事ではないとワタシは思う。強いていうなら、ロレンソの戻り方が急だったかな、という印象はある。もう少し後方を気にしていれば、ペドロサの接近にも気付けたはずだ。……が、あくまでも「強いて言うなら」。ロレンソが特に問題だったとは思わない。

 どうせ「強いて言うなら」、ライディングフォームにも触れておきたい。最近のMotoGPライダーのフォームはイン側に大きく体を落としていて、アウト側はほとんど見えていないのだ。ペドロサがロレンソの復帰に気付かなかったのも、「あのフォームじゃそもそも見えないよね」という視界の悪さが一因になっている。

 ではなぜMotoGPライダーの皆さんは、コーナリングであんなにもイン側に体を落とすのか。視界は確実に狭くなるという弊害があるのに……。実質的なメリットは、バイクがよく曲がるようになることだ。一般の皆さんがバイクに乗るときも、ちょっとイン側に体をずらすだけでグイグイと旋回力が増すのを体感できるはずだ。詳細は難しくなるので割愛するが、バイクとはそういう乗り物だということでご理解ください。

近年のMotoGPではマルケスの肘をするほどのライディングフォームがトレンドとなっている
近年のMotoGPではマルケスの肘をするほどのライディングフォームがトレンドとなっている


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