2018鈴鹿4時間耐久ロードレースの決勝レースが7月28日、鈴鹿サーキットで行われ、Yamaha Thailand Racing Team(アヌパッブ・サルムーン、ピラポン・ブーンラート組)が優勝した。
決勝レーススタート時点では、本降りの雨で路面はフルウエット。ル・マン式のスタートから序盤にトップを奪ったのは、MKR&SRR+ADF with speedHeartの大北裕夢。15番グリッドからトップに躍り出ると、1周目で2番手以下に約4秒のアドバンテージを築く。
大北はスタートからの数周、ハイペースで周回するが、次第に2番手につけていたYamaha Thailand Racing Teamのアヌパッブ・サルムーンが背後に迫る。Yamaha Thailand Racing Teamは2017年の鈴鹿4耐優勝チーム。2018年も同じライダーラインアップでの参戦である。
サームーンは8周目にはトップとの差を約1.3秒として迫ると、テール・トゥ・ノーズで大北にぴたりとつけ、10周目には130Rで一気に抜き去った。大北は13周目にはA.P.HONDA RACING THAILANDのワリット・トーンヌパクンにも交わされ、3番手にポジションを落とす。
開始から30分が経過した時点では、トップ3台が抜け出た状態。3番手の大北と4番手につけたK-max RT&KITの目代祐紀との差は約30秒に広がり、トップのサームーンは、17周目には早くも30番手以下を周回遅れにする。
開始から1時間を迎えようとするころ、1回目のピットインが始まった。上位陣で最初にピットインを行ったのは、2番手を走行中だったA.P.HONDA RACING THAILANDのトーンヌパクン。21周を走り切ってピヤワット・パテウンヨットにライダー交代した。
トップを走っていたYamaha Thailand Rading Teamのサルムーンはその翌周、23周目にピットイン。ピラポン・ブーンラートに交代するとトップでレースに復帰した。さらにTeruru・MotoUP RTの斉藤魁、4番手を走行中だったK-max RT&KITの目代もピットイン。しかしK-max RT&KITはライダー交代を行わず、なんらかのトラブルが発生したのか、マシンをガレージに戻してしまった。
また、3番手を守っていた吉川(MKR&SRR+ADF with speedHeart)がM・ファブリアンシャー(Astra Honda Racing Team)に交わされ、Astra Honda Racing Teamが3番手に浮上する。その後方では山中琉星(テルル・MotoUP RT)と、松川泰宏(MOTO BUM HONDA+SAI)が5番手争いを展開。山中は数周にわたりテール・トゥ・ノーズのバトルを繰り広げる。
山中は2018年シーズン、レッドブル・MotoGPルーキーズカップに参戦する16歳の若手ライダー。一方の松川は42歳のベテラン。若手対ベテランの戦いは、僅差で山中が5番手を守る戦いが続く。
しかし山中は5番手を守りる一方で、4番手に迫っていた。37周目、吉川(MKR&SRR+ADF with speedHeart)を130Rでオーバーテイク。4番手に浮上する。開始から1時間40分を迎えた時点で、トップ3は変わらずYamaha Thailand Racing Team、A.P.HONDA RACING THAILAND、Astra Honda Racing Team。このころには雨が上がり、迫る2回目のピット作業でのタイヤ戦略が注目された。
いち早く2回目のピットインを行ったのは、A.P.HONDA RACING THAILANDだった。43周を走り切ってタイヤをドライに変更してコースに復帰する。しかしコースに復帰して間もなく、ストップ&ゴーのペナルティが課せられてしまう。黄旗無視がその原因だったという情報が入っており、A.P.HONDA RACING THAILANDはこのペナルティにより順位を下げることになってしまった。
また、46周を走り切ってYamaha Thailand Racing Team、テルル・MotoUP RT、3番手を走行していたAstra Honda Racing Teamは48周でピットイン。このころにはウエットパッチが残るコースコンディションで、ピットインではドライタイヤが選択されたと見られている。
上位陣が2回目のピット作業を終え、トップは変わらずYamaha Thailand Racing Team、2番手はMOTO BUM HONDA+SAI、3番手にはテルル・MotoUP RTがつけている。コース上はほぼドライコンディションに回復し、ラップタイムも序盤の2分30秒台から2分18秒から20秒にまで短縮した。
66周目、ダンロップコーナーで転倒が発生。残り約1時間となったこのレース終盤で、セーフティーカーが導入される。その後もレース最終盤に2回、転倒車が出たことによりセーフティーカーが導入されたがトップは変わらず。
一方、2番手争いが最後に展開された。2回目のセーフティーカー明け、テルル・MotoUP RTの山中が、MOTO BUM HONDA+SAIの松川を130Rでオーバーテイク。2番手に浮上する。しかしテルル・MotoUP RTは燃料が不足したか、残り10分を切ってピットイン。燃料を補給しライダーを斉藤に交代すると、3番手でコースに復帰した。
2017年の優勝チーム、Yamaha Thailand Racing Teamはその後も順調に周回を重ね、後続を大きく突き放して鈴鹿4耐連覇を達成。周回数は93周で、後続に約1分の差をつける独走優勝だった。2位には関東におけるホンダ有力チームのひとつであるMOTO BUM HONDA+SAI、3位には若手ライダー山中と斉藤ペアのテルル・MotoUP RTが入り、表彰台に上った。
以下、2018鈴鹿4時間耐久ロードレースのタイム結果。