2018年シーズンのスーパーバイク世界選手権(SBK)は、サマーブレイクも終わり今週末に後半戦がスタートする。全13ラウンド26レース行われる今シーズンも残り4ラウンドとなる。後半戦に入る前に前半に行われた9ラウンドを振り返りつつ解説する。
ヨーロッパを中心に行われるSBKは、市販スーパースポーツで争われる最高峰レース。複数のクラスが併催されているが、最高峰クラスは4気筒1000cc、2気筒であれば1200ccまでのバイクが使用できる。
シーズン前には、SBKをプロモートするドルナが2017年シーズンの結果を踏まえエンジン回転数に制限を加えることを発表。4気筒のアプリリア、BMW、MVアグスタ、ヤマハは回転数の上限(レブリミット)が14700回転、ホンダが14300回転、カワサキが14100回転。そして唯一2気筒を使用するドゥカティが12400回転になることが決まった。4気筒のマシンでは、ホンダとカワサキがハンディキャップを背負うこととなった。
そんなSBKは9ラウンド18レースを終え前半戦が終了。開幕戦オーストラリアはレース1でタイヤライフに問題が発生したことで、レース2はタイヤ交換が行われる異例のレース展開。そんななかドゥカティのマルコ・メランドリがダブルウイン。タイヤを激しく消耗させペースダウンしたカワサキは、ハンディキャップも重なり苦戦を強いられるシーズンになるかと思われた。
しかし第2戦タイのレース1でカワサキのジョナサン・レイがポール・トゥ・ウインを飾りはやくも巻き返し。レース2はドゥカティのチャズ・デイビスが勝利。第3戦アラゴンでも優勝者は同じ結果となった。
第4戦アッセンのレース2ではカワサキのトム・サイクスが今季初優勝。第5戦イモラはレイが今季初のダブルウインを達成した。
第6戦イギリスはヤマハのマイケル・ファン・デル・マークがダブルウイン。SBKでオランダ人初勝利、ヤマハに2011年以来の優勝をもたらす結果となった。第7戦チェコレース2ではチームメイトであるヤマハのアレックス・ロウズが初優勝、ファン・デル・マークが2位を獲得しチームにとっては初のワン・ツーフィニッシュをあげた。
第8戦アメリカはレイが今季2度目のダブルウインを達成しアプリリアのユージン・ラバティが3位で今季初表彰台を獲得した。第9戦リビエラ・ディ・リミニでもレイはダブルウイン。アメリカラウンドに続き4レース連続でレイが優勝し前半戦を終えた。
レイは前半の18レース中10勝、表彰台獲得は15回と並外れた成績を残し、SBK通算60勝を達成。カール・フォガティの59勝を上回り、SBKにおける最多勝記録を更新した。
表彰台は、カワサキ、ドゥカティ、ヤマハ、アプリリアの4メーカーが獲得しており、BMW、MVアグスタ、ホンダの3メーカーはまだ表彰台にのぼっていない。2017年シーズンの優勝はカワサキとドゥカティの2チーム、表彰台にはヤマハも上ったが3メーカーのみの争いであった。
ランキングでは、トップが370ポイントでレイ、2位が278ポイントでデイビス、3位が248ポイントでファン・デル・マークと上位3人は別メーカー。レイは2位に92ポイントと大差をつけているが、残り8レースあるため逆転することは不可能ではなく、チャンピオンシップ争いは混戦となるだろう。
シーズンは残り4ラウンド。ポルトガル、フランス、アルゼンチン、そしてカタールが最終戦となる。第12戦アルゼンチンは今年が初開催となり、ビリクムサーキットは今年建設された新コースだ。後半の残り8レースはどのような展開が待ち受けているだろうか。
以下、2018年SBK前半戦ランキングと表彰台獲得ライダー。