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MotoGP ニュース

投稿日: 2018.10.04 22:50
更新日: 2018.10.05 11:19

MotoGPコラム:アラゴンでのマルケスの走りに怒りを表したロレンソ。その言い分は正しいか間違いか

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MotoGP | MotoGPコラム:アラゴンでのマルケスの走りに怒りを表したロレンソ。その言い分は正しいか間違いか

 イギリス在住のフリーライター、マット・オクスリーのMotoGPコラムをお届け。第14戦アラゴンGPの1コーナーで転倒を喫し、リタイアとなったポールスタートのホルヘ・ロレンソ。レース後、ロレンソは、転倒の原因はマルケスのブロックにあるとコメントしていた。この論争についてオクスリーが分析する。

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 ホルヘ・ロレンソ優勝のチャンスはアラゴンのターン1出口で潰えた。レース後、ロレンソはマルク・マルケスの走りについて怒りを表していたが、この論争については誰に責任があるのか?

 『1984年』や『動物農場』やそのほか重要な本の著者であるジョージ・オーウェルのことを、ホルヘ・ロレンソが聞いたことがあると考えたい。一番よく読まれている一冊は『カタロニア賛歌』(スペイン語ではHomenaje a Cataluna)であり、これはスペイン内戦を戦った彼の陰惨な経験をつづったものだ。

 オーウェルはバルセロナで民兵組織に参加し、アラゴン戦線で戦った。そこは日曜日にロレンソとマルケスが戦った場所からそう遠くない。1937年の5月にオーウェルは喉をスナイパーに撃ち抜かれて死にかけた。

 モーターランド・アラゴンでは、ロレンソはそれほどの負傷はしなかった。マルケスがロレンソを追い抜いた際、ロレンソがハンドルバー越しにマシンから投げ出された時、彼が耐えなければならなかったのは足の親指の脱臼と、もう一方のつま先の複雑骨折だった。

ロレンソはアラゴンGP1コーナーでハイサイドクラッシュを喫した
ロレンソはアラゴンGP1コーナーでハイサイドクラッシュを喫した

 ロレンソが早い段階でリタイアしたのは、3度のMotoGPチャンピオンである彼のためだけでなく、タイトル争奪戦においても非常に残念なことだった。なぜなら2台のドゥカティはポイントリーダーとの争いに絡んでおり、チャンピオンシップの様相がひっくり返す可能性が少ないながらもあったからだ。しかしながら、ひっくり返されたのはロレンソだった。

 そして彼はそのことに怒っていた。「マルクは僕のレースと足を台無しにした」と彼は息巻いた。「彼はまた、このレースでの優勝とおそらくはタイGPでの優勝の可能性も打ち砕いてしまった」

■怒るロレンソの言い分は正しいか

 実際には、マルケスはなんらそのようなことはしていない。現王者マルケスは3番グリッドからスタートし、ブレーキング勝負でアンドレア・ドヴィツィオーゾを追い抜いた。そしてアクシデントが起きやすいことで有名なスポットであるタイトな最初のコーナーをアタックする際に、ロレンソを抜き去ったのだった。

 間違いなくマルケスは限界にあった。彼のタイヤは温度が十分に上がっておらず、タイヤラバーはコーナーに入るところでアスファルト上で横滑りしていたので、マルケスはワイドに走った。なぜならそれ以上ラインをタイトにすると、転倒してしまうからだ。だが誰にも接触することはなく、マルケスはラインを取れていた。だからそこはマルケスのコーナーだった。

 ターン1でロレンソがすべきことはダメージを抑えることだった。彼もコースの汚れた部分をワイドに走った。そこでリヤタイヤが横滑りしてグリップし、彼はシートから投げ出されたのだ。

「マルクは僕をコーナーに進入させようとしなかった」とロレンソは付け加えた。「彼は僕をダートに追いやった。そこでスロットルを開けたらクラッシュしたんだ。あれはブロックパスだ。彼は僕のことなど気にかけず、とても遅い段階でブレーキをかけた。コーナー出口のことなど気にもしていなかった」

 ロレンソがメディアに話した後で、私はドゥカティ・チームの関係者何人かと話をした。この出来事に対するロレンソの見方に同意するものは誰もいなかったが、彼らは記事のためのインタビューではそのような発言はしなかった。


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