中上貴晶(LCRホンダ・イデミツ)がMotoGPライダーとして初めて挑んだ日本GPは、15位という結果で幕を閉じた。レース後、インタビューに応じた中上の表情に笑顔はない。沈んだ声色で、中上は「情けないです」と漏らした。
日本GP決勝レースを12番グリッドから迎えた中上。ポジションとしてはトップ10圏内も充分ねらえる位置だ。しかし、スタート直後のオープニングラップで、中上は大きく後退する。
「まずまずのスタートを切れました。4列目だったので、かなり混戦ではありましたが1、2コーナーも想定内の順位で立ち上がりました」
しかし、問題はそのあとだった。
「3コーナーで少しアウトに膨らんで、そのあと4コーナーで接触等もありました。自分が少しアウト側にいたのでコースアウトしてしまい、一気に順位を落としてしまったんです。そこでレースをより厳しくしてしまいました」中上はそう肩を落とす。
3、4コーナーでポジションを落とした理由は、自身のミスではなかった。また、予選Q2で発生したブレーキの問題も、決勝日朝のウオームアップ走行で確認して解消していた。
「(3、4コーナーでは)かなり混戦になるので、もう少し内側にいればよかったと思います。ポジションがよくなく、接触でハンドルが引っかかってしまい、ほぼ制御不能で立ち直ったときにはコースの外に出てしまいました。運が悪かった部分もあります」
2018年の日本GP、MotoGPライダーとなった中上に対する日本のファンの注目度は高く、たくさんの応援があった。自身としても、それを自覚していた。レースを振り返る中上の表情は、終始硬いままだ。
「一言、本当に申し訳ないです。こういうレースを望んでいなかった。もう少しいいレースができると思ったので。正直、情けないですね。1周目に大きく順位を落としたのが一番の敗因です。本当に序盤から厳しいレースになってしまったので」
MotoGPクラスはMoto2クラスと比べ、タイム差が少ない分、後方からの追い上げが厳しいという。中上はオープニングラップを、22番手で終えている。それでもじりじりとポジションを上げていき、最終的には15位でチェッカーを受けた。
「(順位を落としてからは)できるだけプッシュして、タイヤライフのことも考えず無心で追い上げました。順位をばん回しなければいけないという気持ちがあったので、それだけの思いで走っていました」
15位でポイントは獲得したものの納得できるレースではなかった、中上の表情がそう物語る。中上にとってMotoGPライダーとして迎えた初の母国グランプリは、苦い結果で終わる形となった。