MotoGP第16戦日本GPで最高峰クラス5度目のタイトルを決めたレプソル・ホンダのマルク・マルケスに、イギリス在住のフリーライター、マット・オクスリーがインタビューを実施。2018年シーズンも圧巻の走りで王者に輝いたマルケス。その強さの秘密は何なのだろうか?
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Q:MotoGPが共通ソフトウェアとミシュランタイヤに切り替えてから3年になるけれど、何が変わっただろう? バイクをより労って走らなければならないだろうか?
マルク・マルケス(以下マルケス):そうだね、過去3シーズンのMotoGPにおける最大の変化はミシュランタイヤだ。なぜならミシュランタイヤはバイクのバランスを完全に変えてしまった。2015年末にみんなが初めてミシュランタイヤを試した時、多くのクラッシュが起きていたよね。なぜならブリヂストンタイヤでのマシンセットアップのバランスは、ミシュランタイヤに必要なバランスとはまったく異なるものだったんだ。
ブリヂストンのフロントタイヤはとても良かったが、リヤタイヤはまったくグリップしなかった。ミシュランタイヤはその反対だ。だから、まずバイクに適応しなければならなかったし、ライディングスタイルも少し調整した。
そして、ソフトウェアの変更で何もかもが変わってしまった。ファクトリーソフトウェアのときは電子制御を完全に信用し、望むように走ることができた。速く走るために電子制御を使えたんだ。今では逆だ。電子制御を使いすぎず、自然に、スムーズに走る必要がある。電子制御に逆らわないようにね。
Q:電子制御をあまり使わずにレースをしたい?
マルケス:そうだね、僕はあまり電子制御を使わない方がいい。なぜなら、すべてのことを自分自身がよりコントロールできるからね。今僕たちが使っているソフトウェアは悪いものじゃない。だけど、高いレベルの電子制御を使って走れることもよかったよ。他のことに集中できたからね。ただアクセルを全開にしてベストを尽くすんだ。その方が簡単だったよ。
Q:ミシュランのフロントタイヤで多くのスライドを膝と肘を使ってセーブしているのを見たけれど、セーブのことについて話してくれる? 膝と肘の他にアクセルを利用したりポジションを移動したりしている?
マルケス:たくさんの人にそのことを聞かれるよ、僕のチームさえも、何をやっているんだ? ってね。これはただ僕自身に起きていることなんだ。フロントを失ったときにできることは、僕の肘を押し下げることだ。状況にもよるけれど、アクセルを開けるときもあるし、閉じて待つこともある。でも、それを理解するのはとても難しいことなんだ。
あとは、どのタイヤを使っているかにもよるね。もし、とても硬いタイヤを使っている時にフロントを失ったら僕はクラッシュする。でも柔らかいタイヤを使っている時にフロントを失ったら、僕はクラッシュをセーブできるんだ。たとえば今年のヘレス(第4戦スペインGP)。僕は午前のウォームアップとフリー走行中に3回クラッシュしたけれど、それはすごく硬いフロントタイヤを使っていたからだ。それがレース用にはベストなタイヤだった。ハードなタイヤの時にフロントを失うと、いろいろなことがあっという間に起きるんだよ。
Q:今ではブリヂストン時代よりもコーナリングスピードを使うようになった?