イギリス在住のフリーライター、マット・オクスリーのMotoGPコラム。MotoGPオフィシャルテストで見えた各メーカーの動きをオクスリーが分析する。
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ドゥカティの2019年の目標は、ここ数年のものと同じだ。ドゥカティのエンジニアたちがコーナーエントリーの際のグリップとフィーリングの問題(ロッシや他の多くのライダーにつきまとった)を解決して以来、彼らの主な問題は中速コーナーでのコーナリングにあった。
過去数シーズン、特に2018年シーズンにドゥカティ・コルセのボスであるルイジ・ダリーニャが徐々にこの問題を軽減させたが、今のデスモセディチGPは、コーナー進入と立ち上がりの際の優れた安定性を損なうことなしに、コーナー中盤で今以上の速さを出すことが難しい段階にある。コーナー進入と立ち上がりの安定性はチームの現在の成功の要なのだ。ドゥカティは、過去2シーズンでは13勝を挙げた。比較すると、それ以前の6シーズンでは2勝している。
しかし、おそらくダリーニャは他の領域で重要な進歩を遂げている。ミシュランタイヤの時代では、リヤタイヤの温度を妥当なレベルに保つことが、最も重要なパフォーマンス要因のひとつとなっている。タイヤをより労われば、レース終盤でより速いスピードを出せるからだ。
アンドレア・ドヴィツィオーゾは、ほぼ間違いなくMotoGPにおけるタイヤマネジメントの名手だ。リヤタイヤをオーバーヒートから守ることはMotoGPの誰にとっても大きな懸案事項であり、ドヴィツィオーゾの新たなチームメイトのダニロ・ペトルッチにとってはなおさらそうだ。
ペトルッチは体重78キロと、グリッド上で一番体が大きい。結果としてリヤタイヤの温度はとてつもなく高くなり、タイヤの寿命を縮めることになる。しかしペトルッチの2019年型デスモセディチGPがこの問題を解決する役に立つだろう。
「バイクはさらに安定しており、そのおかげでタイヤの温度を多少低くすることができている。そのためラップごとに速さを出せている」とペトルッチは語った。