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MotoGP ニュース

投稿日: 2019.01.17 13:43
更新日: 2019.01.18 19:56

MotoGP:ヤマハ開発部部長が明かす苦闘のシーズン。転機はタイGP/スペシャルインタビュー

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MotoGP | MotoGP:ヤマハ開発部部長が明かす苦闘のシーズン。転機はタイGP/スペシャルインタビュー

 2018年MotoGP第17戦オーストラリアGPで、マーベリック・ビニャーレスが優勝した。ヤマハが表彰台の頂点に立ったのは、2017年第8戦オランダGP以来、実に26レースぶりのことだ。だがその勝利を『復活の狼煙』と呼べるほど、ヤマハの状況は好転したわけではない。結局ヤマハは残り2戦で勝ち星を挙げられず、1勝で2018年シーズンを終えた。長く続く苦戦の要因は何か。ヤマハMS開発部部長の辻幸一氏に聞いた。

 ヤマハのGPマシンは歴代、ブレーキングからターンにかけて、つまりコーナリングの序盤を強みとしてきた。だが、少なくともここ2シーズン、ヤマハYZR-M1は本来の強みをうまく発揮できずにいる。2016年までさかのぼりながら辻氏が解説する。

ヤマハMS開発部部長の辻幸一氏
ヤマハMS開発部部長の辻幸一氏

「2016年は、レース序盤でトップを走っていても、終盤までリヤタイヤのグリップが保たずにポジションを落とす、というパターンが多かったんです。そこで、ミシュランタイヤの理解度を高めながら、いかに最後までリヤタイヤを保たせるかを考えた。そのひとつの解決策が、2017年のマシンでした」

「2017年は、開幕前のテストからビニャーレスの調子が良かった。リヤグリップも保つようになった。ところがいざシーズンが始まると、グリップダウンが始まったときの落ち込み度合いが激しい、という問題に突き当たったんです。そのことで、我々が本来得意としてきたブレーキングでは止まれず、ターンではマシンを充分に寝かせられなくなった。さらに、ウエットコンディションまでうまく走れなくなったんです」

 ビニャーレスも、チームメイトのバレンティーノ・ロッシも、マシンに対して確信を持てず、思い切った走りができなくなっていた。2017年はビニャーレスが3勝を含む7度表彰台に立ち、ロッシが1勝を含む6度表彰台に立ちはしたが、ついに満足できるマシンの仕上がりは得られず、最終戦に及んで2016年型を持ち込む、という事態まで発生した。

 そういった苦い2017年シーズンを踏まえた2018年シーズンだったが、ヤマハにとって再び厳しいものとなった。2018年型YZR-M1は、タイヤをしっかりと使い込める方向で開発し、その目標は概ね達成したものの、また違った問題が見つかった。

 路面コンディションを含めた外的な要素はほぼ変わっていないのに、走行初日と2日目ではまるで別のマシンのようにフィーリングが変わってしまう、といったことが起こるのだ。

「少し敏感なマシンになっていた、と言えるかもしれません」と辻氏。共通ECU、ミシュランのワンメイクタイヤが導入されて以降のMotoGPマシンは、ほんのわずかな差がわずかなタイム差を生み、それが大きくリザルトに跳ね返ってくる。辻氏の言う「少し敏感」も極めて微妙な話ではあるのだが、走りにはダイレクトに表れてしまう。

■光明見えたタイGPからつながったオーストラリアGPの勝利


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