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MotoGP ニュース

投稿日: 2019.05.30 21:06
更新日: 2019.05.30 21:07

MotoGPコラム:マルケスの目で見えない速さの秘密。関係者は「今のところ彼は無敵だ」に同意

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MotoGP | MotoGPコラム:マルケスの目で見えない速さの秘密。関係者は「今のところ彼は無敵だ」に同意

 イギリス在住のフリーライター、マット・オクスリーのMotoGPコラムをお届け。レプソル・ホンダ・チームのマルク・マルケスは第5戦フランスGPで独走優勝を果たし、2019年シーズン3勝目を挙げた。マルケスの強さは、目に見えないところに秘密があるとオクスリーは語る。

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 マルケスは、第5戦フランスGPのフリー走行で不可能とも思えるセーブを再び見せ、決勝ではライバルたちを後ろに残して、ホンダの最高峰クラス300勝目を上げた。

 フランスGPのフリー走行1回目で、ホルヘ・ロレンソ(レプソル・ホンダ・チーム)はガレージ・バート(8コーナー)の2連続右コーナーでわずかにワイドになり、滑りやすい縁石に乗り上げて転倒した。

 数分後、マルク・マルケスが同じミスをした。縁石に乗り上げた際、マルケスのマシンはハンドルがいっぱいに切られた状態になり、リヤは縁石上で弾んでいた。状況は確かに手遅れで、マルケスはスリップダウンしたと思われたが、実際は転倒せずに復帰したのだ。

マルケスはフリー走行1回目でスリップダウンから立ち直るという驚異のスキルを見せた
マルケスはフリー走行1回目でスリップダウンから立ち直るという驚異のスキルを見せた

 必然的にこれらのインシデントはメディアに大きく取り上げられることになった。ファンとライバルたちは、5度のMotoGPチャンピオンであるマルケスの不可能を可能にする能力に驚嘆した。同じことをできる者は、少なくとも普段からできる者は、文字通り誰ひとりとしていない。

 しかし、こうした目を見張るようなセーブは、マルケスの才能のほんの一部にすぎない。転倒をセーブするマルケスのスキルは実際に目でみることができるものだが、マルケスの速さの秘密は我々が目にすることができないものだ。そのひとつが、コーナーをアタックする際にフロントタイヤをどのように対処しているかとうことだ。

 高速の状態からフロントタイヤをロックさせ、コントロールを維持しながら限界ぎりぎりでコーナーに進入することができるだろうか? おそらく無理だろう。それが、マルケスがライバルとの違いを生み出している部分だ。

 マルケスは、アスファルトにフロントタイヤのブラックマークを残しつつブレーキをかけ、おそらくタイヤのトラクションの限界を1000分の1%余計に引き出している。そして、コーナーに進入する際は、その状況をブレーキ圧、ボディポジションといったすべての要素を使って調節し続けるのだ。

 ほとんどのMotoGPライダーは、ミシュランのフロントタイヤを時速200マイル(約321.87km/h)でロックさせるという恐ろしい経験をしている。2016年にミシュランのコントロールタイヤが導入されて以来、マルケスが毎年MotoGPタイトルを獲得してきたのは偶然ではない。マルケスの頭のなかには世界で最も優れたABSシステムがあるため、彼は混乱した状況でもブレイクダンスを踊ることができるのだ。

■クラッチロー「今のところ彼は無敵だ」


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