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MotoGP ニュース

投稿日: 2019.08.23 06:00
更新日: 2019.08.22 21:54

予想以上にギャンブル性高い2輪レースのタイヤ選択/ノブ青木の知って得するMotoGP

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MotoGP | 予想以上にギャンブル性高い2輪レースのタイヤ選択/ノブ青木の知って得するMotoGP

 スズキで開発ライダーを務め、日本最大の二輪レースイベント、鈴鹿8時間耐久ロードレースにも参戦する青木宣篤が、世界最高峰のロードレースであるMotoGPをわかりやすくお届け。第23回は、オーストリアGPで明暗分けたタイヤ選択について。青木がレーシングライダー視点で2輪レースのタイヤ選択の難しさを解説する。

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 最終ラップに激しい攻防を見せた、アンドレア・ドビツィオーゾ(ドカティ・チーム)とマルク・マルケス(レプソル・ホンダ・チーム)。ドビツィオーゾが意地を見せ、今季2勝目をもぎ獲った。2輪レースの世界最高峰にふさわしい素晴らしいバトルに、観ていて思わず声が出ましたねワタシは……。

 ああいう時のライダー心理としては、もう間違いなく「転んでもいいや!」と思っている。あんな飛び込み合戦をしていたら、転倒のリスクは絶対的に高いのだ。危険を承知で、でも最大限転ばないようなギリッギリの走り。もはやテクニックなんてもんじゃなく、意地の張り合いでしかない。感動しました。

「僕たちは互いを尊敬しあっているからあのバトルができた」と決勝後、マルケスは会見で語った。
「僕たちは互いを尊敬しあっているからあのバトルができた」と決勝後、マルケスは会見で語った。

 だがあの勝負、実はスタートした時点で決着していた。ふたりのタイヤチョイスだ。ドビはフロントにミディアム、リヤにソフト。一方のマルケスはフロントにミディアム、リヤもミディアムを選択していた。そしてレース終盤、ふたりのリヤタイヤが明暗を分けた。ソフトが保って、ミディアムが保たなかったのだ。

「ん?」と思いません? 一般的なイメージでは、ソフトはグリップが高いけどライフが短い、はず。なのにソフトの方が保ちがいいなんて……。

 マルケスもレース中、「ん? んんん?」と思っていたはずだ。中盤はトップに立ってドビの様子を見ながらペースメイクし、終盤はドビを先に行かせてミディアムタイヤを温存。最後の最後にスパートをかけ、ソフトタイヤでグリップが終わったドビを抜き去る……という予定だったに違いない。

 ところが終盤、トップに立ったドビのペースが予想以上に速い。「え?」と驚きつつも、自分のミディアムタイヤがおいしいグリップを発揮するのを待ったが、なかなか来ない。そしてついにグリップしないまま最終ラップを迎えてしまった。

■ギャンブル性が高い2輪レースのタイヤチョイス


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