スーパーバイク世界選手権(SBK)第10戦ポルトガルがアウトドローモ・インターナショナル・アルガルベで行われ、レース1、スーパーポール・レースでジョナサン・レイ(カワサキ・レーシングチーム・ワールドSBK)が優勝。レース2ではアルバロ・バウティスタ(Aruba.it レーシング-ドゥカティ)が第7戦イタリア(ミサノ)以来の勝利を挙げた。
サマーブレイク明け初めてのレースとなった第10戦ポルトガル。SBKにとっては約2カ月ぶりのレースである。今大会では第5戦イモラのスーパーポールで転倒負傷したレオン・キャミア(モリワキ-アルティア・ホンダ・チーム)が依然として復帰できず欠場。代役として全日本ロードレース選手権JSB1000クラスに参戦する高橋巧がエントリーした。
高橋にとっては、2017年のスポット参戦以来のSBK参戦。2017年のスポット参戦でもポルトガルラウンドを戦っており、高橋にとっては経験あるサーキットでの代役参戦となる。
レース1はスーパーポールの結果により、ポールポジションがレイ、2番手にトム・サイクス(BMWモトラッド・ワールドSBKチーム)、3番手にサンドロ・コルテセ(GRTヤマハ・ワールドSBK)が並んだ。バウティスタは6番手、高橋は17番手、清成龍一(モリワキ-アルティア・ホンダ・チーム)は18番手からのスタートとなった。
■レース1:レイが独走でポール・トゥ・ウイン。バウティスタは追い上げのレースに
気温30度、路面温度43度のドライコンディションのもと、レース1が始まった。ホールショットを奪ったのはポールポジションスタートのレイ。そこにサイクス、レオン・ハスラム(カワサキ・レーシングチーム・ワールドSBK)が続く。6番手スタートのアルバロ・バウティスタ(Aruba.it レーシング-ドゥカティ)はオープニングラップで16番手にまでポジションを落とす。
バウティスタがポジションを落としたのは、オープニングラップの1コーナーでチャズ・デイビス(Aruba.it レーシング-ドゥカティ)と接触しかけたことが原因だった。バウティスタはこの1コーナーで大きく後退することになる。
トップを走るレイは2周目にレコードを更新するファステストラップを叩き出し、2番手のサイクス以下との差を広げていった。その差は3周目を終えてすでに2秒以上。レイは独走態勢に入る。
レイの後方では、サイクスとデイビスにより2番手争いが展開される。デイビズは5周目の1コーナーでサイクスを交わして2番手に浮上すると、そのすぐ後ろにつけていたマイケル・ファン・デル・マーク(パタ・ヤマハ・ワールドSBKチーム)がサイクスをパス。さらに続いてハスラムがサイクスをとらえる。サイクスは6周目にはトプラク・ラズガットリオグル(ターキッシュ・プセッティレーシング)にも交わされ、6番手に後退してしまう。
デイビスとファン・デル・マークが2番手争いを展開し、1秒離れてハスラム、ラズガットリオグル、アレックス・ロウズ(パタ・ヤマハ・ワールドSBKチーム)、サイクスが4番手争いの集団を形成。そんななか、7周目の13コーナーでサイクスがスリップダウンを喫する。転倒自体は大きなものではなく、サイクスはすぐにマシンを起こしてレースに復帰したが、上位争いからは脱落することになった。
一方、1周目で大きくポジションを落としたバウティスタは8周目を終えて7番手にまで浮上。前を行く6番手のロウズとの差は、約5秒という状況だ。
レース折り返しの10周を終えて、トップは依然、独走態勢を崩さないレイ。すでに2番手との差は約4.6秒にまで開いている。2番手はデイビスが維持しているが、ファン・デル・マークとの僅差の争いは変わらない。テール・トゥ・ノーズでの2番手争いは2番手デイビス、3番手ファン・デル・マークのまま続く。
その後方では、ハスラムを交わしたラズガットリオグルが4番手に浮上。しかし、その差はわずかで、ラズガットリオグルの4番手は予断を許さない状況。そして7番手のバウティスタは、少しずつロウズとのギャップを削っていた。
残り5周、バウティスタがついに4番手争いのグループに追いついた。このとき、4番手を走るのはハスラム、5番手がラズガットリオグル、そして6番手がバウティスタだ。3台はワンパックとなり、緊迫した状況が続く。
そして残り3周、メインストレートでバウティスタが一気に加速。ラズガットリオグルを交わして5番手にポジションを上げると、4番手のハスラムにも襲いかかる。バウティスタは残り2周のメインストレートでハスラムをオーバーテイク。ついに4番手に浮上した。
一方、レースをリードし続け快走したレイは一度もその座を譲ることなく、トップでチェッカー。サマーブレイク明けのレースを優勝で飾った。2位は中盤以降、ファン・デル・マークの追随を退けたデイビス。3位にはファン・デル・マークが入った。
4位は見事な追い上げを見せたバウティスタ。5位はハスラム、6位はラズガットリオグルが入っている。代役参戦の高橋は15位。代役参戦ながらポイントを獲得した。清成は19位でフィニッシュしている。
■SBK第10戦ポルトガル レース1順位結果(20周)
Pos. | No. | Rider | Team/Machine | Time/Gap |
---|---|---|---|---|
1 | 1 | J.レイ | カワサキ・レーシングチーム・ワールドSBK(カワサキZX-10RR) | 34’19.341 |
2 | 7 | C.デイビス | Aruba.it レーシング-ドゥカティ(ドゥカティ パニガーレV4 R) | 3.891 |
3 | 60 | M.ファン・デル・マーク | パタ・ヤマハ・ワールドSBKチーム(ヤマハYZF-R1) | 6.168 |
4 | 19 | A.バウティスタ | Aruba.it レーシング-ドゥカティ(ドゥカティ パニガーレV4 R) | 8.564 |
5 | 91 | L.ハスラム | カワサキ・レーシングチーム・ワールドSBK(カワサキZX-10RR) | 8.877 |
6 | 54 | T.ラズガットリオグル | ターキッシュ・プセッティレーシング(カワサキZX-10RR) | 10.404 |
7 | 22 | A.ロウズ | パタ・ヤマハ・ワールドSBKチーム(ヤマハYZF-R1) | 13.495 |
8 | 11 | S.コルテセ | GRTヤマハ・ワールドSBK(ヤマハYZF-R1) | 21.345 |
9 | 33 | M.メランドリ | GRTヤマハ・ワールドSBK(ヤマハYZF-R1) | 21.582 |
10 | 21 | M.ルーベン・リナルディ | バーニーレーシングチーム(ドゥカティ パニガーレV4 R) | 22.486 |
11 | 81 | J.トーレス | チーム・ペデルチーニ・レーシング(カワサキZX-10RR) | 22.701 |
12 | 28 | M.ライターベルガー | BMWモトラッド・ワールドSBKチーム(BMW S1000RR) | 27.132 |
13 | 66 | T.サイクス | BMWモトラッド・ワールドSBKチーム(BMW S1000RR) | 34.484 |
14 | 36 | L.メルカド | オレラック・レーシングVerdNatura(カワサキZX-10RR) | 36.612 |
15 | 13 | 高橋巧 | モリワキ-アルティア・ホンダ・チーム(ホンダCBR1000RR) | 46.877 |
16 | 76 | L.バズ | テンケイト・レーシング(ヤマハYZF-R1) | 47.901 |
17 | 20 | S.バリアー | ブリックス・パフォーマンス(ドゥカティ パニガーレV4 R) | 1’00.704 |
18 | 52 | A.デルビアンコ | アルティア・ミエ・レーシングチーム(ホンダCBR1000RR) | 1’00.767 |
19 | 23 | 清成龍一 | モリワキ-アルティア・ホンダ・チーム(ホンダCBR1000RR) | 1’09.039 |
RET | 50 | E.ラバティ | チーム・ゴーイレブン(ドゥカティパニガーレV4 R) | 8 Laps(リタイア) |