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投稿日: 2019.09.12 06:00
更新日: 2019.09.13 19:18

【MotoGPコラム】スズキのリンスがホンダのマルケスに0.013秒差で勝った理由/前編


MotoGP | 【MotoGPコラム】スズキのリンスがホンダのマルケスに0.013秒差で勝った理由/前編

 イギリス在住のフリーライター、マット・オクスリーのMotoGPコラム。第12戦イギリスGPの決勝でホンダのマルケスとスズキのリンスが繰り広げられた超接戦のバトルは、0.013秒差でリンスに軍配が上がった。この戦いは、リンスとマルケスのライディング技術とマシン構成の違いが生んだものだとオクスリーは分析する。

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 1979年にイギリスGPの開催地シルバーストンは40周年を迎え、そのレースはバリー・シーン(スズキ)とケニー・ロバーツ(ヤマハ)による一流ライダー同士の対決で祝われた。その日、シーンはロバーツに対して勇猛果敢にアタックし、ファイナルラップで最終コーナーの18コーナーを高速で走り抜けるなか、シーンはロバーツのアウト側につけていた。シーンは行き場を失い、0.3秒差でロバーツに敗北した。

 2019年の第12戦イギリスGPでは、スズキのアレックス・リンスが、ホンダのマルク・マルケスに対して勇猛果敢にアタックし、リンスはファイナルラップで18コーナーを高速で走り抜け、現代の“キング”ケニーとも呼ぶべきマルケスのイン側に入り込んだのだ。リンスは0.013秒差で勝利した。これは最高峰クラスで4番目に小さいタイム差だった。

 シーンとロバーツの戦いと同じように、リンスとマルケスの戦いは激しかった。ふたりともファイナルラップですべてが決めることを十分に心得ていた。

 実のところ、リンスは決勝で2度勝ったようなものだ。リンスは最後から2周目が最終ラップだと思い込んでいたため、15コーナーで、最初で最後のつもりの攻撃をマルケスに仕掛けた。

ファイナルラップ前は0.001秒差でフィニッシュラインを通過したアレックス・リンス(チーム・スズキ・エクスター)
ファイナルラップ前は0.001秒差でフィニッシュラインを通過したアレックス・リンス(チーム・スズキ・エクスター)

 マルケスは15コーナー先のストレートでリンスの前に出るが、最後の17コーナーと18コーナーでリンスはワイドなライン取りをして外側から回り込んで縁石に乗り、フィニッシュラインを0.001秒差で先頭で通過した。1970年代、最終コーナーに縁石があったら、シーンはロバーツに対して同じことができたかもしれない。

 だがもちろん、そのときレースは終わっていなかった。マルケスとリンスがファイナルラップの1コーナーに差し掛かった時、マルケスがリードを広げたが、リンスは驚くほどすぐに冷静さを取り戻し、もう一度アタックを仕掛ける態勢に入った。

 ファイナルラップの最後の2コーナーでは、ふたつのことがマルケスにとってうまく運ばなかった。マルケスは17コーナーでスピードを落としすぎた。マルケスはラインを防御しようとしていたが、18コーナーでフロントとリヤ両方のコントロールを失ったため、数センチワイドになってしまい、リンスがイン側を攻めることを許してしまった。

■超接戦の戦いを生んだマシン構成の差