ツインリンクもてぎで開催されているMotoGP第16戦日本GPのMoto3クラスにワイルドカード参戦する全日本ロードレース選手権J-GP3クラスのチャンピオン長谷川聖(Team Anija Club Y’s)は、初日2回のフリー走行に続き、フリー走行3回目(FP3)でも107%ルール(基準タイム)を満たせなかった。そのため予選に出走できず、決勝レースを戦うことなく日本GPを終えた。その背景を長谷川と山田修代表のコメントをもとに振り返る。
レースウイーク初日の金曜日は、Moto3で全車共通のデロルト製ECUとノーマル状態のホンダNSF250Rを初めて組み合わせたこともあり、マシンをまともな状態に持っていくことができずにいた長谷川。この日、ベストタイムは2分5秒159で終え、総合トップのライダーから8秒417と大きく離されていた。ちなみに、長谷川は全日本ロード開幕戦もてぎの予選では2分2秒358を記録しており、日本GP初日のタイムは約3秒遅いという状況だった。
予選日となったレースウイーク2日目は「普通に走るようにはなった」と長谷川。しかし、コンディションが初日のドライからウエットへと変化し、タイヤもダンロップのドライタイヤからウエットタイヤと、状況は大きく変わった。そのため、セッティングも振り出しに戻ってしまう。
「雨のセッティングができておらず、セッティングがまったくつかめない状態でした。それでもタイムを詰めないといけませんでした」とコメントするように、長谷川は、まず基準タイムを超えることを目指した。そんななか、長谷川はFP3の走行3周目に5コーナーで転倒を喫してしまう。
この転倒によるダメージは少なかったようで、長谷川はピットへと戻り、マシンを修復してから再びコースへと向かった。しかし、7周目のセクター1を通過した後にトラブルが発生しマシンを止めた。この時、コースではオレンジボール旗(トラブルが発生している車両に対して出される旗)が提示されていた。
最終的に長谷川がFP3で記録したベストタイムは2分17秒954となり、基準タイムの2分17秒372以内に入れることができなかった。「転倒してしまい、マシンを少し直してから再びコースインしました。その時にトラブルでコースサイドにマシンを止めることになってしまいました。全然タイムを残せないまま終わってしまい、基準タイムの107%に届かず、こういう形で終わってしまいました」
Moto3クラスは2019年からレギュレーションの変更があり、予選に出場するためには3回のフリー走行の同一セッション内で最も速いライダーが記録したタイムの107%に相当するタイムを得なければならなくなった。3回のフリー走行でこれを満たせなかった長谷川は予選に出走することができず、グランプリライダーたちとレースを戦うことなく日本GPを終えることになった。
この結果に「悔しいの一言ですが、仕方がないところもあります」と長谷川。「結果は受けとめ、全日本最終戦鈴鹿に向けて準備をしていきたいと思います。発見はいっぱいあったので、そこをしっかり今後に活かしていきたいです」と気持ちを切り替えていた。