カル・クラッチロー(LCRホンダ・カストロール)がMotoGP第17戦オーストラリアGPで、2位表彰台を獲得した。クラッチローにとって、この表彰台は特別なものになったようだ。というのも、ちょうど1年前、クラッチローはこのオーストラリアGPで大きなクラッシュを喫したからだ。
クラッチローはレース序盤から上位につけると、4周目にはトップに浮上。、マーベリック・ビニャーレス(モンスターエナジー・ヤマハMotoGP)に交わされるまでトップを走行した。ビニャーレス、マルク・マルケス(レプソル・ホンダ・チーム)にパスされたあとは単独3番手の走行となったが、ビニャーレスの転倒により2位フィニッシュを果たした。
「金曜日のフリー走行の結果にかかわらず、今日は表彰台を獲得できるペースがあると思っていた。マルクやマーベリックについていくグリップはなかったから、大きな差が開いてしまった。でも、自分のペースには満足しているよ」
フィリップアイランドは、クラッチローが2018年に大クラッシュを喫したサーキットだ。そのクラッシュが起きたのは、2018年のオーストラリアGPフリー走行2回目のことだった。1コーナーで激しい転倒を喫したクラッチローは、右足首を骨折。メルボルン市内の病院に搬送されて手術を受けた。クラッチローは2018年シーズンのオーストラリアGP以降3戦を欠場し、オフシーズンもリハビリに取り組んだ。
このときの怪我は、クラッチローのレーシングライダーとしてのキャリアを危うくさせるほどのものだったという。それだけに、よろこびとともに感じ入るものがある。
「本当に、本当にオーストラリアGPで表彰台を獲得できてうれしい。昨年のクラッシュがあってから、一時は戻れないかもしれないとも考えたんだ」
2019年のオーストラリアGPで2位表彰台を獲得したクラッチローはそう語った。そして、決勝レース後のプレスカンファレンスでは、今季は2018年オーストラリアGPの転倒にとらわれていた、とも明かしている。2018年の悪夢を、クラッチローは2位表彰台獲得という形で振り払った。