11月19日、リカルド・トルモ・サーキットで2020年シーズンに向けたMotoGPクラスの公式テストが、2日間の日程でスタートした。各メーカーが新しいシャシーやエンジン、パーツなどをテストするなか、初日はファビオ・クアルタラロ(ペトロナス・ヤマハSRT)がトップタイムをマークしている。
テストではレギュラーライダーに加え、ステファン・ブラドル、ダニ・ペドロサ、ブラッドリー・スミス、ミケーレ・ピロといったテストライダーも走行に加わった。
現地時間10時から始まったテストだが、10時の時点ではまだ冷え込みが強く、気温が低いためか多くのライダーが11時近くになってから徐々に走行を開始した。前日18日に最高峰クラス昇格とともにレプソル・ホンダ・チーム入りが発表されたMoto2チャンピオン、アレックス・マルケスは、2019年型ホンダRC213Vで走行。しかし最初のコースインから8周目に10コーナーで転倒を喫した。アレックス・マルケス自身はその後、ピットに戻ってテストを継続している。
アレックス・マルケスとともに2020年シーズン、最高峰クラスに昇格するイケル・レクオーナ(KTMテック3・レーシング)、ブラッド・ビンダー(レッドブル・KTM・ファクトリーレーシング)も積極的にKTMのMotoGPマシン、RC16を走らせた。レクオーナも開始から2時間後、4コーナーで転倒している。
2019年シーズン王者のマルケスは、当初、現行型と思われるホンダRC213Vでコースイン。その後、ピットインを行い、2020年型のマシンに乗り換えた。マルケスはその後、何度かマシンを入れ変えて走行を行った。
開始から2時間後、アプリリアのテストライダー、ブラッドリー・スミスが転倒。この直後に赤旗が提示され、セッションは一時中断となったが、約5分後に再開している。さらにこの30分後にはホンダのテストライダー、ステファン・ブラドルが10コーナーで転倒した。
さらに開始から3時間後の13時半前、アウトラップを走行中だったマルク・マルケスが13コーナーで転倒。これにより、一時赤旗が提示されたがその後まもなく解除された。マルク・マルケス自身にダメージはなかったようで、その後ピットに戻った。
この日は転倒が相次ぎ、開始から5時間40分後には、この時点でトップタイムをマークしていたクアルタラロが10コーナーでスリップダウン。グラベルに向けて滑っていったクアルタラロは、途中で何かに引っ掛かったように激しく転がった。クアルタラはその場にうずくまり、すぐに起き上がることはできなかった。その後、自力で歩いて退避している。この転倒によりセッションは一時中断となったが、間もなく再開された。
16時を回ると次第に陽が傾き始め、ライダーたちは次第に走行を切り上げる。最後まで精力的に走行を行っていたのはマルク・マルケス、バレンティーノ・ロッシ(モンスターエナジー・ヤマハMotoGP)、ブラドルだった。
バレンシア公式テスト1日目をトップで終えたのは、クアルタラロ。この日走行を行った23名のライダーのなかでも最多の82周を走り込んだ。クアルタラロは主にカーボンスイングアームとフェアリングをテストしたということだ。2番手はマーベリック・ビニャーレス(モンスターエナジー・ヤマハMotoGP)、フランコ・モルビデリ(ペトロナス・ヤマハSRT)が3番手に続き、トップ3をヤマハが占めた。
2番手タイムをマークしたビニャーレスは9番手でテストを終えたロッシとともに、新しいエンジン、エアダクト、シャシーを備える2020年型プロトタイプをテストした。
ドゥカティ・チームは4番手につけたアンドレア・ドヴィツィオーゾが新しいシャシーをテストした。一方で、ダニロ・ペトルッチはバレンシアGPの決勝レースで転倒した際に負った左肩の負傷により、10周で走行を切り上げた。ペトルッチも3周、新シャシーのマシンで走行を行ったということだ。
5番手はマルク・マルケス。こちらも新しいシャシーが投入されている。スズキ勢としては、チーム・スズキ・エクスターのジョアン・ミルとアレックス・リンスがそれぞれ6番手、7番手タイムをマーク。ふたりともに新しいエンジンをテストし、リンスは新しいシャシーやスイングアームも試したという。
ルーキー勢としては、バレンシアGPで一足早くMotoGPクラスデビューを飾ったレクオーナは13番手。KTMファクトリーチームから参戦するビンダーは21番手、セッション序盤に転倒を喫したアレックス・マルケスは23番手だった。
■MotoGPバレンシア公式テスト 1日目タイム結果
Pos. | No. | Rider | Team | Motorcycle | Time | Laps/Total |
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1 | 20 | F.クアルタラロ | ペトロナス・ヤマハSRT | ヤマハ | 1’30.163 | 73 / 82 |
2 | 12 | M.ビニャーレス | モンスターエナジー・ヤマハMotoGP | ヤマハ | 1’30.327 | 58 / 66 |
3 | 21 | F.モルビデリ | ペトロナス・ヤマハSRT | ヤマハ | 1’30.650 | 30 / 71 |
4 | 4 | A.ドヴィツィオーゾ | ドゥカティ・チーム | ドゥカティ | 1’30.665 | 48 / 58 |
5 | 93 | M.マルケス | レプソル・ホンダ・チーム | ホンダ | 1’30.698 | 33 / 60 |
6 | 36 | J.ミル | チーム・スズキ・エクスター | スズキ | 1’30.811 | 61 / 63 |
7 | 42 | A.リンス | チーム・スズキ・エクスター | スズキ | 1’30.958 | 57 / 76 |
8 | 44 | P.エスパルガロ | レッドブルKTMファクトリー・レーシング | KTM | 1’30.974 | 29 / 58 |
9 | 46 | V.ロッシ | モンスターエナジー・ヤマハMotoGP | ヤマハ | 1’31.012 | 57 / 73 |
10 | 43 | J.ミラー | プラマック・レーシング | ドゥカティ | 1’31.130 | 20 / 43 |
11 | 35 | C.クラッチロー | LCRホンダ・カストロール | ホンダ | 1’31.183 | 63 / 69 |
12 | 9 | D.ペトルッチ | ドゥカティ・チーム | ドゥカティ | 1’31.433 | 9/10 |
13 | 27 | I.レクオーナ | レッドブルKTMテック3 | KTM | 1’31.645 | 55 / 57 |
14 | 29 | A.イアンノーネ | アプリリア・レーシング・チーム・グレシーニ | アプリリア | 1’31.674 | 28 / 54 |
15 | 53 | T.ラバット | レアーレ・アビンティア・レーシング | ドゥカティ | 1’31.775 | 50 / 53 |
16 | 41 | A.エスパルガロ | アプリリア・レーシング・チーム・グレシーニ | アプリリア | 1’31.815 | 20 / 45 |
17 | 26 | D.ペドロサ | KTMテック3・レーシング | KTM | 1’31.863 | 38 / 52 |
18 | 51 | M.ピロ | ドゥカティ・チーム | ドゥカティ | 1’32.016 | 23 / 38 |
19 | 17 | K.アブラハム | レアーレ・アビンティア・レーシング | ドゥカティ | 1’32.034 | 44 / 47 |
20 | 38 | B.スミス | アプリリアファクトリー・レーシング | アプリリア | 1’32.090 | 46 / 50 |
21 | 33 | B.ビンダー | レッドブルKTMファクトリーレーシング | KTM | 1’32.645 | 61 / 70 |
22 | 6 | S.ブラドル | レプソル・ホンダ・チーム | ホンダ | 1’32.833 | 25 / 25 |
23 | 73 | A.マルケス | LCRホンダ | ホンダ | 1’32.873 | 52 / 53 |
─ | 82 | M.カリオ | レッドブルKTMファクトリー・レーシング | KTM | ─ | ─ |
※リザルトの表記は公式に準ずる。