イギリス在住のフリーライター、マット・オクスリーのMotoGPコラムをお届け。MotoGP最終戦バレンシアGPの前日、3度のMotoGP王者ホルヘ・ロレンソは引退を発表した。その後任には、2019年のMoto2王者でマルク・マルケスの弟、アレックス・マルケスに決まったが、その発表が行われるまでにバレンシアでは様々な噂が炎のように燃え広がったという。
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MotoGP最終戦バレンシアGPに現れたほとんどのジャーナリストは、静かな週末を望んでいた。ライダー、チーム、マニュファクチャラーのタイトルはすでに決まっているし、それほど仕事もなく、あとはシーズン末のパーティがいくつかあるだけだ。
だが、それはホルヘ・ロレンソが週末を台無しにした。ロレンソが2020年はレーストラックではなくビーチに行くことにしたために、メディアセンターは噂と、それを打ち消すさらなる噂で大騒ぎになった。記事になるのは、5度の世界チャンピオンであるロレンソ引退の決断ではなく、誰がロレンソの後任でレプソル・ホンダ・チームに入るかということだった。
ジャーナリストのグループはメディアセンターに群れをなし、パドックのキーマンから聞いたばかりの新事実を分かち合った。そして彼らはキーボードをカタカタとものすごい勢いで打ち出した。しかし、それも最新のスクープが新事実に覆されるまでで、作業は最初からすべてやり直しになった。
ヨハン・ザルコがロレンソの後任だ。いや、ザルコではない。カル・クラッチローだ。クラッチローのわけはない、中上貴晶だ。中上のわけはない、アレックス・マルケスだ。
パドックの噂は山火事のように広がり、今回はレプソル・ホンダを超えたところまで炎が広がった。ザルコはアビンティア・レーシングに移籍してドゥカティに乗るだろう。まさか、そんなことはないだろう。ジャック・ミラーはドゥカティのファクトリーチームに移籍し、ダニロ・ペトルッチの後任になるだろう。一方、ザルコはプラマックでミラーの後任になり、ペトルッチは放出されるだろう。まさか、そんなことはないだろう。とりあえず今のところは……。
炎は広がり、燃え上がった。MotoGPの上層部、チームマネージャー、ライダーマネージャー、イベント主催者がみんなそれぞれの立場から論争を繰り広げた。ある時点ではメディアセンターが自発的にすべての騒ぎを掻き立てているようなものだった。