スーパーバイク世界選手権(SBK)では1月22~23日にスペインのヘレス・サーキット‐アンヘル・ニエトで、1月26~27日にポルトガルのアウトドローモ・インターナショナル・アルガルベでプレシーズンテストが実施された。TEAM HRCは2019年11月に行われたウインターテストには参加せず、このヘレスから公の場に姿を現し新型のホンダCBR1000RRで走行。ヘレスでは初日トップタイムを記録し戦闘力を見せるも、ポルトガルではヘレスでの悪天候が影響しマシン開発作業に追われた。
ホンダは2020年にワークスチームを復活させSBKにTEAM HRCとして参戦する。マシンは2019年11月に発表されたホンダCBR1000RR-R FIREBLADE SPをベースとした、SBK仕様のワークスマシンとなる『ホンダCBR1000RR-RW FIREBLADE SP』を投入。そのマシンを走らせるライダーはアルバロ・バウティスタとレオン・ハスラムだ。
ライダーのふたりは過去にホンダのマシンでレースに参戦した経験はあるものの、2019年はバウティスタはドゥカティ、ハスラムはカワサキのマシンを駆っていたため、先代モデルのCBR1000RRすら走らせていない。しかし、バウティスタは昨シーズンランキング2位を獲得、ハスラムはジョナサン・レイのチームメイトとしてチャンピオンチームで活躍していたため期待が持てる体制と言えるだろう。
TEAM HRCは昨年末に事前のプライベートテストを実施したという情報もあるが、今回のヘレステストでライダーとマシンともに初の登場となった。では計4日行われたテストでどこまで開発が進められたのだろうか。
ヘレステストの初日はウエットコンディション。開発が遅れる形となったが、この日ふたりは技術者とマシンセットアップの作業を中心に行ったという。ハスラムは14周と多く走行できなかったが記録した1分52秒149は全体トップタイムだった。バウティスタは15周の走行で10番手、タイムは1分54秒824だ。
2日目はスリックタイヤを履き走行できるコンディションまで回復し、ハスラムが1分42秒797で6番手、バウティスタは1分43秒579で8番手とトップ10でヘレステストを終えた。
「難しいコンディションだったけれど、僕たちは試したいことのリストを確認しながら、コースに出るたびに様々なことをテストした。僕たちの優先事項は、テストする必要のある多くのアイテムを試すことだったので、そのためにもドライコンディションを望んでいた」と語るハスラムはテスト項目はすべて試せたという。
「初日はウエットコンディションだったが何周か走るのに問題はなかった。2日目もトラックは完全には乾かなかったけれど、必要なことをすべてやり終えた。最後には僕たちのやりたかったことをやり遂げたけれど、その後また雨が降ってきたので、ポルティマオでもこの作業を続けるつもりだ」
「アルバロ(バウティスタ)のような力強いチームメイトがいるということにワクワクしているし、僕たちはふたりともバイクについて同じような理解をしているようだ」
バウティスタは「初日はウエット、2日目はミックスコンディションでのテストだったけれど、新しいバイクに乗り、それを開発しなければならない僕たちにとっては決して簡単なテストではなかった」と述べるとおりハスラムに比べニューマシンに苦労している様子だ。
「もちろんドライコンディションでもっと走行距離を稼ぐことが必要だったけれど、少なくともいくらか有益なデータを集めることができた。僕たちには参考にできるものがない状態でスタートしたので、バイクのどの部分に集中しなければいけないのかというのは、タイムが教えてくれるだろう」
「2日目は完全なドライコンディションではなかったけれど、昨日よりはよかったし、スリックタイヤを使う機会もあった。僕の印象としては良かったし、僕たちにはかなりのポテンシャルがあると思うので、すべてのもの微調整する必要がある。基本的にこのプロジェクトにおける早い段階での最初の目標は、セットアップに関して懸命に作業をすることだ。そうすれば、できる限り早くトップレベルのパフォーマンスを発揮できるだろう」
ふたりが語るように多くのテスト項目を試したが、ドライコンディションでの走行をさらに望んでいるようだ。ハスラムは必要なことをすべてやり終えたが、バウティスタは前進しているものの上位で争うためセットアップの作業を大きく進める必要がある。
TEAM HRCはヘレステストを終え、さらに2日間テストするためにポルトガルのアウトドローモ・インターナショナル・アルガルベに向かった。ふたりが望んだとおり、ポルトガルテストでは2日ともドライコンディション。ハスラムもバウティスタも休みなく働き、エンジニアに情報を共有し大幅にマシン開発を進めたという。