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MotoGP ニュース

投稿日: 2020.02.03 14:49
更新日: 2020.02.03 21:09

安定を重視したヤマハの戦略に一抹の寂しさ。2020年はロッシの動向にも注目/ノブ青木の知って得するMotoGP

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MotoGP | 安定を重視したヤマハの戦略に一抹の寂しさ。2020年はロッシの動向にも注目/ノブ青木の知って得するMotoGP

 スズキで開発ライダーを務め、日本最大の二輪レースイベント、鈴鹿8時間耐久ロードレースにも参戦する青木宣篤が、世界最高峰のロードレースであるMotoGPをわかりやすくお届け。第27回はヤマハ・ファクトリーチームの体制発表、そして2021年以降の動向が注目されるバレンティーノ・ロッシについて語る。

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 ヤマハ・ファクトリーチームがいち早く2022年までのライダーラインアップを発表した。マーベリック・ビニャーレスは2020~22年、ファビオ・クアルタラロが21~22年ということだが……、早い! 早すぎる!!

 才能あるライダーをガッチリ押さえるという意味では、なりふり構わぬヤマハの戦略も分かる。ライダーとしても安心してレースに取り組めるというメリットがあるだろう。『ファクトリーチームで走る』ということは、ライダーにとって目標のひとつだからだ。が、もちろん双方ともにリスクがある。

 ヤマハ側が負うリスクは、ライダーが負傷やスランプなどによって調子を崩す可能性があることと、未来のマシンとの相性が必ずしもいいとは限らない、ということだ。もっとも、最近のテクニカルレギュレーション下ではマシンが劇的に変わることは見込めないから、メーカーをスイッチしない限り大ハズシはなさそう。YZR-M1をうまく乗りこなしているふたりだから、心配はない。

 ライダーが負うリスクは、マシンとの相性のほかに、将来の安定を手にすることで気が緩むかもしれない、という点だ。これはライダーの性格にもよるから何とも言えないが、ワタシは経験上、複数年契約より単年契約の方が頑張れた(笑)。常にケツに火が点いている状態の方がワタシには合っていたのだ。

「1年1年を全力で駆け抜け、その年のデキによって翌年の動向が決まる」という刹那的な感じがプロスポーツの醍醐味……ではあったけれど、今はメジャーリーグも10年越え契約の時代。終身雇用的な安心安定の体制を望むのが、イマドキのアスリートのあり方なのだろう。

 でもねぇ……。実力主義のプロスポーツに終身雇用はあり得ない。行き過ぎた安定志向はどうなのかなぁ、と思うところは正直ある。それに、「昔はよかった」とオッサン臭いことを言いたくはないけど、いちモータースポーツファンとしては、シーズンオフのお楽しみだった「あのライダーはどのチームに行くんだろうね?」というストーブリーグが懐かしくもなるのだ。

 他のいろんなスポーツと同じように、MotoGPもシーズン毎にライダーやチームの好不調の波がある。さらに道具を使うスポーツだけに、マシンの出来不出来も成績に大きく影響する。やはりワタシとしては、今シーズンの結果によって来シーズンの動向が決まっていくのが順当かなあ、と。ファン目線で見ても、今、目の前で起こっているレースの結果次第でそのライダーの将来が変わってくると思えば、ドキドキワクワク度合いが高まるというものだ。


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