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MotoGP ニュース

投稿日: 2020.07.14 12:05
更新日: 2020.08.06 12:25

新型BMW S1000RRで鈴鹿初テストを行ったTONE RT SYNCEDGE4413 BMW。鈴鹿8耐SSTクラス2連覇を目指す

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MotoGP | 新型BMW S1000RRで鈴鹿初テストを行ったTONE RT SYNCEDGE4413 BMW。鈴鹿8耐SSTクラス2連覇を目指す

 TONE RT SYNCEDGE4413 BMWが7月12日(日)に三重県・鈴鹿サーキットで鈴鹿8時間耐久ロードレースに向けたテストを行った。大雨に見舞われている日本列島だが、この日は朝からドライコンディションで走ることができていた。一般のスポーツ走行で様々なレベルのライダーが走るためスピード差があり、いたるところで引っかかる場面もあったが、そこは想定内。チームとしては、今シーズンより使用するニューBMW S1000RRにピレリタイヤの組み合わせで初めて走る鈴鹿でのベースセットを探るのが一番の目的だった。

 2020年シーズン、TONE RT SYNCEDGE4413 BMWが掲げる目標としては、鈴鹿8耐 SSTクラスの2連覇、そして全日本ロードレース選手権ST1000クラスでは、星野知也がシリーズチャンピオンを狙うということだった。しかし、新型コロナウイルスの影響を受け、スケジュールは大幅な変更を余儀なくされていた。

星野知也(TONE RT SYNCEDGE4413 BMW)
星野知也(TONE RT SYNCEDGE4413 BMW)

 緊急事態宣言が解除されてから、ツインリンクもてぎでピレリタイヤを履いてシェイクダウンを行い、続くスポーツランドSUGOのスポーツ走行では、初めてダンロップタイヤを履いてのテストとなった。ST1000クラスは、ダンロップのワンメイクということもあり全日本ロードの開幕戦が行われるSUGOでは当然のチョイス。2日間のテストで2度の転倒はあったが、まずまずのタイムも記録していた。

 こうして迎えた今回の鈴鹿テストは、鈴鹿8耐を戦う渥美心も合流。星野と渥美が2台のS1000RRを走らせ、それぞれ違う方向のセットを試し順調にデータ収集ができていた。この日は、30分の走行が4本あり、最後のセッションで予選用とも言えるソフトタイヤを履いて星野が出て行くがスプーンカーブ1個目で転倒。マシンは、クラッシュパッドの下に入り込んでしまう。高速でのクラッシュだっただけに怪我が心配されたが、肩甲骨と背中を痛めた程度で骨折はなかったのが不幸中の幸いだった。

2台同時にコースインする渥美心と星野知也(TONE RT SYNCEDGE4413 BMW)/2020年鈴鹿初テスト
2台同時にコースインする渥美心と星野知也(TONE RT SYNCEDGE4413 BMW)/2020年鈴鹿初テスト

「まだ、いろいろ試している段階ですし、ニューS1000RRのいいところを探っているところです。思ったよりも進んだ部分もありましたし、進まなかった部分もありましたが、1日だけでだいぶ進めることができました。転倒は残念でしたが次のステージに進む過程で必要だったと思います。ベストタイムは、星野が2分11秒7、渥美が2分12秒フラットだったので、タイム的にもマシンセット的にもいいテストになりました」と山下祐監督。

「ツインリンクもてぎのシェイクダウンのときは、ピレリですごくフィーリングがよくて、すぐに自己ベストの1秒落ちまでタイムが出ていました。鈴鹿ではどうなのかと思っていましたが、そんなに簡単ではないなという印象でしたね。今回は、ほぼ何もやっていない状態からベースセットを出す作業だったので、データを検証すればいい方向が見つかると思うしアベレージも上がると思います」とニューS1000RRに、いい手応えを感じているようだ。

7月12日に鈴鹿サーキットで初テストを行ったTONE RT SYNCEDGE4413 BMW
7月12日に鈴鹿サーキットで初テストを行ったTONE RT SYNCEDGE4413 BMW

 星野と言えば先のセパン8耐でも“レインマイスター”と紹介されるほど、ウエットを得意としている。同チームで全日本ロードJSB1000クラスへのデビュー戦となった2018年開幕戦ツインリンクもてぎでは、ウエットとなった予選でフロントロウを獲得、同じくウエットとなったレース1では、序盤にトップグループを走る速さを見せた。

 悪天候のため実質3時間で争われた昨年のセパン8耐では、ウエットスタートだったためその走りに注目が集まったが、すぐに乾くことを見越してドライ寄りのセットで走っていたため思うよう走りができず悔しい思いをした。そして星野から変わった渥美がトップグループと変わらないペースで周回。この快走もありSSTクラスで3位に入り初海外レースで表彰台に上がる活躍を見せた。

渥美心(TONE RT SYNCEDGE4413 BMW)
渥美心(TONE RT SYNCEDGE4413 BMW)

 渥美は、今回のテストで初めてニューS1000RRをライディングした。「前評判通り、新型はすごく乗りやすいバイクだったので安心しました。一番は電気の進化ですね。タイヤはすべっていても、しっかり制御して前に進めてくれるので走りやすいですし、余裕ができますね。新型ならではの問題もありましたが、そこを解決して行けば速く走ることができるでしょう」とファーストインプレッションを語った。

星野知也(TONE RT SYNCEDGE4413 BMW)/2020年鈴鹿初テスト
星野知也(TONE RT SYNCEDGE4413 BMW)/2020年鈴鹿初テスト

 星野にニューマシンでもウエットで速く走る自信はあるかと聞くと「チームとしては、武さん(武石伸也)と児玉(勇太)と2年やって培っていたものをベースにピレリを履いて、僕が乗ったら、うまくはまったというのが大きいですね。実際、2018年、2019年は、大きくセットを変更したことはなかったですから。それだけマシンが仕上がっている状態だったということです」という。

「今は、ニューマシンを理解している真っ最中ですし、ダンロップレインではまだ走ったこともないので未知数ですね。ただ、マシンが仕上がれば、いい走りはできると思っています」と謙遜するが、ST600でも雨は速く優勝経験もあるだけに期待されるところだ。

チーフメカニックの高村嘉寿氏と渥美心(TONE RT SYNCEDGE4413 BMW)/2020年鈴鹿初テスト
チーフメカニックの高村嘉寿氏と渥美心(TONE RT SYNCEDGE4413 BMW)/2020年鈴鹿初テスト

 新型BMW S1000RRの優れている部分をチーフメカニックの高村嘉寿氏に聞いてみた。

「まずは、ベースポテンシャルの高さですね。今回の気温・湿度でスタンダードのエンジンで297km/h出ています。前モデルでは、秋に同じスピードが出ていますが、よりエンジンはパワフルになっていますし、上だけではなく、下からしっかり扱える特性になっています」

「あとは電子制御が優れていますね。どう味付けしていくというのは大変な作業なのですが、これが出来上がれば強力な武器になるはずです。この金額で、このマシンが買えるのはすごいことだと思いますね」と、その戦闘力の高さもそうだが、コストパフォーマンスも優れているとコメント。星野の活躍によっては、ユーザーが増えていく可能性もあるだろう。

 この後、TONE RT SYNCEDGE4413 BMWは、全日本モードにスイッチ。7月下旬の予定されているスポーツランドSUGOでの事前テストをこなし、8月10日に同サーキットで開催される開幕戦に挑む。


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