更新日: 2020.08.25 08:03
【レースフォーカス】ビニャーレスが直面したブレーキトラブル/レース2で中上が履いたタイヤ:MotoGP第6戦
MotoGP第6戦スティリアGPの決勝レースでは、マーベリック・ビニャーレス(モンスターエナジー・ヤマハMotoGP)のマシンが1コーナーのアウト側エアフェンスに突っ込み、炎上。赤旗が提示されてレースが中断となった。このとき、ビニャーレスにはブレーキのトラブルが発生していたという。
また、再開されたレース2では、レース1で上位を走ってた中上貴晶(LCRホンダ・イデミツ)などがポジションを維持できなかった。その原因はどこにあったのだろうか。
■ビニャーレスのマシンに起こったブレーキのトラブル
17周目、ストレートから右に曲がる1コーナー前から、ビニャーレスのマシンが直進。ハイスピードのままエアフェンスに突っ込むと、マシンが燃え上がった。ビニャーレス自身はマシンがまだコース上にあるうちに飛び降り、ビニャーレスに怪我はなかった。このアクシデントにより、レースは一時中断となる。
ビニャーレスは「最初、バイクはとてもよかったのだけど、3周、4周くらいからフロントブレーキのプレッシャーを失い始めた。26秒台になった周もあった」と、レース後に行われたオンラインの取材で状況を説明した。
レース1で5番手スタートだったビニャーレスは、序盤、7番手付近を走行。ビニャーレスのコメントによれば、このころからブレーキに違和感を感じていたことになる。
レースを続けたビニャーレスは、その後、10周目から少しずつポジションを落としていった。13周目には、左手を上げてスロー走行をするシーンも確認できる。この周、ビニャーレスは一時1分24秒中盤を記録したラップタイムを1分28秒台にまで落としている。しかしその翌周には、再び1分24秒台のタイムに戻した。アクシデントが起こったのはその4周後だった。
「(17周目の1コーナーで)フロントブレーキが突然爆発した。できることは何もなかった」
それはビニャーレスにとって、これまでに経験がないものだったという。ブレーキに何かが起こったと感じたビニャーレスは、マシンから飛び降りることを決断した。右側から転がり落ちるようにマシンから離れたビニャーレス。このときは完全にノーブレーキの状態で、約230km/hのスピードが出ていた。
「ブレーキのパーツが飛んで行ってしまい、それでブレーキが利かないと思ったんだ。それでなにより、バイクから降りようとした。バイクをストップできなかったから」
ビニャーレス自身に大きな怪我がなかったことは幸いだったと言える。ブレーキのトラブルと言えば、先週のオーストリアGPで、ビニャーレスと同じくヤマハYZR-M1を駆るファビオ・クアルタラロ(ペトロナス・ヤマハSRT)が言及していたことだ。
このときクアルタラロは「ブレーキが柔らかいと感じていた。4本の指を使ってバイクを止めようとしていた。(赤旗中断中に)レース2に向けてブレーキディスクとキャリパーを交換したけれど、変わらなかった」と述べていた。
そのクアルタラロ、スティリアGPでは「レース後、(ブレーキが)柔らかくなっていた」と感じたという。ここ数戦、マシントラブルが発生しているヤマハ勢。エンジンの使用基数がライバルメーカーよりも多くなっている懸念もある。ともあれ、今回のトラブルの原因究明が急務となりそうだ。