2020年シーズンはマルク・マルケスにとって例年とは違うものになっている。レプソル・ホンダのライダーであるマルケスは、シーズンの最初のラウンドで負った怪我のために、レースを自宅で観戦せざるを得ないのだ。レースを家で観戦するのは辛いことだが、マルクはトレーニングを継続しており、時期が来ればサーキットと彼のホンダRC213Vのもとへ戻れるように努力している。
マルケスは9月25日~27日に開催された母国レースであるMotoGP第9戦カタルーニャGPを前にして、2020年シーズンについて、そして身体およびメンタル面でのコンディション、レプソル・ホンダ・チームのパフォーマンスについて思いを語った。
※インタビュー前編はこちらから。
──ところであなたはレースを家で観戦しているわけですが、とても奇妙な感じでしょうね?
マルケス:家でレースを観るなんて一番辛いことだよ。自分がそこにいたいのに、フリー走行やレースを家で見ているんだから。そして結果が拮抗していることが分かる。今シーズンは様々な優勝者が生まれているので、余計に復帰へのモチベーションが高まるんだ。でも結局はタイミングの問題だ。第7戦サンマリノGPが終わって、僕は首位からたった84ポイント差なんだけど、僕自身の獲得ポイントがゼロだというのはおかしな感じだ!奇妙なシーズンで、他のライダーと比べて抜きん出ているライダーがいないように思える。
──今シーズンについてはどう思いますか?のこり7戦が控えていて、まだ見通しは完全にはついていません!
マルケス:奇妙な感じだね。なぜなら誰も勝ちたがっていないように見えるんだ!誰もトップに立ちたがっていない。理解しづらいかもしれないが、でもライダーだったら、少しは理解できるかもしれない。
ライダーでいるということは、勝てば素晴らしいし、すごいことだ。でもライダーとして勝つ必要がある場合、何かが変化して多くの疑問が生まれる。攻撃すべきか、防御すべきか、分からなくなるんだ。もし自分が2位や3位や4位のライダーで、誰かが自分の前にいるなら、失うものは何もない。ただアタックしてさらに自信を持って走るだけだ。なぜなら失うものがないからだ。でも自分がトップにいて、それで優勝しなければならない場合、心や身体の中に疑念が生じ始めて、さらに難しい状態になる。
──ふたりのライダーが戦うだけでなく、多くのファクトリーやサテライトチームのバイクがあり、今年は複雑になっています。
マルケス:そうだね。それはMotoGPにとっては良いことだし、レース内容にしても今はサテライトチームがオフィシャルバイクを持てるから、多くのレースで勝てる。サテライトチームがシーズンやレースに向けて高い目標を持つことができるから良いことだよ。彼らはそのレベルで戦っている。スポンサーにとってもこうしたことは非常に良いことじゃないかな。
──オーストリアの『DAZN』でのインタビューで、あなたはドビ(アンドレア・ドビツィオーゾ)と(ファビオ)クアルタラロが気に入っていると言っていましたが、今でも同じですか?
マルケス:そうしたことを話すのは難しいけれど、オーストリアでクアルタラロとドビツィオーゾの調子が良いといったのは本当のことだ。正直に言って、彼らにはもっと期待していた。特にクアルタラロにはさらに期待をかけていた。なぜなら彼は最初の2レースを信じられないようなレベルで優勝したからだ。
でも今はどうなっているのかは分からない。彼は大いに苦戦している。彼の一番の強みのひとつである予選でもね。でもドビツィオーゾは安定している。彼はパフォーマンスを出しているが、でもタイトルを取りたければもっとスピードが必要だ。それに(マーベリック・)ビニャーレスもいるし、(ジョアン・)ミルもいる。25ポイントの差のなかに8人や9人のライダーがいるから、シーズンの終わりを観るのは興味深いことになるだろう。
──今週はバルセロナでのホームレース(第9戦カタルーニャGP)ですが、あなたは家から観戦しますか?
マルケス:MotoGPのレースは僕の家から1時間のところで開催されるんだ。変な感じだけれど、なんというか、奇妙な状況だね。僕のキャリアでこんな経験をするのは初めてのことだ。どのようなスポーツのアスリートのキャリアでもそうだろうね。15年間限界まで走行して過ごしていたのに、ある1年は、こんな状況になるんだ。できるだけ早く復帰しようとしている。今でもモチベーションは高いからね。