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MotoGP ニュース

投稿日: 2020.10.30 13:13
更新日: 2020.10.30 13:16

激戦のMoto3で待望の表彰台を掴み取った佐々木歩夢と鳥羽海渡/MotoGP第12戦テルエルGPレビュー(2)

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MotoGP | 激戦のMoto3で待望の表彰台を掴み取った佐々木歩夢と鳥羽海渡/MotoGP第12戦テルエルGPレビュー(2)

 テルエルGPのMoto3クラス決勝では、佐々木 歩夢(KTM)が2位、鳥羽 海渡(KTM)が3位に入賞。佐々木はグランプリ初表彰台、鳥羽は2019年開幕戦カタールGPでの優勝以来となる表彰台登壇となった。

 佐々木、鳥羽共に2000年生まれで、今年20歳となるATC(アジア・タレントカップ)出身のライダーだ。ATCはMotoGPを運営するドルナ・スポーツが2014年に創設したライダー育成シリーズで、アジアから未来のMotoGPライダーを発掘することを目標としてスタート。ホンダNSF250Rとダンロップタイヤのワンメイクで争われ、マシン差がなく、ライダーの技術向上を第一の目的としており、アルベルト・プーチがシリーズダイレクターを務めていた。

 鳥羽と佐々木はその第一期生で、2014年に鳥羽が初代チャンピオンとなり、2015年には佐々木がチャンピオンを獲得。その後、二人はアジア・タレントチームからMoto3ジュニア世界選手権に、並行してレッドブル・MotoGPルーキーズカップに参戦し、ヨーロッパでのレース経験を積んだ。

 Moto3ジュニア世界選手権では、2016年には鳥羽がランキング4位、佐々木がランキング6位を獲得、ルーキーズカップでも共に優勝を経験するなど活躍を収め、佐々木は2016年にルーキーズカップチャンピオンを獲得。2017年より、ふたりは世界グランプリのMoto3クラスにレギュラー参戦を開始した。

 佐々木は参戦初年度の2017年にMoto3クラスのルーキー・オブ・ザ・イヤーを獲得。鳥羽は3年目の開幕戦カタールGPで初優勝を達成するなど活躍。2020年には鳥羽がレッドブル・KTM・アジョに、佐々木がレッドブル・KTMテック3に移籍し、長年、乗りなれたホンダからKTMのマシンに乗り換えてMoto3クラス4年目となるシーズンに臨んだ。

 Moto3クラスはマシン差が少ないため、フリー走行からタイム差も僅差で接戦が展開されている。決勝レースでも序盤から終盤まで、20人ほどのライダーが集団で周回を重ね、優勝者から入賞圏内の15位までのレースタイム差が2、3秒ということも珍しくない。2、3秒の間に15人ものライダーがひしめき合い、数コーナーで順位が大きく変動することもある。

2020年MotoGP第12戦テルエルGP Moto3クラス:佐々木歩夢(Red Bull KTM Tech 3)
2020年MotoGP第12戦テルエルGP Moto3クラス:佐々木歩夢(Red Bull KTM Tech 3)

 また、他のライダーの強引な走りで接触転倒を余儀なくされたり、ポジションを下げるなど、自分自身の走り以外の要因で結果が左右されることも多く、ライダーの戦略と状況を観察する能力も問われるクラスとなっている。また、最後の勝負に向けてタイヤの性能をキープすることも重要で、そのためのセットアップをフリー走行からできるかどうかもカギとなる。予選で最速だったライダーが決勝で中団以下に沈むことも、決勝中のファステストラップが、中団以下のライダーによって記録されることも珍しくない戦いの厳しいクラスだ。

 テルエルGPでは佐々木が予選6番手を獲得。鳥羽は予選Q1を3番手で通過すると、Q2では予選8番手を獲得した。決勝でも序盤からトップ集団の前方で戦い、ふたりとも常に優勝をねらえる位置で周回を重ねた。

 最終ラップまで接戦の戦いとなり、チャンピオンシップをリードするアルベルト・アレナス(KTM)がトップで最後のバックストレートに入るが、2番手で立ち上がったジャウマ・マシア(ホンダ)がスリップストリームから抜け出し、アレナスをパス。佐々木と鳥羽も続き、最終コーナーにマシア、鳥羽、佐々木の順で進入。マシアが僅差のトップでチェッカーを受け、最終コーナー鳥羽のインを差したで佐々木が2位、鳥羽が3位に入賞した。最後までトップを争った4人は、Moto3ジュニア世界選手権時代からのライバルでもある。

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