レースを愛してやまないファンの方々へ
autosport web Premiumが登場。

詳細を見る

MotoGP ニュース

投稿日: 2020.11.11 18:59
更新日: 2020.11.11 19:13

最高峰クラス参戦2年目にして才能開花。チャンピオンシップをリードするジョアン・ミル/MotoGP第13戦レビュー

レースを愛してやまないファンの方々へ
autosport web Premiumが登場。

詳細を見る


MotoGP | 最高峰クラス参戦2年目にして才能開花。チャンピオンシップをリードするジョアン・ミル/MotoGP第13戦レビュー

 2020年MotoGP第13戦ヨーロッパGPのMotoGPクラスでジョアン・ミル(チーム・スズキ・エクスター)がMotoGPクラス初優勝を達成した。今年で最高峰クラス参戦2シーズン目となるミルは、オーストリアGPでMotoGPクラス初表彰台となる2位に入賞すると、表彰台争いの常連となり、ヨーロッパGPまでの12戦中、優勝1回、2位3回、3位3回と7戦で表彰台に立っており、アラゴンGP以降はチャンピオンシップ争いをリードしている。ヨーロッパGP終了時点でランキング2位のファビオ・クアルタラロ(ヤマハ)に37ポイント差をつけている。

 1997年9月1日、スペインのマヨルカ島に生まれたミルは、10歳でミニモトやミニモタードでレースキャリアをスタート。16歳となる2013年にはレッド・ブル・ルーキーズカップに選抜され、参戦初年度をランキング9位で終えると、2年目の2014年には3勝を記録してランキング2位を獲得する。この年のチャンピオンは現在Moto2ライダーのホルヘ・マルティンだった。2015年にはCEV(スペイン選手権)のMoto3ジュニア世界選手権に参戦。4勝、2位1回、3位2回を記録してランキング4位を獲得する。また、この年のオーストラリアGPでは代役として世界グランプリMoto3クラスにデビュー。18番グリッドからスタートし、決勝は転倒リタイアに終わったものの、続く2016年には世界グランプリレギュラー参戦のシートをつかんだ。

 2016年はレオパードレーシングからKTMで参戦。10戦目のオーストリアGPでグランプリ初ポールポジションから初優勝を達成するなど、グランプリ参戦初年度で通算3回表彰台に立つ活躍を収め、ルーキー・オブ・ザ・イヤーを獲得した。そして、続く2017年のMoto3クラスにはチームは同じレオパードレーシングながら、マシンをホンダにスイッチして参戦。通算10勝、2位2回、3位1回と圧倒的な強さで、グランプリ参戦わずか2シーズン目でチャンピオンを獲得した。

 続く2018年にはMoto2クラスにステップアップ。エストリア・ガルシア00マークVDSよりカレックスで参戦し、優勝こそなかったものの、2位を最高位に通算4回表彰台に立ち、ランキング6位、Moto2クラスでもルーキー・オブ・ザ・イヤーを獲得する。

 そして、ミルはスズキからのオファーを受けて2019年よりMotoGPクラスにステップアップ。オーストラリアGPの5位を最高位に、20戦中9戦でトップ10フィニッシュ。ケガで2戦を欠場したこともあり、ランキングは12位に止まったが、MotoGPマシンにも順調に適応した。

 スペイン時代から同期のクアルタラロ、マルティンらに比べて、やや遅れてグランプリにデビューしたミルだが、グランプリ参戦後は、瞬く間に最高峰クラスまで駆け上がった。特に激戦のMoto3クラスでチャンピオンを獲得した2017年には、シーズン通算10勝を記録している。この記録は1997年にバレンティーノ・ロッシが記録した小排気量クラスのシーズン最多勝記録の11勝には及ばなかったものの、当時よりレース数は多いとは言え、マシン差が少なく、ゴールライン直前まで接戦が繰り広げられるMoto3クラスでは驚異的な記録だ。また、ステップアップの過程で新クラスへの適応に時間がかかるライダーが多い中、ミルは素早く新しいマシンやレース環境に順応を見せ結果を残している。とてもクレバーで高いレベルでコンスタントなライディングができるライダー、というのが周囲のミルの評価だ。

■次のページへ:1年間の経験を経て、2020年シーズンの不測の事態にも対応


関連のニュース