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MotoGP ニュース

投稿日: 2021.05.04 08:02
更新日: 2021.05.05 16:06

【レースフォーカス】ミラーが乗り越えた時間に流した涙。一転の結末に失意のクアルタラロ/MotoGP第4戦スペインGP

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MotoGP | 【レースフォーカス】ミラーが乗り越えた時間に流した涙。一転の結末に失意のクアルタラロ/MotoGP第4戦スペインGP

 ドラマが生まれたMotoGP第4戦スペインGP決勝レース。主役はジャック・ミラー(ドゥカティ・レノボ・チーム)だった。Moto2クラスを経ずにMoto3クラスから最高峰クラスに昇格して7シーズン目の今季、自身2勝目、ドライコンディションでは初めての優勝を飾ったのである。

 ミラーは3番グリッドからスタートすると、ホールショットを奪いトップに立ったが、4周目でファビオ・クアルタラロ(モンスターエナジー・ヤマハMotoGP)に交わされて2番手に後退した。その差は1秒以上にまで広がったが、クアルタラロが右腕の腕上がりの影響でペースをがくりと落とすと、16周目に再びトップに浮上。最後までレースをリードした。

 ミラーは最終ラップの9コーナーで、「(優勝が)現実になるなんて、信じられない」と思っていたという。優勝のチェッカーを受けあと、パルクフェルメではドゥカティ デスモセディチGP21の側に座り、感極まった涙が浮かぶ目頭を指で押さえる。常にポジティブでどこかひょうひょうとした、にくめないキャラクターのミラー。ただそのときは、長い時間をかけて達成したものを静かにかみしめているようだった。ミラーにとっては、ウエットコンディションで行われた2016年のオランダGP以来、ドライコンディションでは初めての優勝だったのだ。

「(チェッカーを受けたあと)1コーナーに入って、信じられないような気持になった。そして2コーナーで涙が出てきた。5コーナーからはもう叫んでいるような感じだった。信じられなかったよ」

「90パーセントの時間について考える。トレーニングしているとき、ベッドに入ってこの瞬間を夢に見ているとき……、そしてついに達成して、感情の激しい渦のなかにいる。それを抑えられなかったんだ」

 ピットレーンではドゥカティ・レノボ・チームだけではなく、Moto2ライダーのサム・ロウズやレミー・ガードナー、ミラーのマネージャーを務めていたアジョ・モータースポーツ代表のアキ・アジョなど多くの関係者がミラーを祝福した。

2021年MotoGP第4戦スペインGP決勝 ジャック・ミラーとフランセスコ・バニャイアがワン・ツーフィニッシュ
2021年MotoGP第4戦スペインGP決勝 ジャック・ミラーとフランセスコ・バニャイアがワン・ツーフィニッシュ

「ピットレーンでみんなが拍手しているのを聞いた。僕はできるだけ誠実であろうとしている。僕はいつもハッピーで、みんなに『ハロー』と挨拶するようにしているんだ。こういうつながりのおかげだったんじゃないかなと思う」

 ひとつ、会見の中でミラーが語ったエピソードを紹介したい。ミラーはこの週末に“新たなライフコーチ”がいたことを明かした。

「ここ数週はなかなか難しかったよ。怒っていたし、いらいらもしていた。自分を信じられなかった。実は、今、僕には新しい“ライフコーチ”がいる」

「ルーシー・クラッチローが突然僕に電話してきて、僕にこう言ったんだ。『あなたは大丈夫。アグレッシブにいけるわよ』って。今朝はメッセージもくれた。だから、ルーシーにお礼を言わないといけない。ときどき、こういう言葉が必要なんだ。だって僕たちは人間で、疑いの気持ちを持っているから」

 ルーシー・クラッチローは、つまりカル・クラッチローの妻である。ミラーがクラッチローと懇意にしていることはご存知のとおりだ。ルーシー・クラッチローの励ましは、ミラーの力になったようだ。もちろん、それが優勝の結果につながったすべてではない。けれど、ネガティブな感情のなかにいるとき、認めてくれる人がいるのといないのでは心の持ちようが違うはずだ。そしてまた、ミラーにとってこの優勝は、苦しい時間を過ごしたあとに飾ったものであることも意味していた。

■次のページへ:最速タイムを叩き出しながらも腕上がりで失速。クアルタラロは失意の13位


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