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MotoGP ニュース

投稿日: 2021.06.29 07:55
更新日: 2021.06.29 08:03

【レースフォーカス】経験を糧にチャンピオンシップをひた走るクアルタラロ、そしてビニャーレスの決断/MotoGP第9戦オランダGP

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MotoGP | 【レースフォーカス】経験を糧にチャンピオンシップをひた走るクアルタラロ、そしてビニャーレスの決断/MotoGP第9戦オランダGP

 MotoGP第9戦オランダGPでは、ふたりのヤマハライダーが、表彰台のいちばん高いところと2番目に高いところに上った。ヤマハとして、2021年シーズン初のワン・ツーフィニッシュ。けれど、その胸中はそれぞれに異なっていた。
 
 ファビオ・クアルタラロ(モンスターエナジー・ヤマハMotoGP)は、オランダGPで今季4勝目を挙げた。2番グリッドから好スタートを切ってホールショットを奪ったクアルタラロは、1周目でフランセスコ・バニャイア(ドゥカティ・レノボ・チーム)の先行を許した。5周目の最終シケインではクアルタラロがバニャイアを交わすも、バニャイアはドゥカティのデスモセディチGP21のトップスピードで1コーナーまでに再びトップを奪う。
 
 しかしその翌周、クアルタラロはバニャイアを交わすポイントを変えた。今度は11コーナーの立ち上がりでバニャイアに先行し、12コーナーで完全にオーバーテイク。その先には最終シケインが控えており、ドゥカティのトップスピードを生かすことができるポイントではなかった。
 
 クアルタラロは、決勝レース後の会見のなかでこう振り返っている。
 
「難しいレースだった。ペッコ(※フランセスコ・バニャイアの愛称)が前を走っていて、彼をオーバーテイクができなかった。ペッコはラインを締めていたし、(バイクには)加速力もあった。僕は何度も12コーナー立ち上がりで抜こうとして、彼のバイクに少し当たってしまった。そのあと、12コーナーのインで抜ける可能性があるとわかった。抜けるとは思わなかったけれど、そこが抜きどころだったんだ」

 一方のバニャイアは「最終シケイン出口では常に、ものすごく僕は速かった。ストレートで僕が彼を抜いたのは、彼が最終コーナーの立ち上がりがとても悪かったからだ。僕のバイクは速かったよ。ただ、12コーナーではバイクがうまく走らなくて、0.4秒、0.5秒も失っていた。ほかの部分では、ファビオみたいに速く走っていたんだけど」と語っている。まさにその12コーナーでクアルタラロに仕留められたバニャイアは、その後、トラックリミットを5回超過したことで、ロングラップ・ペナルティを科され、後退。6位でレースを終えた。
 
 そしてクアルタラロは、バニャイアを交わしたあとに後方との差を広げ、独走で優勝を飾った。チャンピオンシップではランキング2番手のヨハン・ザルコ(プラマック・レーシング)とのポイント差を広げることに成功し、シーズン前半戦をいい形で締めくくった。
 
 ここで、クアルタラロのシーズン前半戦を振り返ってみたい。第9戦オランダGPまでを終え、4勝と2度の3位表彰台を獲得している。その一方で第4戦スペインGPではトップを独走中に腕上がりの症状が出て13位に終わり、第7戦カタルーニャGPでは、レース中にレーシングスーツのファスナーが開いたまま走行したことでペナルティを受けるなど、順風満帆とは言い切れないシーズン前半戦でもあった。
 
 また、クアルタラロは今季、ヤマハのサテライトチームからファクトリーチームに移籍したが、それがプレッシャーの一つの要因になっていたことを明かしていた。
 
「シーズン序盤、チームからのプレッシャーはなかった。でも、外部からのプレッシャーが大きかった。聞かないようにしても……。“キング”バレ(バレンティーノ・ロッシ)がいた場所に来てしまったものだから、それだけで小さなプレッシャーを常に抱えているんだ。メディアからのコメントでも、『チームのなかでも重要な位置にいるのだから、うまくやらないといけない』というような、ね」

「カタールでの優勝はすごくうれしかった。そこから僕は、周りのそういうコメントを聞かなかった。ポルティマオ(第3戦ポルトガルGP)では僕の考え方において、すごく重要だったよ。去年はひどいレースだった。でも、今年は素晴らしいレースになった」
 
 クアルタラロが今季、何度か言及してきたことがある。今季は2020年シーズンの経験が礎になっている、ということだ。昨年はMotoGPクラスで初めてチャンピオンシップリーダーとなり、転倒を喫し、10位以下でレースを終え、そうしてタイトルを逃した。その昨年を踏まえてクアルタラロはメンタリティーを変える必要があると考え、プレシーズンではその点において取り組んだ。
 
「昨年はアップダウンがあって、安定していなかった。でも、僕はとても多くを学んだ。結果を得ては、そこから常に何かを得ているんだ。昨年のシーズン終盤には、チャンピオンシップを戦うためのチャンスがなくなってしまったけれど、僕は経験を得た。それは価値のあるものだと思う。今、ピットでも、バイクに乗っていても精神状態はかなりいいと感じている。考え方ははっきりしていて、目標も明確だ」

 精神的にひと回り成長したクアルタラロは、後半戦もけん引することができるだろうか。

■ビニャーレスの決断


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