レースを愛してやまないファンの方々へ
autosport web Premiumが登場。

詳細を見る

MotoGP ニュース

投稿日: 2021.11.17 08:12
更新日: 2021.11.19 02:27

【レースフォーカス】初の表彰台独占を達成したドゥカティ、2冠獲得の進化/MotoGP第18戦バレンシアGP

レースを愛してやまないファンの方々へ
autosport web Premiumが登場。

詳細を見る


MotoGP | 【レースフォーカス】初の表彰台独占を達成したドゥカティ、2冠獲得の進化/MotoGP第18戦バレンシアGP

 2021年シーズンMotoGPの締めくくりとなった最終戦バレンシアGPは、ドゥカティが予選、そして決勝レースでも表彰台を独占して終わった。今季はコンストラクターズタイトル、そしてチームタイトルを獲得。ドゥカティが“ドゥカティ勢”として強かったのはなぜなのだろうか。

 バレンシアGPはほとんどドゥカティが席巻したと言えるかもしれない。予選ではルーキーのホルヘ・マルティン(プラマック・レーシング)がポールポジションを獲得し、ファクトリーライダーであるフランセスコ・バニャイア(ドゥカティ・レノボ・チーム)が2番手、ジャック・ミラー(ドゥカティ・レノボ・チーム)が3番手でフロントロウに並んだ。

 決勝レースでは序盤にポールポジションスタートのマルティン、そして6番グリッドスタートのアレックス・リンス(チーム・スズキ・エクスター)とともにトップ争いを展開。しかしリンスが11周目に転倒すると、トップ争いはマルティンとバニャイアの一騎打ちとなった。バニャイアは15周目にマルティンをかわしてトップに浮上する。じつはマルティン、決勝日前夜に体調を崩していたのだという。決勝レース後の会見も欠席している。

 3番手にはミルがつけていたが、ミラーが19周目にミルをオーバーテイク。バニャイア、マルティン、ミラーの順でチェッカーを受けた。最高峰クラスでドゥカティが表彰台を初めて独占する快挙だった。ドゥカティ・レノボ・チームとしてはバレンシアGPの結果により、2007年以来となるチームタイトルを獲得している。

 といった具合にバレンシアGPはドゥカティが予選、決勝レースともにトップ3で終えたわけだ。ここで少し詳しく2021年シーズンのドゥカティの成績を見ていこう。ドゥカティとしてはアルガルベGPで2年連続となるコンストラクターズタイトルを獲得。チームタイトルとともに2冠を達成した。ライダーズチャンピオンシップとしては、バニャイアがランキング2位、ミラーが4位。マルティンはルーキー・オブ・ザ・イヤーを獲得し、インディペンデントチームのライダーとしてはヨハン・ザルコ(プラマック・レーシング)がトップだった。

 そして、予選結果としては、全18戦中11戦でドゥカティがポールポジションを獲得している。さらに3番手までを見れば、全戦でドゥカティのライダーがフロントロウに並んでいるのである。なかでもバニャイアは、第13戦アラゴンGPから第17戦アルガルベGPまでの5戦連続を含む6度のポールシッターとなっている。

 決勝レースに目を向けよう。ドゥカティライダーが表彰台に立たなかったのは、全18戦中、第6戦イタリアGP、第8戦ドイツGP、第9戦オランダGP、第12戦イギリスGPの4戦のみ。優勝回数ではバニャイア、ミラー、マルティンの3人のライダーによって7勝を挙げている。また、ファクトリーチームとサテライトチームの全6人のライダーが表彰台に立った。

 さらに第10戦スティリアGP以降のシーズン後半戦の9戦だけを切り取ってみれば、予選では第12戦イギリスGP以外のすべてでドゥカティライダーのいずれかがポールポジションを獲得し、9戦中5戦で優勝している。うち4勝はバニャイアによるものだ。

 こうして見ると、2021年シーズンは、ほとんど孤軍奮闘の状況だったファビオ・クアルタラロ(モンスターエナジー・ヤマハMotoGP)対ドゥカティ勢という図式だったと言えるだろう。ドゥカティはひとりのライダーがシーズンを通して安定した成績を残せなかったことでライダーズタイトルを逃した格好になったが、ほとんどのレースでいずれかのドゥカティライダーが表彰台に立ち、コンストラクターズタイトル、チームタイトルを獲得したわけだ。つまり、ドゥカティ全体として、サーキットによる成績の波が小さくなっているのだ。

 さて、ドゥカティの躍進の背景には何があったのだろうか。今季はテクニカルレギュレーションにより2020年からエンジンをアップデートすることはできなかった。しかしその分、エンジンの変わらないバイクを約2シーズンにわたって走らせることができた、とも言える。もちろんどのメーカーにとっても同じ状況ではあるが、ライダーにとってはバイクに慣れる、そして開発面ではネガティブな部分を洗い出す時間があったということだ。

 バレンシアGP後の決勝レース後の会見のなかで、バニャイアは現在のデスモセディチGP21はドゥカティが長年の課題としてきた旋回性の改善について述べている。


関連のニュース