毎年、全日本ロードレース選手権をまわり、シャッターを切り続けるカメラマン「Nob.I」がお届けする『カメラマンから見た全日本ロード』。第2回目は4月24~25日に開催された第2戦、鈴鹿2&4。第1戦に続く全車撮りのなか、鈴鹿8耐トライアウトも兼ねた第2戦で起きたドラマとは?
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前回に続き、カメラマンから見た全日本ロード、鈴鹿2&4のブログを執筆。初回打ち切りにならずに一安心です。
鈴鹿2&4ということで、全日本スーパーフォーミュラ選手権と併催。ピットやパドックには、フォーミュラ関連の機材があったり、大きなトラックが停まっていたりと普段の全日本ロードとは雰囲気が異なり、少々びびっています。カメラマンを含めたメディアも、いつもの顔ぶれとは違って緊張します。
鈴鹿2&4における全日本ロードレース第2戦はJSB1000のみの開催で、そのレース1は秋に延期された鈴鹿8耐出場をかけたトライアウトも兼ねています。
エントリー台数は67台、決勝に残れるのは44台で、3分の1が予選落ちという厳しいレースとなりました。
そんなわけで、鈴鹿8耐に向け、編集部からはまたも「全車撮り」の依頼。この台数にもかかわらず、バリエーションを多くとのリクエスト。
レース期間中、機械のごとくひたすらレンズを振り続けましたが、果たして使ってもらえたのでしょうか?
今回のひとつめのトピックスは、8耐出場をかけた、様々な選手のスポット参戦です。
ふたつのトピックスは、もてぎに続き、鈴鹿にも参戦を表明した、YOSHIMURA SERT MOTULの渡辺一樹選手の出場及び欠場です。
22日の練習走行での転倒で、左手首を骨折してしまいました。第1戦のツインリンクもてぎでは中須賀克行選手(YAMAHA FACTORY RACING TEAM)と激しいバトルを繰り広げたので残念でなりません。
また全日本ロードで走ってほしい!ファンもメディアも待っています。
それではレースに参りましょう。
レース1は3周目に多重クラッシュが発生し、セーフティカーが導入されて早くも荒れ模様。
セーフティカー解除後の再スタートはライダーも緊張するようですが、それはカメラマンも同様。中須賀克行選手は以前、セーフティカー周回中に転倒しており、今回も何かが起こるかもしれない……
セーフティカー解除後、上位陣が順当に通過するなか、あれ、白赤マシンが来ない???
MuSASHi RT HARC-PRO. Hondaの名越哲平選手が来ません。
いや、しかし、レースの残り周回数はセーフティカーの導入で少なくなっており、勝負所はそれほど多くない。レース展開を追わねば、と頭を切り替えます。
コースサイドに出ているカメラマンは、他のコーナーで起こっていることを把握できませんし、考えてもどうしようもないので、頭を切り替えて目の前のレースに集中です。
名越哲平選手は、セーフティカー解除後に最終コーナーで転倒したとレース終了後にわかりました。
まさかのリタイアで、8耐トライアウトを通過できず・・・今回も何かが起きました。これで、8耐出場権を獲得するには、5月に開催される鈴鹿サンデーロードレースに出場しなければなりません。
※2021鈴鹿サンデーロード第2戦も8耐トライアウトの対象
ツインリンクもてぎに続き、J-GP2クラス2020年王者・名越哲平選手と名門HARC-PROは苦しいシーズンになりそうです。
これからの巻き返しに期待しましょう。
※無事サンデーロードレースで8耐トライアウト通過しました
第2戦の結果は、レース1・2ともに中須賀克行選手が制し、開幕から4連勝。強いです。
今回の3つめのトピックスは、Honda Suzuka Racing Team、亀井雄大選手の表彰台初登壇(3位)でしょう。
JSB1000は日本の最高峰カテゴリーで、STクラスと比べると改造できる範囲が広く、セッティングの幅も広い。
プライベーター、そしてサラリーマンライダーが表彰台に登壇する…… ドラマチックではありませんか?
そのドラマは、亀井雄大選手の努力はもちろん、Honda Suzuka Racing Team全員の努力の成果です。
いくらライダーが速かったとしても、それを支えるメカニックやチーム員がいなければ、ライダーはマシンを走らせることすらできません。「チーム力」を写真で表現できるように、私も日々精進です。
鈴鹿2&4はいかがでしたでしょうか?
全日本ロードレースはまだ始まったばかり。まだまだ続きますので乞うご期待!
追伸
皆さんご存じのとおり、2021年の鈴鹿8耐は新型コロナウイルス感染症の影響で、残念ながら中止となってしまいました。
果たして、2021年の出場権は持ち越されるのでしょうか? 選手・チームの努力はもちろん、私の全車撮りも無駄になりませんように……
※2021年の8耐出場権は2022年に持ち越されることになりました。