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MotoGP ニュース

投稿日: 2022.03.01 09:20
更新日: 2022.03.01 09:26

MotoGP 2022シーズン開幕直前“見どころ”ダイジェスト

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MotoGP | MotoGP 2022シーズン開幕直前“見どころ”ダイジェスト

 3月4日に開幕を控えた2022年シーズンのMotoGP。今年は全21戦で争われ、9月には2年ぶりの開催となる日本GPも予定されています。今回は開幕直前情報として、2022年シーズンのMotoGPのレギュレーション改訂、ラインアップの変更、開催日程をおさらいするとともに、2022年シーズンのチャンプオン争いの“予想”と“見どころ”をお伝えします。

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■スポーティングレギュレーションの比較

 3月4日〜6日のカタールGPで開幕し、全21戦で争われる2022年のMotoGP。まずは、レギュレーションの改訂についておさらいしておこう。

 最高峰のMotoGPクラスは最大排気量1000cc、4ストローク、シリンダー数4気筒以下、最大ボア径81mmのエンジンを搭載したプロトタイプマシンと規定されている。

 そのほかにも157kgという最低車体重量、共通ECUの使用、年間7基のエンジン使用数(シーズン数が最大20戦の場合)、22リッターの燃料タンク容量などが定められている。タイヤはミシュランのワンメイクで、タイヤ径も17インチのみとなっている。

 2022年シーズンも基本的にそうしたテクニカルレギュレーションは継承されるが、細かい変更点もある。そのひとつがカーボンブレーキディスクの外径だ。2021年シーズンまではディスクの外径は320mmで、ツインリンクもてぎ(日本)で行われるGPのみ340mmの使用が義務づけられていた。

 それに対して2022年シーズンは、320mm、340mm、355mmのディスクサイズを設定。ツインリングもてぎ(日本)、レッドブルリンク(オーストリア)、チャーン・インターナショナル・サーキット(タイ)では、340mmまたは355mmのディスクの使用が義務づけられることとなった。なお、ウェット宣言が出されたレースでは、ディスクのサイズ制限はなくなる。

2022MotoGP:チーム・スズキ・エクスターのスズキGSX-RR
2022MotoGP:チーム・スズキ・エクスターのスズキGSX-RR

 もうひとつは、エアロボディパーツの承認手順の変更だ。以前はチームがシーズン最初のイベントの際に詳細な図面をテクニカルディレクターに提出すればよかった。それが2022年型のマシンにおいては、エアロボディパーツのサンプル、もしくは完全な3D・CADモデルを提出する必要がある。

 なお、MotoGPでは新型コロナウイルスの影響を鑑みて、2020年から2年間、エンジン開発が凍結されていた。2022年シーズンはその制限が解除されたため、各メーカーは新型エンジンを搭載して、シーズンに臨むこととなる。

■ラインナップの変更点

 MotoGPに参戦するのは12チーム/24名のライダー。そのうちヤマハが4台、ホンダが4台、スズキが2台、ドゥカティが8台、KTMが4台、アプリリアが2台という内訳になっている。

 ファクトリーチームは2021シーズン終了時のライダーラインナップを継続するが、インディペンデントチームにはいくつか動きがあった。では、1メーカーずつ確認してみよう。

■2022年MotoGPクラス エントリーリスト チームランキング順

No. Rider Team Motorcycle
63 フランセスコ・バニャイア DUCATI LENOVO TEAM ドゥカティ
43 ジャック・ミラー DUCATI LENOVO TEAM ドゥカティ
20 ファビオ・クアルタラロ MONSTER ENERGY YAMAHA MotoGP ヤマハ
21 フランコ・モルビデリ MONSTER ENERGY YAMAHA MotoGP ヤマハ
36 ジョアン・ミル TEAM SUZUKI ECSTAR スズキ
42 アレックス・リンス TEAM SUZUKI ECSTAR スズキ
5 ヨハン・ザルコ PRAMAC RACING ドゥカティ*
89 ホルヘ・マルティン PRAMAC RACING ドゥカティ*
93 マルク・マルケス REPSOL HONDA TEAM ホンダ
44 ポル・エスパルガロ REPSOL HONDA TEAM ホンダ
33 ブラッド・ビンダー RED BULL KTM FACTORY RACING KTM
88 ミゲール・オリベイラ RED BULL KTM FACTORY RACING KTM
30 中上貴晶 LCR HONDA IDEMITSU ホンダ*
73 アレックス・マルケス LCR HONDA CASTROL ホンダ*
23 エネア・バスティアニーニ GRESINI RACING MotoGP ドゥカティ*
49 ファビオ・ディ・ジャンアントニオ GRESINI RACING MotoGP ドゥカティ*
41 アレイシ・エスパルガロ APRILIA RACING アプリリア
12 マーベリック・ビニャーレス APRILIA RACING アプリリア
4 アンドレア・ドヴィツィオーゾ WITHU YAMAHA RNF MotoGP TEAM ヤマハ*
40 ダリン・ビンダー WITHU YAMAHA RNF MotoGP TEAM ヤマハ*
87 レミー・ガードナー TECH3 KTM FACTORY RACING KTM*
25 ラウル・フェルナンデス TECH3 KTM FACTORY RACING KTM*
10 ルカ・マリーニ VR46 RACING TEAM ドゥカティ*
72 マルコ・ベゼッチ VR46 RACING TEAM ドゥカティ*

*はインディペンデントチームライダー
太字は2021年シーズン最終戦以降に変更があったライダー

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■【ヤマハ】

 ヤマハYZR-M1を使用するファクトリーチームは、2021年シーズンに初めて戴冠したファビオ・クアルタラロを擁するモンスターエナジー・ヤマハMotoGP。昨年途中にファクトリーに昇格となったフランコ・モルビデリが引き続きチームメイトを務める。チーム代表のリン・ジャービスも継続で、ジャービスはヤマハ・モーター・レーシング・マネージングダイレクターも兼務する。

 モンスターエナジー・ヤマハMotoGPは、2月4日に新しいカラーリングを公開した。モンスターエナジーブラックとヤマハファクトリーレーシングブルーの組み合わせは昨年と同様だが、2021年最終戦のバレンシアGPではレッドだったアンダーカウルが再びブルーになったのが目を引く。

2022MotoGP:モンスターエナジー・ヤマハMotoGPのヤマハYZR-M1
2022MotoGP:モンスターエナジー・ヤマハMotoGPのヤマハYZR-M1
2021MotoGP:モンスターエナジー・ヤマハMotoGPのヤマハYZR-M1
2021MotoGP:モンスターエナジー・ヤマハMotoGPのヤマハYZR-M1
2022MotoGP:ファビオ・クアルタラロ、フランコ・モルビデリ(モンスターエナジー・ヤマハMotoGP)
2022MotoGP:ファビオ・クアルタラロ、フランコ・モルビデリ(モンスターエナジー・ヤマハMotoGP)

 昨年、ヴァレンティーノ・ロッシが最後のシーズンを送ったペトロナス・ヤマハSRTは、メインスポンサーであるマレーシアの国営石油会社ペトロナスとの契約が2021年限りで終了。それに伴い、新たにイタリアの企業『WithU(ウィズ・ユー)』をタイトルパートナーに迎え、WithUヤマハRNF・MotoGPチームとして2022年を戦うこととなった。

 ライダーは、昨シーズン途中からMotoGPに復帰したベテランのアンドレア・ドビジオーゾと、Moto3から飛び級でのステップアップとなるダリン・ビンダーのペア。ビンダーは、KTMのブラッド・ビンダーの実弟でもある。

 WithUヤマハRNF・MotoGPチームは、1月24日にチーム体制発表会を実施。ブラックを基調としてWithUのロゴを中央に大きくあしらった新しいカラーリングを披露した。

 2021年同様、チームを率いるのはセパン・インターナショナル・サーキットの元CEOで、チームプリンシパルのラズラン・ラザリ氏。チームマネージャーは、かつてWGP250ccクラスで活躍したウィルコ・ズィーレンベルグ氏が務める。

2022MotoGP:WithUヤマハRNF・MotoGPチームのヤマハYZR-M1
2022MotoGP:WithUヤマハRNF・MotoGPチームのヤマハYZR-M1
2021MotoGP:ペトロナス・ヤマハSRTのヤマハYZR-M1
2021MotoGP:ペトロナス・ヤマハSRTのヤマハYZR-M1
2022MotoGP:ダリン・ビンダー、アンドレア・ドヴィツィオーゾ(WithUヤマハRNF・MotoGPチーム)
2022MotoGP:ダリン・ビンダー、アンドレア・ドヴィツィオーゾ(WithUヤマハRNF・MotoGPチーム)

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■【ホンダ】
 ホンダのラインアップに変更はない。ファクトリーのレプソル・ホンダ・チームとインディペンデントのLCRホンダ・イデミツ/カストロールの2チームが参戦する。レプソル・ホンダ・チームは6度の最高峰クラス王者の肩書きを持つマルク・マルケスと、2021年にチーム入りして初優勝を狙うポル・エスパルガロ。LCRホンダ・イデミツは中上貴晶、LCRホンダ・カストロールがアレックス・マルケスという4名のライダーも不動である。

 レプソル・ホンダ・チームは2月8日にチーム発表会を開催し、2022年型RC213Vを公開した。HRC取締役レース運営室室長の桑田哲宏氏はニューマシンのコンセプトを「自分たちの殻を破る」と説明。3年ぶりの王者奪還を目指してエンジンとシャシーを変更し、現行レギュレーション下では最大のモデルチェンジを果たした。

 変更点の詳細は明らかにされていないが、見た目からはカウリングがまったく新しくなったことがわかる。特にフロントカウルは下部が突き出すように伸びており、中央のインテークダクトの形状も横長から正方形に近くなっている。カラーリングは従来通りのレプソルカラーだが、アストラ・ホンダ・モーターの標語「One HEART」のロゴがシートカウルに移動した。また、今年から新しくなったHRCのロゴにも注目だ。

2022MotoGP:レプソル・ホンダ・チームの2022年型RC213V
2022MotoGP:レプソル・ホンダ・チームの2022年型RC213V
2021MotoGP:レプソル・ホンダ・チームの2021年型RC213V
2021MotoGP:レプソル・ホンダ・チームの2021年型RC213V
2022MotoGP:マルク・マルケス(レプソル・ホンダ・チーム)
2022MotoGP:マルク・マルケス(レプソル・ホンダ・チーム)
2022MotoGP:ポル・エスパルガロ(レプソル・ホンダ・チーム)
2022MotoGP:ポル・エスパルガロ(レプソル・ホンダ・チーム)

 かつてWGP125ccクラスで活躍したルーチョ・チェッキネロ率いるLCRホンダは、中上貴晶がイデミツ、アレックス・マルケスがカストロールと、ライダーによってメインスポンサーが異なる唯一のチームだ。2月9日にお披露目された2022年仕様のマシンではカラーリングを変更。LCRホンダ・イデミツのマシンはフロントカウル上部がブラックに、LCRホンダ・カストロールもシートカウルがブラックになるなど、小規模ながらイメージチェンジを図っている。

2022MotoGP:LCRホンダ・イデミツ ホンダRC213V
2022MotoGP:LCRホンダ・イデミツ ホンダRC213V
2021MotoGP:LCRホンダ・イデミツ ホンダRC213V
2021MotoGP:LCRホンダ・イデミツ ホンダRC213V
2022MotoGP:中上貴晶(LCRホンダ・イデミツ)
2022MotoGP:中上貴晶(LCRホンダ・イデミツ)
2022MotoGP:LCRホンダ・カストロールのホンダRC213V
2022MotoGP:LCRホンダ・カストロールのホンダRC213V
2021MotoGP:LCRホンダ・カストロール ホンダRC213V
2021MotoGP:LCRホンダ・カストロール ホンダRC213V
2022MotoGP:アレックス・マルケス(LCRホンダ・カストロール)
2022MotoGP:アレックス・マルケス(LCRホンダ・カストロール)

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■【スズキ】
 スズキも2021年の体制を継続する。ファクトリーのチーム・スズキ・エクスターは、2020年王者のジョアン・ミルとアレックス・リンスがコンビを組み、スズキGSX-RRを走らせる。

 チーム・スズキ・エクスターは2月4日に発表会を開催し、2022年仕様のGSX-RRをお披露目した。レース参戦60周年を記念して2020年に初採用されたブルーとシルバーの2トーンカラーを継承。新たにエストレージャ・ガリシア0,0(スペインのノンアルコールビール)のロゴが加わり、ゼッケンベースのカラーもブラックとなったことで、より精悍さを増した印象だ。

 プロジェクトリーダー兼チームディレクターは佐原伸一氏、テクニカルマネージャーは河内健氏が担当する。今シーズンのスローガンは『#GearingUp(ギアリングアップ)』に定められたが、これはパフォーマンスを含めたすべての要素を2021年よりも1速引き上げることを意図している。

2022MotoGP:チーム・スズキ・エクスターのスズキGSX-RR
2022MotoGP:チーム・スズキ・エクスターのスズキGSX-RR
2021MotoGP:チーム・スズキ・エクスターのスズキGSX-RR
2021MotoGP:チーム・スズキ・エクスターのスズキGSX-RR
2022MotoGP:ジョアン・ミル、アレックス・リンス(チーム・スズキ・エクスター)
2022MotoGP:ジョアン・ミル、アレックス・リンス(チーム・スズキ・エクスター)

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