3月4日に開幕を控えた2022年シーズンのMotoGP。今年は全21戦で争われ、9月には2年ぶりの開催となる日本GPも予定されています。今回は開幕直前情報として、2022年シーズンのMotoGPのレギュレーション改訂、ラインアップの変更、開催日程をおさらいするとともに、2022年シーズンのチャンプオン争いの“予想”と“見どころ”をお伝えします。
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■スポーティングレギュレーションの比較
3月4日〜6日のカタールGPで開幕し、全21戦で争われる2022年のMotoGP。まずは、レギュレーションの改訂についておさらいしておこう。
最高峰のMotoGPクラスは最大排気量1000cc、4ストローク、シリンダー数4気筒以下、最大ボア径81mmのエンジンを搭載したプロトタイプマシンと規定されている。
そのほかにも157kgという最低車体重量、共通ECUの使用、年間7基のエンジン使用数(シーズン数が最大20戦の場合)、22リッターの燃料タンク容量などが定められている。タイヤはミシュランのワンメイクで、タイヤ径も17インチのみとなっている。
2022年シーズンも基本的にそうしたテクニカルレギュレーションは継承されるが、細かい変更点もある。そのひとつがカーボンブレーキディスクの外径だ。2021年シーズンまではディスクの外径は320mmで、ツインリンクもてぎ(日本)で行われるGPのみ340mmの使用が義務づけられていた。
それに対して2022年シーズンは、320mm、340mm、355mmのディスクサイズを設定。ツインリングもてぎ(日本)、レッドブルリンク(オーストリア)、チャーン・インターナショナル・サーキット(タイ)では、340mmまたは355mmのディスクの使用が義務づけられることとなった。なお、ウェット宣言が出されたレースでは、ディスクのサイズ制限はなくなる。
もうひとつは、エアロボディパーツの承認手順の変更だ。以前はチームがシーズン最初のイベントの際に詳細な図面をテクニカルディレクターに提出すればよかった。それが2022年型のマシンにおいては、エアロボディパーツのサンプル、もしくは完全な3D・CADモデルを提出する必要がある。
なお、MotoGPでは新型コロナウイルスの影響を鑑みて、2020年から2年間、エンジン開発が凍結されていた。2022年シーズンはその制限が解除されたため、各メーカーは新型エンジンを搭載して、シーズンに臨むこととなる。
■ラインナップの変更点
MotoGPに参戦するのは12チーム/24名のライダー。そのうちヤマハが4台、ホンダが4台、スズキが2台、ドゥカティが8台、KTMが4台、アプリリアが2台という内訳になっている。
ファクトリーチームは2021シーズン終了時のライダーラインナップを継続するが、インディペンデントチームにはいくつか動きがあった。では、1メーカーずつ確認してみよう。
■2022年MotoGPクラス エントリーリスト チームランキング順
No. | Rider | Team | Motorcycle |
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63 | フランセスコ・バニャイア | DUCATI LENOVO TEAM | ドゥカティ |
43 | ジャック・ミラー | DUCATI LENOVO TEAM | ドゥカティ |
20 | ファビオ・クアルタラロ | MONSTER ENERGY YAMAHA MotoGP | ヤマハ |
21 | フランコ・モルビデリ | MONSTER ENERGY YAMAHA MotoGP | ヤマハ |
36 | ジョアン・ミル | TEAM SUZUKI ECSTAR | スズキ |
42 | アレックス・リンス | TEAM SUZUKI ECSTAR | スズキ |
5 | ヨハン・ザルコ | PRAMAC RACING | ドゥカティ* |
89 | ホルヘ・マルティン | PRAMAC RACING | ドゥカティ* |
93 | マルク・マルケス | REPSOL HONDA TEAM | ホンダ |
44 | ポル・エスパルガロ | REPSOL HONDA TEAM | ホンダ |
33 | ブラッド・ビンダー | RED BULL KTM FACTORY RACING | KTM |
88 | ミゲール・オリベイラ | RED BULL KTM FACTORY RACING | KTM |
30 | 中上貴晶 | LCR HONDA IDEMITSU | ホンダ* |
73 | アレックス・マルケス | LCR HONDA CASTROL | ホンダ* |
23 | エネア・バスティアニーニ | GRESINI RACING MotoGP | ドゥカティ* |
49 | ファビオ・ディ・ジャンアントニオ | GRESINI RACING MotoGP | ドゥカティ* |
41 | アレイシ・エスパルガロ | APRILIA RACING | アプリリア |
12 | マーベリック・ビニャーレス | APRILIA RACING | アプリリア |
4 | アンドレア・ドヴィツィオーゾ | WITHU YAMAHA RNF MotoGP TEAM | ヤマハ* |
40 | ダリン・ビンダー | WITHU YAMAHA RNF MotoGP TEAM | ヤマハ* |
87 | レミー・ガードナー | TECH3 KTM FACTORY RACING | KTM* |
25 | ラウル・フェルナンデス | TECH3 KTM FACTORY RACING | KTM* |
10 | ルカ・マリーニ | VR46 RACING TEAM | ドゥカティ* |
72 | マルコ・ベゼッチ | VR46 RACING TEAM | ドゥカティ* |
*はインディペンデントチームライダー
太字は2021年シーズン最終戦以降に変更があったライダー
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■【ヤマハ】
ヤマハYZR-M1を使用するファクトリーチームは、2021年シーズンに初めて戴冠したファビオ・クアルタラロを擁するモンスターエナジー・ヤマハMotoGP。昨年途中にファクトリーに昇格となったフランコ・モルビデリが引き続きチームメイトを務める。チーム代表のリン・ジャービスも継続で、ジャービスはヤマハ・モーター・レーシング・マネージングダイレクターも兼務する。
モンスターエナジー・ヤマハMotoGPは、2月4日に新しいカラーリングを公開した。モンスターエナジーブラックとヤマハファクトリーレーシングブルーの組み合わせは昨年と同様だが、2021年最終戦のバレンシアGPではレッドだったアンダーカウルが再びブルーになったのが目を引く。
昨年、ヴァレンティーノ・ロッシが最後のシーズンを送ったペトロナス・ヤマハSRTは、メインスポンサーであるマレーシアの国営石油会社ペトロナスとの契約が2021年限りで終了。それに伴い、新たにイタリアの企業『WithU(ウィズ・ユー)』をタイトルパートナーに迎え、WithUヤマハRNF・MotoGPチームとして2022年を戦うこととなった。
ライダーは、昨シーズン途中からMotoGPに復帰したベテランのアンドレア・ドビジオーゾと、Moto3から飛び級でのステップアップとなるダリン・ビンダーのペア。ビンダーは、KTMのブラッド・ビンダーの実弟でもある。
WithUヤマハRNF・MotoGPチームは、1月24日にチーム体制発表会を実施。ブラックを基調としてWithUのロゴを中央に大きくあしらった新しいカラーリングを披露した。
2021年同様、チームを率いるのはセパン・インターナショナル・サーキットの元CEOで、チームプリンシパルのラズラン・ラザリ氏。チームマネージャーは、かつてWGP250ccクラスで活躍したウィルコ・ズィーレンベルグ氏が務める。
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■【ホンダ】
ホンダのラインアップに変更はない。ファクトリーのレプソル・ホンダ・チームとインディペンデントのLCRホンダ・イデミツ/カストロールの2チームが参戦する。レプソル・ホンダ・チームは6度の最高峰クラス王者の肩書きを持つマルク・マルケスと、2021年にチーム入りして初優勝を狙うポル・エスパルガロ。LCRホンダ・イデミツは中上貴晶、LCRホンダ・カストロールがアレックス・マルケスという4名のライダーも不動である。
レプソル・ホンダ・チームは2月8日にチーム発表会を開催し、2022年型RC213Vを公開した。HRC取締役レース運営室室長の桑田哲宏氏はニューマシンのコンセプトを「自分たちの殻を破る」と説明。3年ぶりの王者奪還を目指してエンジンとシャシーを変更し、現行レギュレーション下では最大のモデルチェンジを果たした。
変更点の詳細は明らかにされていないが、見た目からはカウリングがまったく新しくなったことがわかる。特にフロントカウルは下部が突き出すように伸びており、中央のインテークダクトの形状も横長から正方形に近くなっている。カラーリングは従来通りのレプソルカラーだが、アストラ・ホンダ・モーターの標語「One HEART」のロゴがシートカウルに移動した。また、今年から新しくなったHRCのロゴにも注目だ。
かつてWGP125ccクラスで活躍したルーチョ・チェッキネロ率いるLCRホンダは、中上貴晶がイデミツ、アレックス・マルケスがカストロールと、ライダーによってメインスポンサーが異なる唯一のチームだ。2月9日にお披露目された2022年仕様のマシンではカラーリングを変更。LCRホンダ・イデミツのマシンはフロントカウル上部がブラックに、LCRホンダ・カストロールもシートカウルがブラックになるなど、小規模ながらイメージチェンジを図っている。
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■【スズキ】
スズキも2021年の体制を継続する。ファクトリーのチーム・スズキ・エクスターは、2020年王者のジョアン・ミルとアレックス・リンスがコンビを組み、スズキGSX-RRを走らせる。
チーム・スズキ・エクスターは2月4日に発表会を開催し、2022年仕様のGSX-RRをお披露目した。レース参戦60周年を記念して2020年に初採用されたブルーとシルバーの2トーンカラーを継承。新たにエストレージャ・ガリシア0,0(スペインのノンアルコールビール)のロゴが加わり、ゼッケンベースのカラーもブラックとなったことで、より精悍さを増した印象だ。
プロジェクトリーダー兼チームディレクターは佐原伸一氏、テクニカルマネージャーは河内健氏が担当する。今シーズンのスローガンは『#GearingUp(ギアリングアップ)』に定められたが、これはパフォーマンスを含めたすべての要素を2021年よりも1速引き上げることを意図している。