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MotoGP ニュース

投稿日: 2022.03.22 21:55
更新日: 2022.04.10 00:14

【レースフォーカス】4位のミラーと15位のバニャイア、ドゥカティファクトリー勢の苦戦/第2戦インドネシアGP

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MotoGP | 【レースフォーカス】4位のミラーと15位のバニャイア、ドゥカティファクトリー勢の苦戦/第2戦インドネシアGP

 MotoGP第2戦インドネシアGPで、ドゥカティ・レノボ・チームはジャック・ミラーが4位、フランセスコ・バニャイアが15位で終えた。ドゥカティ・レノボ・チームは開幕戦カタールGPでふたりのライダーがともに異なる理由でリタイアを喫しているが、今回のインドネシアGPでは、それぞれ異なる理由で苦しんでいたという。

 雨による1時間15分のスタートディレイののち、レースはフルウエットのコンディションで始まった。ミラーは9番手から好スタートを切って、1周目には3番手に浮上。ファビオ・クアルタラロ(モンスターエナジー・ヤマハMotoGP)やヨハン・ザルコ(プラマック・レーシング)がウエットコンディションでのペースを様子見している間に一時はトップに立ち、ミゲール・オリベイラ(レッドブルKTMファクトリー・レーシング)にかわされてからは2番手を走行していた。

 しかし、クアルタラロやザルコが徐々にペースを上げることができたのに対し、ミラーのペースはある意味で一定だった。例えばクアルタラロは9周目で1分39秒台のラップタイムに入り、そこから1分39秒前半、17周目にはファステストラップの1分38秒749を記録しているが、ミラーは12周目でようやく1分40秒を切り、その後もラップタイムは1分39秒後半と1分40秒前半で推移していた。ミラーによれば、このレースではリヤタイヤのグリップに苦しんでいたという。中盤にミラーの後ろを走ったザルコも「ジャックはリヤタイヤの右側のグリップに苦しんでいた」と述べている。

 ミラーは「いいスタートを切ってトップに立った。(序盤で)1分40秒を出したけれど、それが精いっぱいだった」とレースを振り返った。

「リヤのグリップに少し苦しんでいた。それはバイクのセットアップによるところが大きかったんだけど、スピンがあってかなり苦しめられた。リヤのコンタクトがうまくいっていなかったんだ。かなり直角のラインをとらないといけなくて、コーナー中間で流れるようなラインをとることができなかった。リヤが硬すぎたのか、そういうことだったんだと思う。この週末ではレインタイヤで走っていなかったからね」

「僕のペースは変わらなかった。少し速く走っていたけれど、ベストは1分39秒くらいだったと思う(※19周目の1分39秒356が自己ベスト)。でもライバルたちは終盤になるともっとペースを上げていったんだ」

「ファビオが僕をパスしてからついていこうとした。ファビオがタイムを上げていっているとわかったので、僕ももうちょっとプッシュしたんだ。でも、リヤが(フロントを)押していて荷重が抜けていたものだから、何度か危ないところだった。僕にとってはレースをマネジメントして、できるだけ多くのポイントを稼ぐことのほうが大事だった。正直言って、今日は勝てるようなセッティングじゃないと感じていたから」

 このレースではミラーとクアルタラロとの間にちょっとした“アクシデント”が発生していた。これは2周目、つまりレース序盤でのことだと思われる。映像で確認してみると、メインストレートでトップのクアルタラロはまずオリベイラにかわされ、それから1コーナーのブレーキングでミラーに先行された。しかしミラーのインサイドにポジションをとったクアルタラロと、アウトサイドにいたミラーが軽く接触し、ミラーのバイクが一瞬、起きるような動きを見せている。

 ミラーはこれについて、「(あれは)バトルじゃない。僕は彼(クアルタラロ)を抜いたんだけど、彼は僕の足の横に明らかにぶつかってきたんだ。誰かがかわしたとき、すぐにフロントタイヤに向かって加速してくる必要はないと思うんだけどね。これが初めてではないから、この件については喜んで彼と話をするよ」と不満をにじませた。

「ヨハンのときもそうだったんだけど、抜くのはいい。問題ない。でも、それからだ。ヤマハは旋回がいいからといって、スロットルを開けて僕のフロントタイヤをねらってきたら転倒するだろ。フェアじゃない。彼は僕のレザースーツの横に突っ込んできた。そのときは明らかに僕のペースのほうがよかったんだ。だから、僕の足にぶつけてくるのはよけいなリスクだった。それだけだ」

 一方のクアルタラロは、この出来事について「彼は抜くときにアグレッシブな動きをしていた方で、僕は別にそうでもなかったと思う。接触するとは思っていなかったけど、接触はとてもわずかなものだったよ。話をする前にジャックは映像を見た方がいい。僕は間違ったことは何もしていないと思うから」と、特に問題のある走りではなかったと考えているようだった。

 さて、ミラーのチームメイトであるバニャイアはどうだったのだろうか。2列目6番グリッドスタートだったバニャイアだが、1周目で大きく後退して15位フィニッシュ。6周目には1コーナーのブレーキングで大きくリヤタイヤを振られ、オーバーランを喫している。

 ミラーがリヤに苦しんだレースだったのに対し、バニャイアの問題はフロント側にあったという。バニャイアはレースでのバイクのフィーリングに対しかなりの疑問を抱いており、この日のフィーリングについて何度も「変だった、おかしかった」という言葉で表現した。

「今日の問題は僕のバイクじゃないと思う。普通なら、ドゥカティのバイクはウエットで素晴らしい。でも今日はそうじゃなかった。僕たちのバイクの強みの一つである、フロントにすごく苦しんだ。普通はフロントのフィーリング、限界をしっかり感じられる。でも今日は、そうではなかった。おかしなフィーリングだったんだ。テレビではフロントがロックしたのを映したのは1回だけだったけど、あれだけじゃなかった。コーナーに入ったところで何度もフロントを失っていた。これはおかしいんだ」

「今週末は自分のバイクに集中することだけできたので、またフィーリングが戻ってきた。ファビオと優勝を争える準備ができていると思った。でも、結果は反対だった」と、落胆した様子だった。

 バニャイアは「(ドライコンディションだった決勝日午前中の)ウオームアップ・セッションではとてもいい走りができていたのに」とも言う。ウエットのコンディションでの決勝レースが、再びバニャイアに苦悩をもたらしたのだろうか。ともあれ、ふたりそろって満足のいくレースにはならなかったようだ。


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