毎年、全日本ロードレース選手権をまわり、シャッターを切り続けるカメラマン「Nob.I」がお届けする『カメラマンから見た全日本ロード』。第6回は9月4~5日に開催された第6戦、岡山国際サーキットです。シリーズ終盤で見た若手の輝きをお届けします!
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2021年シリーズも残すところあと2戦となり、チャンピオン争いが激しくなってきました。
ST1000は、結果によってはこの岡山でチャンピオンが決まります。
当ブログは「カメラマンから見た全日本ロード」なのでちょっとこぼれ話を。
いうまでもなく、決勝のグリッドは予選タイムの速い順になります。
予選は限られた時間内にタイムを刻めば良いので、早々にタイムを出して走行終了してしまう選手もいます。
今回ST1000の予選は、開始早々はほとんどの選手が走らない、という状況でした。
前日まで雨が降っており、ST1000の前に行われたJ-GP3ではまだウエット状態で、レインタイヤで走行していました。
しかし、9月とはいえ、まだ残暑が残る岡山県美作市。
時間が経つにつれてみるみる路面が乾いていき、J-GP3の終わりごろにはドライタイヤで走れるまでに回復。
続いてST1000の予選になりましたが、ほとんどの選手が路面の渇き待ち、という作戦をとったようで、なかなか出走しません。
いつになったら出走するんだろう、とやきもきしながら待つ時間はけっこーストレスだったりします。
そして、コースインのタイミングはほとんどの選手が一緒となり、「残り時間で必要な選手を撮り切れるのか?」という時間との戦いとなりました。
全車撮りのミッションが無くて良かった……
続いて、JSB1000の予選前にも通り雨が降り、選手はもちろんですが、カメラマンも「カッパが必要なのか?」とやきもきします。
結局、全ライダーがドライタイヤでのアタックとなりました。
会場で観戦される場合は、決勝だけではなく、予選から足を運んでいただき、単にタイムアタックだけではなく、ライバルとのかけひきや、天候との戦いも含めた臨場感を味わってみませんか?
メインスタンドに屋根を設置しているサーキットもありますので!
また、予選終了後にはパフォーマンスしてくれる選手もいます。
何かやってくれ! とカメラを構えていると、関口太郎選手(SANMEI Team TARO PLUSONE)がカメラ目線でウィリーを決めてくれました。
撮りなれているとは言え、やっぱりウィリーをバッチリ撮れると嬉しいんです。
レースは、年間チャンピオン争いが熾烈なST1000から参りましょう。
岡山国際サーキットは2020年に、1~2コーナー間にシケインを新設しました。
2020年は事前テストが行われているものの、岡山大会は台風で中止となり、レース開催は今回が初となります。
SUGO改装も同様でしたが、「新しい何か」があると、どんな写真が撮れるのかな?とワクワクします。
さて、今回の個人的な注目は、スポット参戦の岩戸亮介選手(Vamos Racing Kawasaki #64)。
2021年はアジアロードレース選手権(ARRC)ASB1000に参戦予定でしたが、新型コロナウイルス感染症の影響で全戦中止。
2022年はコロナが収まり、国際スポーツがもっと大々的に行われてほしいのですが……
レースは作本輝介選手(Astemo Honda Dream SI Racing)が一度も抜かれることなく、ぶっちぎりでポール・トゥ・ウイン。しっかりと仕事を果たし、最終戦へ年間チャンピオンの望みをつなぎます。
鈴鹿でも序盤はトップを走り、接触転倒がなければ上位でフィニッシュしていたはずですので、オートポリスでの走りにも期待しましょう。
2位争いは岡本裕生選手(bLUcRUニトロレーシング51ガレージ YAMAHA)と岩戸亮介選手。ST1000はホンダCBR1000RR-Rの一強となっていますので、他メーカーは何とか一石を投じてほしいです。
岩戸亮介選手は残念ながら転倒してしまいましたが、スポット参戦にもかかわらず魅せてくれました。
次戦のオートポリスにも参戦しますので、要チェックです。
ちなみに、岩戸亮介選手と作本輝介選手は名門「チーム高武」出身。
また、岩戸亮介選手は2018年J-GP2チャンピオン、岡本裕生選手は、以前も触れましたが、2018・2020年ST600チャンピオンです。
若手ライダーが着実に成長しています。日本で活躍し、世界へ羽ばたいてもらいましょう。
尚、ポイントリーダーの渡辺一馬選手(Astemo Honda Dream SI Racing)はあぶなげなく3位チェッカーで、確実にポイントを獲得。
最終戦オートポリスは、シリーズチャンピオンをかけたレースとなります!
これまで通りであれば、続いてJSB1000の決勝ですが、中須賀克行選手(YAMAHA FACTORY RACING TEAM)が鈴鹿でシリーズチャンピオンを決めているので、彼の話題は編集部にお任せし、ST600の話題に触れることにします。
ST600でポールポジションを獲得したのは、阿部恵斗選手(Webike チームノリックヤマハ)。
一発の速さがあるにもかかわらず、なかなか表彰台に上がれなったのですが、今回初表彰台を獲得!
阿部恵斗選手は2018年、当時最年少14歳でJ-GP2に参戦しました。
先に話題に挙げた、作本輝介選手と岩戸亮介選手、岡本裕生選手もJ-GP2を走っています。
2021年スーパーバイク世界選手権(SBK)に参戦中の野左根航汰選手もJ-GP2の2013年チャンピオンで、同門のチームノリック出身です(岡本裕生選手もチームノリック出身)。
各選手の参戦履歴や関係性などのバックボーンを知ると、全日本ロードレースがより面白くなりますよ!
若手の躍進が楽しみです。
そのST600の勝者は、埜口遥希選手(MuSASHi RT HARC-PRO.)でシーズン2勝目。
ポイントリーダーの小山知良選手(日本郵便 HondaDream TP)はジャンプスタートによるライドスルーペナルティで早々に後退。
これで4位までが17ポイント差の範囲に位置し、ST600のシリーズチャンピオン争いは分からなくなりました。
さて、皆さんご存知の通り、武蔵精密工業株式会社はHARC-PRO.へのスポンサードを2021年で終了するため、このカラーリングも次戦オートポリスで見納め。
白メインに赤アクセントのカラーリング、そして『634』のゼッケンは写真映えしたので……寂しいです。
岡山ラウンドいかがでしたでしょうか?
次はいよいよ最終戦。
ST1000、ST600は毎戦勝者が異なり、誰が勝ってもおかしくありません。
果たして、シリーズチャンピオンは誰が掴むのか?
オートポリスでは、果たしてどんなドラマが待っているのでしょうか?