レース界のマニアック“ヘンタイ”カメラマンこと鈴木紳平氏がお届けする全日本ロードレース選手権ブログ。今回は、4月1日~3日に行われた2022年MFJ全日本ロードレース選手権第1戦もてぎの前編です。
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モータースポーツを愛する皆さま、いかがお過ごしでしょうか。全日本ロードレース、2022年の開幕戦であります。約半年間という長いシーズンオフに各々が爪を研いできた結果が現れる開幕戦、各クラスで素晴らしい戦いが繰り広げられました。
本ブログでは、その中からJSB1000クラスのマシンを特集します。YAMAHA FACTORY RACING TEAMに投入された新型ブレーキキャリパーは必見です! 後日お届けするブログの後編では鈴鹿8耐の最新情報もお伝えしたいと思います。それでは、2022全日本ロードレース開幕戦のブログ前編、よろしくお付き合いください!
まずは、2021シーズンに無双の強さを見せたYAMAHA FACTORY RACING TEAMから見ていきましょう。熟成の極みの域に達していると思われるヤマハYZF-R1(中須賀克行車)。昨シーズン、当ブログでお伝えしたY’S GEAR製のサイドポッドは、パーツ自体がホモロゲ―ションされていないため装着しないとのことでした。
カウルが外された状態のヤマハYZF-R1(岡本裕生車)を見てみます。オイルクーラーの配管の一部、カウルの分割にも変更が見られますが、基本コンセプトは不変なようです。
真横のヤマハYZF-R1(岡本裕生車)も見てみましょう。スプリント仕様として完成の域に達している美しさを感じます。鈴鹿8耐で見られないのが残念でなりません。
細部を見ていきましょう。まずは、トップブリッジ周辺です。素材は不明ですが過度に肉抜きされることなく、オーソドックスな印象です。カウルにはカーボンとケプラーが使用されて軽量化、高剛性を実現。写真は岡本裕生車ですがウインドウスクリーンの留めナットが中須賀イエローなのは偶然なのでしょうか。
中須賀克行車のメーターを見ます。質実剛健な印象のイタリアは、マニエッティ・マレリ社(現マレリ社)レース専用メーター。
重いECUをカウル後端に設置しトラクション向上に利用するコンセプトも不変。よってデータの吸い出し口も後端に設置。コンバーターも後端に設置されています。
アッパーカウル内側です。ほぼ仕様変更はないと思われますが光と造形が美しいので掲載します。
性能とは直結しないかもしれませんがクラッチレバー周辺も見てみましょう。とてもシンプルな造りで、レバーも武骨な造形に見えます。
シートフレームも見てみましょう。ドライカーボン(CFRP)をふんだんに使用。シート部後端に横幅をもたせコーナリング時のライダーの体重をしっかり受け止め、トラクション向上に活かすコンセプトも不変のようです。
マフラーも見てみましょう。上部は排気温度センサーでしょうか。下部には連結パイプも見えます。
スイングアームです。こちらも仕様変更はないと思われます。細身なのが特徴です。
そのスイングアームを真後ろから見てみます。スプリント仕様、最低限の幅で構成されています。左右非対称という点が興味深いです。
2022年のYAMAHA FACTORY RACING TEAM、人的要因として岡本裕生選手の加入があります。現在は、JSB1000専用設計のブリヂストンタイヤの使い方を勉強中とのこと。ただその学習スピードは速く、セッションごとに進化を見せているとのこと。日曜日の決勝レースを見ると今後が楽しみです。ピット内の中須賀克行選手とのこの距離と雰囲気、緊張感が漂います。
岡本裕生選手のYAMAHA FACTORY RACING TEAM加入によって、当然メンテナンス台数は倍になります。それによって昨シーズン当ブログで紹介した矢内淳一メカが復帰されています。