レースを愛してやまないファンの方々へ
autosport web Premiumが登場。

詳細を見る

MotoGP ニュース

投稿日: 2022.05.03 06:00
更新日: 2022.05.03 08:58

再起の完全制覇。バニャイアがポルトガルでつかんだもの/MotoGP第6戦スペインGP

レースを愛してやまないファンの方々へ
autosport web Premiumが登場。

詳細を見る


MotoGP | 再起の完全制覇。バニャイアがポルトガルでつかんだもの/MotoGP第6戦スペインGP

 MotoGP第6戦スペインGPではフランセスコ・バニャイア(ドゥカティ・レノボ・チーム)が2022年シーズン初の優勝を飾った。バニャイアは「ベストな状態に戻ってきた」と言う。復活のポイントは何だったのだろうか。

 バニャイアが今季のタイトル争い候補の一角であることは間違いない。しかし第5戦ポルトガルGPまでを終えて、優勝も表彰台も獲得していないという状況だった。

 だが、スペインGPでは2021年シーズン終盤にファビオ・クアルタラロ(モンスターエナジー・ヤマハMotoGP)とチャンピオンを争い、ランキング2位で終えたバニャイアが再びコース上に姿を現した。予選でオールタイムラップ・レコードを更新してポールポジションを獲得すると、決勝レースではホールショットを奪い、クアルタラロを背後にトップを譲らず、ポール・トゥ・ウインを飾った。バニャイアにとっては予選でのポールポジションも決勝レースでの優勝も今季初。まさに、最高の形での復活劇だった。

「これまででも最高のラップのひとつだった」と予選後に語ったバニャイアは、また、こうも語っていた。「ポルティマオ(ポルトガルGP)でブレーキングのフィーリングが戻ってきて、この週末をうまく始めることができたんだ」と。

 バニャイアはポルトガルGPのQ1で激しい転倒を喫して右肩を強打し、スペインGPでもフィジカル面についてはその影響は残った。しかしその一方で、ライディングの面ではポルトガルGPでつかんだフィーリングが今回のスペインGPにつながっていたという。

 決勝レース後の会見で、バニャイアは「ようやく昨年のようなベストな状態に戻れたと思う」と述べていた。

「テストではもっと楽観的に考えていた。でも開幕戦が始まると、現実は少し違っていたんだ。ただ、僕たちはいい変更をしたと思う。僕にこのバイクを合わせるのをやめてみたんだ。バイクはそのままにした。バイクに必要なのは、異なるライディングスタイルだったんだ。僕は今、コーナリングで速く走ることができている」

 バニャイアは今季のドゥカティマシン、デスモセディチGP22に適合するライディングスタイルを模索していたという。そしてそれがスペインGPで結実し、表彰台の頂点に返り咲いた。勢いを取り戻したバニャイアは、チャンピオンシップで脅威となることだろう。

■クアルタラロが2位のレースで得たもの

 バニャイアに続き2位でフィニッシュしたのはクアルタラロだ。決勝レースでのバニャイアとクアルタラロのラップタイムはほとんど同じと言ってよく、25周のレース周回数の中でもふたりの差は0.4秒から0.7秒ほどの間を保っていた。

 このレースで勝負を分けたのはスタートだった。クアルタラロは「序盤の2、3周で(バニャイアを)オーバーテイクできなければフロントタイヤがきつくなるとわかっていたし、だいたいその通りになった」とレースを振り返っている。

 後ろにつけばフロントタイヤの内圧が上がってしまうため、バニャイアもクアルタラロもスタートで前に出ることが重要だと考えていた。そして、スタートで前に出たのはバニャイアだった。クアルタラロはフロントタイヤの限界を考え、バニャイアとの差をキープして走っていたという。

 クアルタラロは「最後は限界まで攻めたけど、それ以上は無理だった。ただ、フロントタイヤがきついときのライディングをよくすることができたから、今日は満足なんだ。こういうコンディションのライディングについて、どうすればいいのかよく考えることができたし、うまくいったと思う。今後に向けていい経験になった」と、今回のレースを己の糧にしたと語っていた。

 例え優勝や表彰台争いではなくとも数ポイントを獲得するために全力を尽くし、今回のようなレースでも得られるものを積み重ねる。クアルタラロは自分ができることに力を尽くしており、その姿勢は一貫しているように見える。それはクアルタラロの新しい強さだと言えるかもしれない。


関連のニュース