毎年、全日本ロードレース選手権をまわり、シャッターを切り続けるカメラマン「Nob.I」がお届けする『カメラマンから見た全日本ロード』。2022年第2回目は4月23~24日に開催された第2戦鈴鹿サーキットの2&4レースです。
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開幕戦に続き、第2戦鈴鹿2&4も執筆となりました。ご拝読いただきまして、ありがとうございます。
今年は昨年の反省を活かし、2&4という普段2輪では見られないパドックの風景も撮影してきました。また、『撮影方法』について教えてほしい、というリクエストが編集部にありましたので、我流ですが、後段で披露します。
毎度のことですが、スーパーフォーミュラと併催ということもで、普段の全日本ロードと雰囲気が異なり、かなり緊張します。
スーパーフォーミュラは、バイクと比べて大きいので、トラックも大きく、また荷物や人も多いので、そのパドックは圧倒されます。
スーパーフォーミュラのパドックは全日本ロードと比べて華々しいですが、私は、選手が何気なく闊歩している全日本ロードの雰囲気が、ほのぼのしていて好きです。コロナ禍が終わりましたら、パドックパスを購入し、是非その雰囲気を味わってみてください。運が良ければ選手と会えるかも?
続いて、私の撮影方法について簡単に披露します。大前提として、この撮り方が絶対、というわけではありません。結果的には自分が撮りたい写真が撮れれば良いので、読者の皆様の参考になれば幸いです。
基本的な考えとして「かっこいい」と思う瞬間を探します。それはコーナーリング中とは限りません。コーナーの立ち上がりだったり、ストレートだったり、様々です。
とはいえ、個人的には、バイクが深くバンクしている瞬間が基本、だと思いますので、なるべくコーナーを選ぶようにしています。
「コーナーで撮影」という前提で流し撮りの方法を記載します。
0:体の力を抜く
1:カメラを信じて被写体にオートフォーカスを合わせる
2:被写体の動きにシンクロするようカメラ(レンズ)を振る
3:ここだ、という場所でシャッターを押す。余計な連写はせず。1~2枚
(あえて連写をするのではなく、シャッター押したら連写されてしまった、程度)
4:忘れずにフォロースルー(意外に忘れがち)
私がサーキットに出没し始めた頃、大先輩から「シャッターを押さずに、バイクをファインダーに収めるようカメラ(レンズ)を振ることから始めると良い」とアドバイスを受けました。その当時、「シャッター押さなきゃ撮れなくて結果が分からないじゃん」、と内心ツっこみましたが、今ではそのアドバイスがよく分かります。
そもそも、「何故背景が流れるのか」ということ考えると、シャッターが開いている間に、被写体の動きに合わせてカメラ(撮像素子)を動かすから、です。つまり、被写体の移動とカメラ動き(レンズの振り幅)をうまくシンクロさせることが大事です。
シャッターが閉じることにより、バイクが一瞬見えなくなります。シャッターが閉じているその一瞬でもバイクは動きますが、連写をして「その一瞬のズレ」が続くと、カメラ(レンズ)の振りをバイクとシンクロさせづらくなります。バイクのスピードを身体に覚えさせるため、まずは「被写体とカメラをシンクロさせる」練習をしてみてはいかがでしょうか。
ただし、最近ミラーレスが普及してきて、撮り方も変わってきています。例えば、私は通称、親指オートフォーカスですが、ミラーレスでは測距点が広くなって構図の自由度が高まり、シャッターボタンでのオートフォーカスに変わってきているそうです。
また、電子シャッターにより、ブラックアウトフリーとなり、さらにトラッキングの性能も上がってきているので上記の練習方法は当てはまらないかもしれません。先輩たちに色々聞きながら試行錯誤の上、上記の撮り方になりましたが、機材の進化や考え方の変化により、今後撮り方も変わっていくでしょう。
簡単にテキスト化してみましたが、分かりましたでしょうか?好評であれば、また違う視点で執筆していきたいと思います。
質問・要望がありましたら、ぜひ編集部へご連絡ください。(自己流の解釈なので間違っていたらゴメンナサイ)
さて、今回のレースはいろんな意味で熱いウイークとなりました。鈴鹿2&4は8耐のトライアウトも兼ねており、また、鈴鹿8耐そのものを見据えて、様々なライダーが参戦するのも特徴のひとつ。
EVA初号機カラーとプラグスーツ風ツナギがカッコイイのは……
さて、肝心のレース1は中須賀克行選手(YAMAHA FACTORY RACING TEAM)が危なげなく勝利。
しかしながら、翌日のレース2は雨となり、これまでと異なる展開に。序盤は渡辺一樹選手(YOSHIMURA SUZUKI RIDEWIN)が先行し、中須賀克行選手が追う展開。
あれ、ふたりの距離が意外と離れている……これはもしかして……と思った矢先。
セーフティカー導入。しかし、このセーフティカー導入による超スプリントレース化が、後に語られることになるであろう、ドラマを生み出しました。
そして、選手同様、私も超スプリント仕様に。選手に負けないよう、上記写真を撮影したダンロップコーナーからシケインへ、重い機材を担ぎ、コースサイドを駆けます。目指すはシケイン。
鈴鹿のシケインは、いくつもの名勝負を刻んできたコーナー。重い機材に、動きにくくて蒸れるカッパ……それでも無我夢中で駆けます。
雨にもかかわらず、中須賀選手と渡辺一樹選手が壮絶なトップ争い。私も己との闘い。
そして撮った写真がコチラ。
レースの詳細は編集部の記事へ。「わざと大回りして2番手に」ヤマハ攻略まであと僅か。ヨシムラ渡辺一樹が語る“中須賀対策”とは/全日本ロード鈴鹿2&4
このバトル、シケインで撮影していたカメラマンたちもモニターにくぎ付けでした。(シケインには観戦用の「シケインビジョン」がある)
後の記者会見でも、ライターの方が「ふたりのバトルはメディアセンターでも盛り上がっていました」とふたりに伝えていました。
何を隠そう、肩で息をしながら、私もシケインビジョンにくぎ付けでした。
レース終了後、間髪入れず、今度はパルクフェルへ走る私。
いかがでしたでしょうか?
中須賀克行選手が逆転勝利を収めたレース2。こういうレースを毎戦くりひろげてくれると面白いのですが……
渡辺一樹選手も、記者会見で次戦も中須賀選手と競れるよう頑張ります、と力強いコメントを残してくれました。
……でも、雨中に重い機材を持って走るのは勘弁願いたい。
次戦は5月21・22日のオートポリスで開催される、鈴鹿に続いての2&4レースです。
東日本在住の方は少々遠いですが、西日本の方は是非お越しください。もちろん東日本の方も観戦に来てくださいね。
次はオートポリスの後お会いしましょう!(編集部連載お願いします……)