レース界のマニアック“ヘンタイ”カメラマンこと鈴木紳平氏がお届けするブログ。今回は、8月12日〜14日にスポーツランドSUGOで行われた『2022 アジアロードレース選手権シリーズ第3戦 日本ラウンド』編です。
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鈴鹿8耐も終わり抜け殻のようになった翌週末、アジアロードレース選手権でスポーツランドSUGOへやって参りました。お盆真っ只中のカオスな新幹線に乗りやってきたスポーツランドSUGO、そこには新鮮な光景がアジアンな匂いがありました。
その中からいつもとはひと味違った光景を紹介したいと思います。それでは“アジアロード SUGO編”、ゆる〜くいってみましょう!
アジアロードレースな菅生であります。サインガードにはスポンサーのぼりが取り付けられこのままレースをするようです。新鮮な光景です。
5クラスが開催されるアジアロード。ピットも大所帯です。『アストラ ホンダ レーシングチーム』、この出光のカラーリング見たことがあります。
インドのバイクメーカー“TVS”によるワンメイクレースが今年からスタート。SUGOラウンドには18台がエントリー。全車ひとつのピットにまとめられています。
そのため、ピット裏には個人用のロッカーも設置され、パドック側にはホスピタリティテントも用意されていました。
第2戦マレーシアから船便で輸送されてきたためパドックにはコンテナが並びます。
2クラスにエントリーしている『アステモ エスアイ レーシング ウィズ タイホンダ』は、国内レースで使用しているヘッドクォータートランポを投入。
コンテナの中の一例です。国旗・予備エンジン・ケースなどが入っていますね。
映像配信はどうなっているのかというと、基本全部自前のようです。カメラ・カメラマン・設営など一部の撮影台は除き自前で配信しているようです。メディアセンターに設けられた記者会見上も全部自前。
広いサーキットの各カメラへの配線も自前のようです。
通信のための工事だってやっちゃいます。カメラポジションもコースの特徴をつかんでいる位置に設置するなどしています。
ピットを見ていきましょう。ワイルドカードでASB1000へ秋吉耕佑選手が参戦です。メインスポンサーが地元ということもありますが、自チームを結成して約3年。自分達のチーム力がどこまで通用するかやってみたい! と参戦したとのこと。ただこちらも鈴鹿8耐明け。準備万端とはいかなかったようで土曜のレース1では一時6番手までポジションアップしましたが赤旗によってチャラ パーに。その後も若干苦しい週末が続き、今後に課題を残すレースとなったようでした。
UB150クラス、24号車『ONEXOX TKKR Racing Team』の皆様、マレーシアからの長旅でお疲れの様子です。
木曜日のピットではエンジンの組み立てが花盛りです。
お風呂用の椅子に座りガンガン組んでいきます。
ピット裏はこんな風景に。3基のエンジンを組んでいますね。
出場マシンの中でも特に気になったのはアンダーボーン150と呼ばれるクラス。
ホンダ スーパーカブを祖先にする東南アジアの150ccスクーターがベースで、フレームが下にあることからアンダーボーンと呼ばれているそう。Moto2クラスに第13戦から参戦する羽田太河選手もアンダーボーン出身です。
そして、これを魔改造していくわけです。聞いたところによると最低重量とホモロゲされたエンジン、排気量を順守すればあとは何をやってもいいとのこと。ちなみに、アジアロードレースの中でも一番スポンサーがついているのがこのクラスとのことです。
ですのでハンドルまわりはこうなります。セッティング用の装置も設置されています。
こうなると完全レーシング仕様になっています。
フロントブレーキを見ていきましょう。
キャリパー・ローターも種類は様々です。
流用品と思われるキャリパーだってブラケットを造り装着しちゃいます。
ライダーのポジション確認も真剣です。
シートは前端部にコブがつけられた特徴的なシート形状です。
専用のアルミ削り出し足まわりパーツも。
最低重量をクリアするためかウェイトを積んでいるマシンもありました。
シリーズのスポンサーにもなっている“UMA Racing”。準備に余念がありません。
エンジンは水冷単気筒150ccまで。
ラヂエーターも“UMA Racing”オリジナル品がリリースされています。
エンジン内部部品は交換可能なようでピストンを見てみましょう。カスタム品が奢られています。
こちらはもっと過激な形状です。
吸気はシート下から。ファンネルが見えます。
チームによってはエアの導入口を設置しているチームもありました。
レースはというとこれがまた激しくクリーンなレース。このトップ集団で10周を争います。
レース2を勝ったのは、馬の背をトップで通過した98号車『Pitsbike JRT OneWay』のMd lzzat Zaidi Md Salehanさん。今季2勝目です。ちなみに最終コーナーが鋭角なタイのチャン・インターナショナルサーキットでは、最終ラップの最終コーナーは押し合いぶつけ合いで立ち上がってくるそうです。
そのためでしょうか、計測器はフロントフォークに設置されています。
アジアロードいかがでしたでしょうか。今回、初訪問感じたことは、とにかくみんな若い! ということ。ライダーもメカニックもオーガナイザーもみんな年齢が若い。故に活気・熱気がピット・パドックに満ち溢れているのが印象的でした。
でもレースは、クリーンで時に激しい。近いうちにきっとこの中から世界へ行くライダーが出てくる、そう思わせる週末でした。