レース界のマニアック“ヘンタイ”カメラマンこと鈴木紳平氏がお届けするブログ。今回は、8月4日～7日に行われた『2022 FIM世界耐久選手権（EWC）第3戦 “コカ・コーラ”鈴鹿8時間耐久ロードレース 第43回大会』のフル参戦チーム＆全日本ロードチーム編です。
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第3回は他メーカー・ピットで気になったものなど紹介していきたいと思います。なお読まれる際には某音楽配信サイトで“風よ、鈴鹿へ”を聴きながらがお勧めです。それでは『2022 鈴鹿8耐ブログ 後半戦』スロットル全開でいってみましょう！
こちらはカワサキのファクトリーチーム 11号車 ウェビック エスアールシー カワサキ フランス（WEBIKE SRC KAWASAKI FRANCE）のマシン。ニッシン製の6ポッドフロントキャリパーを装着します。
フロントライトが特徴的です。多灯式LEDが組み込まれています。
配線類の取り回しもユニークです。左ステップ上にホース・配線のコネクターが設置されています。
ホース類が外された状態です。左側のコネクターは液体モノのコネクターに見えます。
場所からしてガソリンホースとは思えませんがここから燃料吸い出せたら整備時には便利そうではあります。
11号車のバッテリーはこの位置に搭載されます。重いものは下への考えだと思われますが、コーナリング中の振り幅はそれなりにある箇所と思われ、どうなんでしょうか。
ちなみに、フランス人にも“うまい棒”は好評です。ポタージュ味を気に入ったようです。
続いてはBMWのファクトリーチームEWC 37号車 ビーエムダブリュ・モトラッド・ワールドエンデュランスチーム（BMW MOTORRAD WORLD ENDURANCE TEAM）のBMW M1000RR。フロントサスペンションストラットがカーボン製になっています。さすがファクトリーチーム。
フロントサスペンションストラットはZF製のようです。キャリパーは11号車と同じ6ポッド。フロントブレーキ冷却ダクトにも誇らしげに“M”が。
この冷却ダクト、間仕切りがされています。3Dプリンターによる作成と思われますがこの方が冷却効率、流速は良さそうです。フロントジャッキポイントを掛がカーボン製ですね。
続いてはEWC 7号車 ヤート・ヤマハ オフィシャルチーム イーダブリュウシー（YART – YAMAHA Official Team EWC）。
こちらのフロントブレーキキャリパーもカワサキ同様ブレンボ製“GP4-エンデュランス”ですが、パットの厚みがだいぶ薄い仕様です。
メーターマウント周辺はシンプルな造り。ブレーキマスターシリンダーが見えますが、こちらは前記したキャリパーとセットの“RMC billet GP 19×18”と呼ばれる最新型のマスターシリンダー。リニアな反応とレスポンスが抜群のようです。
重いECUはテールカバー内に設置。この思想は全日本ロードレースのヤマハYZF-R1と同様、ヤマハ独自の思想が感じられます。
ドゥカティいきましょう。EWC 61号車 チーム デ・ライト（Team de”LIGHT）ドゥカティ パニガーレV4R。満を持しての鈴鹿8耐デビューです。
スペースの関係上24リットルを確保するため燃料タンクは大きく上に張り出しています。
燃料タンクはタイヤハウスギリギリまで浸食しています。リフレクト ゴールドが貼られ破損防止にカーボン製のカバーが取付けられています。
マフラーは2020年から大きな変更はされていないとの事。チタン製の4-2-1-2が装着されています。
耐久用にオイル充填口も設置されています。
ひとつ8万円のウイングレットは転倒の度に破損する為自社制作しているとの事。ドゥカティ本社のスタンスとしてドゥカティからアップデートパーツを買いバイクを速くし、成績が残ったらエンジニアやモノのサポートを開始する、というのがドゥカティのスタンスとの事。今後は全日本ロードレースへの参戦も含めて検討していきたいとの事でした。
ここからはホンダ、プライベーター勢です。先ずはEWC 5号車 エフ・シー・シー ティーエスアールホンダ フランス（F.C.C. TSR Honda France）。キット車のようです。短い間でモディファイされましたがTeam HRCを捉えるまではいきませんでした。ワークスイーターを公言する藤井監督の心中、お察しいたします。
メーターには独自の追加インジケーターが設置されています。数字の部分には“SKID”・“TC”とあります。
コンデンサーはこの位置に設置されています。
シートステーです。一番奥の白い箱はゼッケン表示の発光装置と思われます。
ゼッケン発光装置はチームそれぞれですが、EWC 17号車 アステモ ホンダ ドリーム エスアイ レーシング（Astemo Honda Dream SI Racing）のフロントゼッケン発光装置はLEDライトを反射させ全体を明るくする仕組みになっています。
ホンダの全日本ロード勢の多くがニッシン製の6ポッドフロントキャリパーを装着していました。先ほどのカワサキ11号車のキャリパーの進化系と思われます。どうやら使えるブレーキローターの外径に制限があるようで最大のローターは使用できないようです。
が、制動力は抜群との評価。
ホンダの全日本ロード勢の中にはコーヨー製のラヂエーターを使用するチームも。
ワールドスーパーバイク用に開発されたラヂエーターで薄い2枚重ね仕様ですが、こちらは水の流れが一方通行ではなくUターン式になっており冷却効率は向上しているとの事。
ホンダ勢の中では唯一、EWC 25号車 ホンダ 爽風会 鈴鹿レーシング（Honda Sofukai Suzuka Racing Team）の給油口はクロンテック勢を使用していました。4番手まで見えていてという25号車。1コーナーでの転倒が残念でしたが、その走りは見事でした。
最後はヨシムラSERT Motulです。ピットには事前テストで走行していた1号車が見えます。
こちらのマシンにもブレンボ製最新型の“GP4-エンデュランス”が装着されています。
加藤ディレクターによればコースとの相性、ライダーの好みの問題で鈴鹿8耐でのこのマシンでの走行はしないとの事。
従来型のマシンのフロントブレーキキャリパーにはキャリパーの変形防止と思われるパーツが装着されていました。
耐久チームらしくメカニックは無線一体式となったヘルメットを着用します。煩わしいコードの取り回しもなくいいデザインです。GoProも装着出来るようになっていますね。
皆様いかがだったでしょうか。真夏のバイクのお祭り、“第43回 鈴鹿8耐”も終わってしまいました。表彰式で花火が上がり“風よ、鈴鹿へ”を聴けば季節は秋です。
また来年“ハチタイ”でお会いできることを楽しみに、皆様ごきげんよう、さようなら。
“お疲れちゃん”無くて残念だった。
