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MotoGP ニュース

投稿日: 2022.09.03 12:20
更新日: 2022.09.03 12:21

MotoGP初参戦の渡辺一樹「勉強しながら走り、105%タイムをクリアできてすごく良かった」/第14戦サンマリノGP初日

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MotoGP | MotoGP初参戦の渡辺一樹「勉強しながら走り、105%タイムをクリアできてすごく良かった」/第14戦サンマリノGP初日

 9月2日、2022年MotoGP第14戦サンマリノGPの初日セッションがミサノ・ワールド・サーキット・マルコ・シモンチェリで行われ、渡辺一樹がチーム・スズキ・エクスターからMotoGPクラスにデビューした。スズキGSX-RRを駆り、FP1では1分37秒294、FP2では1分36秒019と徐々にタイムを上げていった渡辺が初日を振り返り、同行してサポートしている加賀山就臣氏も初日の渡辺を評価している。

 渡辺は8月26~28日に開催された全日本ロードレース選手権第6戦オートポリスの週に、スズキのスタッフとコンタクトをとり、26日に負傷したジョアン・ミルの代役でサンマリノGPに出場することが決まった。

 28日の第6戦オートポリス後に渡航の準備を行い、29日に日本を出発してフランスに移動。まずは30~31日にポール・リカール・サーキットでEWC最終戦ボルドール24時間のテストを行い、ミサノに入ったのは9月1日となった。1日にはチーム・スズキ・エクスターのチームスタッフと合流し、撮影やメディアの取材を受けた後、レーシングスーツが届くとフィッティングを行った。

渡辺一樹(チーム・スズキ・エクスター)/2022MotoGP第14戦サンマリノGP 初日
渡辺一樹(チーム・スズキ・エクスター)/2022MotoGP第14戦サンマリノGP 初日

 はじめに、ジョアン・ミルが好みのセッティングが施されたマシンに跨ったが、「日本国内で跨った時は、津田(拓也)さんがテストで使っていた車両でした。鈴鹿8耐などでも、お互いのポジション(に合わせたバイク)に乗っていたりするので、違和感はなかったですけど、今回は正直最初に跨った時、『お!こんなだっけ?』と思い、結構雰囲気が変わっていました」と語った。

「足の位置が全然届かなかったり、ポジション、ハンドルとかやっぱり違う部分がありました。いろいろメカニック、チームが合わせ込んでくれましたが、乗ってみないと自分がバイクの上のどこに乗るのかのポジションが変わったりするので、乗る前にポジションを合わせるのは結構難しいです。FP1、FP2でも、走りながらここをこうしてみたいな注文はしながら乗ってる感じですね」

渡辺一樹が2022年から使用しているヘルメット
渡辺一樹が2022年から使用しているヘルメット

 また、今回渡辺が乗るマシンに掲げられたゼッケンは『92』だった。全日本ロードでは、希望ゼッケンの際は『26』を選択していたが、現在は指定ゼッケンであるため『15』を付けており、ヘルメットに『26』を入れている。

「参戦が決定してからゼッケンを何番にするかチーム側から問い合わせが来て、最初26番を希望していたのですが、どうも今年ゼッケン26のダニ(・ペドロサ)が出場するかもしれないので『26』は使えないと知らされました。どうしようと考えて、今年からヘルメットの上にデザインした『26』を入れていて、よく『なんで92なの?』って言われていて、逆さまにすると『92』に確かに見えるなって話はチーム内でも話題にはなっていました。それもあって、ひっくり返して『92』でいいんじゃない? みたいな感じで決まりました」

渡辺一樹の取材中に登場したアレックス・リンス/2022MotoGP第14戦サンマリノGP 初日
渡辺一樹の取材中に登場したアレックス・リンス/2022MotoGP第14戦サンマリノGP 初日

■MotoGPデビュー:スズキGSX-RRでミサノを周回
 金曜日には2回のフリー走行(FP1とFP2)が行われた。FP1は、気温22度、路面温度25度、前後ともにソフトタイヤ(SS)を選び2度の走行を行って、計24周を回った。1回目は11周目に1分39秒401を記録し、12周目にピットイン。同じタイヤで2回目の走行に出て、23周目に1分37秒294を記録し、スタート練習をしてピットに戻った。

 気温27度、路面温度43度のFP2でも2度の走行を行い、24周を走った。1回目は前後ともにミディアムタイヤ(MM)を履き、10周目に1分36秒628を記録して翌周にピットイン。2回目の走行はフロントにミディアム、リヤにソフト(MS)を選択し、23周目に1分36秒019と初日自己ベストタイムをマークしてピットに入った。FP1ではトップのファビオ・クアルタラロが記録したタイムの105%タイム(1分36秒928)をクリアできなかったが、FP2ではトップのエネア・バスティアニーニの105%タイム(1分36秒092)を上回り、25番手の順位が与えられた。

スタート練習をする渡辺一樹(チーム・スズキ・エクスター)/2022MotoGP第14戦サンマリノGP 初日
スタート練習をする渡辺一樹(チーム・スズキ・エクスター)/2022MotoGP第14戦サンマリノGP 初日

 タイヤはSS、MM、MSの3パターンを試したことになるが、「日が当たると路面温度が上がっていて、1本目からタイヤが柔らかくて、特にフロントが潰れちゃってちょっと難しいなと話をしていました。午後のFP2でフロントをミディアムにして、ちゃんとしたタイヤだなと感じました。コーナリングでブレーキを握って入っていけたり、フィーリング的に良くなった部分が多くて、そこに関しては大きかった感じです」と渡辺は説明した。

渡辺一樹(チーム・スズキ・エクスター)/2022MotoGP第14戦サンマリノGP 初日
渡辺一樹(チーム・スズキ・エクスター)/2022MotoGP第14戦サンマリノGP 初日

 また、ミサノを走るのは、2017年に参戦したスーパースポーツ世界選手権(WSS)以来だが、「バックストレートエンドの後の高速の右(11コーナー)は、600の頃は伏せっぱなしで全開でいっていたイメージだったので、本当に一周目からこんなバックストレートって短かったっけというのはすごく体感しましたね。伏せてしばらく待っていたイメージがありましたけど、MotoGPだと加速したら着いちゃったみたいな、過ぎていく時間が短いです」とコースの印象の違いを述べた。

 そんな渡辺は、初のMotoGP参戦ということもあり、レギュラーライダーと走った感想を「テレビで観たことあるーみたいなイメージの方が強いですけど(笑)。“ファビオに抜かれた俺!”みたいな、お客さん目線でコース上走っているなと思いながら(笑)」といい、楽しんで走っていたようだ。

「やっぱり近くで見るからこそわかる部分もあるし、まだ本当の意味でのこのライダーはどういうスタイルなんだなと理解するほどの距離感を常にキープはできていないので、そういう部分ではまだまだ自分が足りない部分が多いですけど、ただすごく……変な感じですね。とんでもないライダーがたくさんいるなかで走っているという場違い感というか、俺ここ走って良かったんだっけみたいなところは感じながら走っている部分がありましたね」

渡辺一樹(チーム・スズキ・エクスター)/2022MotoGP第14戦サンマリノGP 初日
渡辺一樹(チーム・スズキ・エクスター)/2022MotoGP第14戦サンマリノGP 初日

 そのなかでもタイムを更新し続けて乗り出しから約3秒タイムを縮め、105%ルールをクリアした初日をこう振り返った。

「今回レースに出場するにあたっても、リザルトを求められるようなレースではないのはわかりきっていたことなので、『経験として楽しんでいこうね』とみんなそれがキーワードになっているかのように同じことを言ってくれていました。それもあって非常にリラックスして走り始められたし、楽しんで走ってバイクがどういう風に動くか、どういう風なバイクだとタイムが出るのかみたいなところの勉強をしながら走っているので、積み上げていって結果的に105%をクリアできていたので、すごく良かったなと思います」

渡辺一樹(チーム・スズキ・エクスター)/2022MotoGP第14戦サンマリノGP 初日
渡辺一樹(チーム・スズキ・エクスター)/2022MotoGP第14戦サンマリノGP 初日

 予選日からは雨が降り、ウエットコンディションとなりそうだが、「それも含めて、違うコンディションで走る機会というのは自分にとってはすごく貴重な経験になると思います。事前の情報ではミシュランのウエットタイヤはすごくいいとみんなに言われるので、それがどのくらいなのかというのは楽しみにしています」と予選日の意気込みを語った。

「ドライ以上にうまくいけば、差を詰められるチャンスになるんじゃないかなという気がするので、多少不安定なコンディションの方が自分的にはちょっとワクワクできるかなと思っています。明日はフリー走行(FP3)ともう予選かという感じですが、楽しみながら走り切ることができればと思います」

■加賀山就臣も評価する初参戦の渡辺一樹
 さらに、渡辺が全日本ロードで参戦しているYOSHIMURA SUZUKI RIDEWINの加賀山就臣監督が、今回はサポートとして駆けつけている。加賀山監督は「ミルはいち早く復帰して欲しいものの、一樹が代役に選ばれたこと自体はすごく嬉しいし、ハードルは高いけど経験すべきことだから、チームとしては許可するし、是非行ってこいと送り出しました」とコメントし、初めて尽くしの渡辺を以下のように評価した。

渡辺一樹のサポートで同行している加賀山就臣監督/2022MotoGP第14戦サンマリノGP 初日
渡辺一樹のサポートで同行している加賀山就臣監督/2022MotoGP第14戦サンマリノGP 初日

「MotoGPチームに昔から仕事をしているメンバーがいるし、スズキのスタッフとも32年の付き合いがあるので、雰囲気作りやスムーズにコミュニケーションをとったり、動けるようにケアをしています。初めてのタイヤ、初めてのMotoGP、数年前に一度走ったことのあるサーキット、初めてのチームと、本当にハードルが高いです」

「最後尾だけど今のMotoGPはそんなに甘くなくて、105%以内のタイムを突破して、トップから4.5秒差くらいだけど初めて尽くしのライダーにはこれがめちゃくちゃ難しいタイムです。良くできたと思っているし、チームスタッフも初めて尽くしの一樹の状況を知っているから、FP2の最終ラップに105%のタイムを超えてチーム内は割と大盛り上がりでしたし、興奮しました。チームスタッフもそこは喜んでくれたし、第一関門としては突破できたかなと思いますね。明日からもう1ランク、レギュラーライダーのペースが上がっていくので、そこをどうやって乗り切ってもらえるかですね」

 MotoGP第14戦サンマリノGPは9月3日に、FP3、FP4、そして予選が行われる。渡辺がどのような成長を遂げるのか、見守りたい。

渡辺一樹(チーム・スズキ・エクスター)/2022MotoGP第14戦サンマリノGP 初日
渡辺一樹(チーム・スズキ・エクスター)/2022MotoGP第14戦サンマリノGP 初日


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