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MotoGP ニュース

投稿日: 2023.03.24 18:40
更新日: 2023.03.24 18:46

【2023年MotoGPをゼロから学ぶ】開幕前に押さえておきたい技術レギュレーションと注目チームをピックアップ

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MotoGP | 【2023年MotoGPをゼロから学ぶ】開幕前に押さえておきたい技術レギュレーションと注目チームをピックアップ

 2023年シーズンのMotoGP世界選手権は、3月24日〜26日に開催されるポルトガルGPで開幕を迎える。スズキが撤退した一方、新たにKTM傘下のGASGASが初参戦となり、5メーカー22台で争われる。史上最多となるシーズン21戦が開催され、さらに土曜日のプログラムにスプリントレースが加わるなど、新時代の訪れを予感させる2023年シーズン。その幕開けを直前に控え、あらためてライダーのラインナップ、レギュレーションの変更点、開催スケジュールを整理してご紹介しよう。

* * * * * *

■MotoGPクラスの基本レギュレーションと2022年からの変更点

 MotoGPクラスは2002年からスタート。それまでの2ストローク500ccマシンに代わり、4ストローク990cc(現在は1000cc)マシンで争われることとなった。22シーズン目となる2023年のMotoGPは、5メーカー22台がエントリー。2022年をもってスズキが撤退した一方、新たにスペインのGASGASファクトリー・レーシング・テック3が参戦を開始。マシンの内訳はドゥカティが8台、アプリリアとホンダとKTMは4台(GASGASはKTMのマシンを使用)、ヤマハは2台となっている。

2023年のMotoGPクラスには5メーカーのマシンがエントリー。
2023年のMotoGPクラスには5メーカーのマシンがエントリー。

 最高峰のMotoGPクラスは最大排気量1000cc、4ストローク、シリンダー数4気筒以下、最大ボア径81mmのエンジンを搭載したプロトタイプマシンと規定されている。その他にも157kgという最低車体重量(排気量800ccまでは150kg)、共通ECUの使用、年間8基のエンジン使用数(レース数が21〜22戦の場合。ただし、8基目のエンジン使用は第19戦以降から可能)が定められている。

 最大燃料タンク容量は22リッターだが、後述するスプリントレースの場合は12リッターとなっており、チームはこの容量の専用燃料タンクを用意するか、通常のタンクの容量を減らすか、どちらかの手段を選択可能だ。タイヤはミシュランのワンメイクで、タイヤ径も17インチのみとなっている。2023年は、走行中にフロントの車高を調整する装置の使用が禁止された。ただし、レーススタート時に一度だけ作動する装置(いわゆるホールショットデバイス)は許可されている。

 また、ECU(エンジン・コントロール・ユニット)も刷新された。現在、MotoGPマシンに使われているのはマレリの共通ECUだが、これが『BAZ-340 ECU』と呼ばれる新型に切り替えられる。最大4倍の計算能力と最大10倍のデータ管理能力を備えるという高性能な新型ECUの導入に伴い、マシンには新たに『デンジャーライト』が装備される。転倒すると信号が直ちにレースディレクションに送信され、マシンのライトが点灯するなど安全性の向上に寄与する。

■MotoGPクラス車両諸元:ドゥカティ・デスモセディチGP23

車体
エンジン形式 4ストローク水冷V型4気筒DOHC16バルブ
排気量 1000cc
最高出力 250ps以上
最高速度 350km/h以上
トランスミッション 6速シームレス
フレーム アルミツインスパー
乾燥重量 157kg
フロントサスペンション オーリンズ 倒立フォーク
リヤサスペンション オーリンズ ショックアブソーバー
タイヤ ミシュラン(17インチ)
ホイール マルケジーニ マグネシウム鍛造
フロントブレーキ ブレンボ ダブルカーボンディスク+4ポットキャリパー
リヤブレーキ ブレンボスチールディスク+2ポットキャリパー
チェーン D.I.D
マフラー アクラポビッチ
ECU マレリ
燃料 シェル レーシングV-Power
オイル シェル アドバンス Ultra 4

 なお、ロードレース世界選手権(MotoGP)ではMotoGPクラス以外にも、Moto2クラスとMoto3クラスも全戦で併催される。Moto3クラスは、かつての2ストローク125ccクラスに変わって2012年からスタート。エンジンは4ストローク250cc単気筒で、2023年はホンダ、KTM、ガスガス、ハスクバーナ、CFモトがマシンを供給する(GASGASとハスクバーナはKTMのOEMマシン)。タイヤはダンロップのワンメイクだ。

 2022年は佐々木歩夢が2勝を挙げてランキング4位を獲得。上位3名はMoto2にステップアップしたため、LIQUI MOLY HUSQVARNA INTACT GPから参戦する2023年はMoto3王者の最右翼と目されている。

 また、2ストローク250ccクラスの代替としてMoto2クラスが始まったのは2010年のこと。エンジンはワンメイクでホンダの4ストローク直列4気筒600ccエンジンが使われていたが、2019年からはトライアンフ製直列3気筒765ccエンジンが供給されている。フレームは各コンストラクターが鎬を削っていたが、現在は多くのチームがカレックス製を使用する。こちらもタイヤはダンロップのワンメイクだ。

2023年の見どころは、やはり小椋藍(IDEMITSU Honda Team Asia)がチャンピオンを獲得できるかだろう。2022年、最終戦で無念の転倒を喫してランキング2位に終わった雪辱を晴らしてくれることを期待したい。しかしトレーニング中の骨折のため、事前テストに参加できていないことが気がかりではある。

 加えて、ライダーが着用するレザースーツも、走行中にジッパーが外れることがないよう、新しいクロージングシステムを備えたレザースーツの着用が義務付けられる。2021年のカタルーニャGP決勝でファビオ・クアルタラロのレザースーツのジッパーが勝手に下りてしまったようなインシデントの再発はこれで防げることだろう。

ファビオ・クアルタラロ(モンスターエナジー・ヤマハMotoGP)
ファビオ・クアルタラロ(モンスターエナジー・ヤマハMotoGP)

■2023年のレーススケジュールの変更点

 2023年のMotoGPでの大きな注目は、スプリントレース『MotoGP Sprint(スプリント)』の導入だ。走行距離はレース距離の50%で、各グランプリの土曜日に開催される。1位が12ポイントで、以下9位までポイントが与えられる。

1位:12ポイント
2位:9ポイント
3位:7ポイント
4位:6ポイント
5位:5ポイント
6位:4ポイント
7位:3ポイント
8位:2ポイント
9位:1ポイント

 スプリントレースの実施に伴い、レースウイークのスケジュールも変更された。金曜日に45分間と60分間、2回のフリー走行を行い、両セッションの結果でQ1とQ2を振り分けるのは従来と同様(ただし、名称はそれぞれFP1/FP2からプラクティス1/プラクティス2に改められた)。

 大きく変わったのが土曜日で、昨年まではFP3とFP4が行われていたが、今年はFP3を廃止。そしてFP4の代わりに30分間のフリー走行『FP』を実施した後、15分間ずつのQ1とQ2が行われて、スプリントとレースのスターティンググリッドを決定。そして、15時からスプリントレースが開催される。

 日曜日に行われるウォームアップ走行は、昨年までの20分から10分に短縮。その後、ファンと交流する機会として、サーキットを1周する『ファンパレード』と『ヒーローウォーク』が新たに開催されることとなった。決勝レースは、14時からとなっている。ちなみに、2023年のMotoGPは時差や他のイベントに関係なく、すべての週末が同じタイムスケジュールで開催されることが決まっている。

レーススケジュールの変更点
レーススケジュールの変更点

■2023年レースカレンダー

 2023年のMotoGPは、史上最多となる全21戦が開催される予定。開幕戦が実施されるのは、ポルトガルのポルティマオ・サーキット(正式名称:アウトードロモ・インテルナシオナル・ド・アルガルヴェ)。ポルトガルでシーズン初戦を迎えるのは初めて、さらにヨーロッパで開幕となるのは17年ぶりとなる。

 初開催となるのは、第9戦のカザフスタンGP(ソコル・インターナショナル・レーストラック)と、第14戦のインドGP(ブッダ・インターナショナル・サーキット)だ。注目の日本GPは第15戦として、10月1日に決勝レースが行われる。舞台はもちろん、モビリティリゾートもてぎだ。最終戦(第21戦)は、11月24日〜26日にバレンシア(スペイン)のリカルド・トルモ・サーキットで実施される。

MotoGP2022第16戦日本GPのレースシーン。
MotoGP2022第16戦日本GPのレースシーン。

■2023年MotoGP暫定カレンダー(2022年9月30日発表時点)

Round グランプリ サーキット 決勝レース日
第1戦 ポルトガル アルガルベ・インターナショナル・サーキット 3月26日
第2戦 アルゼンチン アウトドローモ・テルマス・デ・リオ・オンド 4月2日
第3戦 アメリカズ サーキット・オブ・ジ・アメリカズ 4月16日
第4戦 スペイン ヘレス・サーキット‐アンヘル・ニエト 4月30日
第5戦 フランス ル・マン-ブガッティ・サーキット 5月14日
第6戦 イタリア ムジェロ・サーキット 6月11日
第7戦 ドイツ ザクセンリンク 6月18日
第8戦 オランダ TT・サーキット・アッセン 6月25日
第9戦 カザフスタン ソコル・インターナショナル・レーストラック 7月9日
第10戦 イギリス シルバーストン・サーキット 8月6日
第11戦 オーストリア レッドブル・リンク 8月20日
第12戦 カタルーニャ カタロニア・サーキット 9月3日
第13戦 サンマリノ ミサノ・ワールド・サーキット・マルコ・シモンチェリ 9月10日
第14戦 インド ブッダ・インターナショナル・サーキット 9月24日
第15戦 日本 モビリティリゾートもてぎ 10月1日
第16戦 インドネシア マンダリカ・インターナショナル・ストリート・サーキット 10月15日
第17戦 オーストラリア フィリップ・アイランド・サーキット 10月22日
第18戦 タイ チャン・インターナショナル・サーキット 10月29日
第19戦 マレーシア セパン・インターナショナル・サーキット 11月12日
第20戦 カタール ロサイル・インターナショナル・サーキット 11月19日
第21戦 バレンシア リカルド・トルモ・サーキット 11月26日

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